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蒼と紅の雷霆

作者:setuna
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蒼紅:第十四話 電光

 
前書き
オリジナル色が他より濃いです。

次回作のラスボスが味方 

 
GVとソウは出撃前にアシモフによるミッションの再確認を受けていた。

『ミッションの再確認だ。GVとソウはその人工島を正面突破し、敵の陽動を頼む。その隙に我々が軌道エレベーターのコントロール施設をジャック…コントロールを奪い次第、軌道エレベーターを使ってGV達を宇宙へと送り届ける。作戦名は“電子の謡精救出”ミッションとする』

『ニヒヒッ!そりゃあいいや!あの時抹殺しようとしたターゲットを今度は救出ってか?』

『…あの日から始まった電子の謡精を巡る戦い、我々の手で決着をつけよう。グッドラック!』

オノゴロフロートに向かう前に最後のチェックをしていたのだが、テーラが2人の前に現れた。

「今回のミッション…私も連れて行ってもらえませんか?」

「え?」

「お前を?」

「はい、私もシアンを助けに行きたいのです」

最初は自分達の理想を叶えるために接近したが、彼女の純粋さに触れて、情が移ってしまったのだろう。

今はエデンの巫女としてではなくシアンの家族の1人として助けに向かいたい。

「構わん、今は少しでも戦力が欲しい」

「兄さん…!!」

敵の重要施設であるオノゴロフロートにテーラを連れていくことに難色を示すGV。

「こいつの顔を見ろ、梃子でも動かないと言いたげだ。なら連れていくぞ。こいつは下手な奴よりも遥かに頼りになる。お前の力…頼りにしているぞ」

「はい!!」

力強い返事にソウは部屋に戻り、ある物を持ってきた。

「これから敵陣に乗り込むからこの戦闘服を着るんだ。俺が今より小さい頃に着ていた物だが、その服よりはずっと頑丈だぞ」

それはソウが今のテーラくらいの時に着ていたフェザーの戦闘服であった。

確かに彼女の服には何の防護効果もない。

いくら古い物でもフェザーの戦闘服であることには変わりはないので無いよりはマシだろう。

「ソウの…ですか…では早速」

着替えてきたテーラだが、少しサイズが大きいのか袖が長かったりしている。

しかし動く分には問題無さそうだ。

「少し大きいね」

「だが、無いよりはマシだ…行くぞ」

テーラを連れてGVとソウはオノゴロフロートに向かったのである。

オノゴロフロートに到着し、吹き付ける雨風はGV達の心を映したかのように空は大きく荒れていた。

「酷い天気ですね…」

「なら、帰るか?」

「ふふ、まさか…シアンを救出するまでは帰りません」

「それでいい」

ソウのチャージショットが迫り来る機械群を蹴散らしていく。

GVはダートリーダーのカートリッジをオロチに切り替えると避雷針を撃ち込んで複数の対象に雷撃を流し込んで撃破していく。

撃ち漏らした敵はテーラが複数展開した鏡を利用した光弾によって撃墜した。

「便利だな」

「ふふ、愛らしい能力でしょう?」

「(愛らしいと言うよりは凶悪だな)…そうだな」

「それよりも正面突破だけあって…流石に敵の数が多い…!」

『この風雨の影響であなた達の機動力は落ちているわ。ジャンプすると風の影響をもろに受けてしまう…焦る気持ちもわかるけど…敵は無理して跳び越えずに、落ち着いて各個撃破した方がいいわ…テーラちゃん…あなたも無理は禁物よ?最初は驚いたわ、ソウがあなたを連れてきた時は…』

「問題ない。こいつは強い…頼りに出来る」

『へへ、珍しいこともあるもんだな。あのソウが他人をそこまで頼りにするなんてよ。だからここの天気は最悪なんじゃねえのか?』

「ジーノ、シアンを連れて帰還したらお前のレトロゲームや漫画類を全て破壊してやる。」

『げぇ!?止めろ!俺の心のオアシスを!!』

『何してるのよ…もう…とにかく気をつけて…』

「………分かっています」

海に浮かぶ巨大人工島・オノゴロフロート。

そこは軌道エレベーター建造時に作業施設の複合体として造られた機械の島。

軌道エレベーター完成後も、管制施設として用いられており、これほど大規模な人工島や、軌道エレベーター…そんな物を建造出来るのは世界的に見ても皇神だけであり、この島の存在こそが、連中の驚異的な技術力の高さを物語っていた。

今頃、アシモフ達はこの島にある管制塔を制圧するべく戦っている…。

皇神の軌道エレベーターを使うには管制塔の掌握は必須…向こうの警備を手薄にするためにもGV達はなるべく派手に立ち回る必要があった。

「GV、焦ってはいけません。焦ってやられてしまってはシアンを助けることが出来なくなります。」

「まずはアシモフ達が管制塔を掌握するまで出来るだけ派手に立ち回るんだ」

このミッションはかなりの長期戦となるためにソウもテーラも出来るだけ消耗を抑えつつ戦っている。

自分も落ち着いて、出来るだけ消耗を抑えつつ戦わなくては。

『GV…熱くなるなよ?負けるぜ?クールになれ、GV。ソウやテーラちゃんもいる今のお前なら、こんなミッション1500秒…いや、1000秒以内に遂行出来るはずだ…ってこりゃフラグか…失敬失敬。とにかく、普段通りのお前なら楽勝だってことだ』

「ジーノ…」

『善処するよ、ってか?』

「いや…ありがとう」

『GV…へっ…そういうのもフラグって言うんだぜ?ソウ、GVを助けてやれよ?兄貴なんだからよ』

「ふん、そんなことはお前に言われるまでもない」

「ふふ…」

3人は機械群を蹴散らしながら先に進むとゲートモノリスを発見した。

「こちらGV、ゲートモノリスを発見。破壊して、次のエリアへ移ります」

『了解、こちらもコントロール施設内部への潜入に成功(サクセス)した。軌道エレベーターのコントロールは我々が必ず奪取する。お前達はそのまま正面突破し、軌道エレベーターに乗り込め』

「ああ」

アシモフの指示にソウが答えると、ゲートモノリスを破壊して次のエリアに向かう。

次のエリアに向かうと、いつの間にか風が追い風となっている。

「追い風になったな」

『風に乗れば、いつもより遠くへジャンプ出来るんじゃないかしら…長距離をジャンプする時はテーラちゃんはソウかGVに抱えてもらった方が良いかもしれないわ』

「はい、ソウ。その時は前みたいにお願いします」

「俺がか?」

「はい、前に私をお姫様抱っこしてくれたではありませんか」

テーラの言葉にジーノが過剰反応した。

『何!?お姫様抱っこだって!?ソウ、お前は美少女をお姫様抱っこするって言う男の理想シチュエーションをさらっとやっていやがったのか!?』

「たかが横抱きだろう。まあ、お前が嫌ではないのならやるがな」

「ふふふ、ありがとうございますソウ」

『畜生…ソウばかり良い思いしやがって…っと、うわっ!?』

どことなく良い雰囲気であるソウとテーラにジーノは不機嫌そうに呟くが、途中で悲鳴に変わる。

『シープス2!!』

『どうしたの、2人共!?』

続いたアシモフの叫びにモニカが尋ねると安堵の息を吐いたジーノが答えてくれた。

『…ヒュゥー、危機一髪だったぜ。いやぁ、ちょっくら敵さんに見つかってよ。リーダーのおかげで助かったぜ』

『GV達が心配なのは分かるが、注意は怠るな?』

『悪かったよ…気をつけるぜ』

とにかくジーノはアシモフが助けてくれたようなので全員が安心した。

GV達は迫り来る機械群と皇神兵を蹴散らしつつ、先に進んでいくが、途中で大きな溝がある場所に出た。

『溝が空いているようね…人工島(フロート)の繋ぎ目かしら?落ちないように気をつけて!この場所に、この天候…もし落ちたら、助けるのは難しいでしょうから…』

「僕達も海に落ちるのは勘弁ですよ」

特にGVにとって海水は弱点なので、海に落ちたら何も出来ずに沈むだけだ。

3人は上手く溝を跳び越えて先に進むと第九世代戦車の改良型らしき物が現れた。

「第九世代戦車…の改良型か?」

「はい、気をつけて下さい。ミサイルにはビームが内蔵されていて火力も機動力も前の機体よりも大幅に向上しています。」

この改良型マンティスはテーラがスパイをしていた時点で既に考案されていたので、目の前のマンティスの情報を教える。

「なるほど…」

テーラの情報通りにミサイルにはビームが内蔵されており、時折跳ねてくる為に以前の機体より確かに戦いにくい。

「だが、問題ない。頭部を狙ってコアを剥き出しにした後に全員で集中攻撃だ」

「「了解」」

少なくとも弱点は変わっていないようなので、頭部を攻撃し、剥き出しになったコアに集中攻撃するとマンティスは簡単に破壊された。

「一応最新型なのですが、大したことはありませんでしたね」

「一応3人がかりなんだ。これくらいのことが出来なくてどうする」

「兄さん、テーラ…先に進もう。」

再び前進すると、二機目のマンティスが立ち塞がる。

「…懲りないな…足場は悪いようだけど…関係ない!僕達を阻む者は…塵と還す…までだ!」

「テーラ、足場を頼めるか?」

「分かりました。鏡よ!!」

鏡の足場を複数展開し、GVとソウはそれを利用してマンティスの頭部を攻撃し、剥き出しになったコアに攻撃を当てて破壊する。

『よっし!やったようだな!こっちも朗報だぜ?コントロール施設の制圧が完了した。いつでもお前らを送り出してやれるぜ!後はお前らが軌道エレベーターに乗り込むだけだな!』

「よし、GV、テーラ。このまま一気に駆け抜けて突破するぞ!!」

「「了解!!」」

ジーノからの朗報にGV達はやる気を滾らせ、ソウを先頭にして先に進むが、途中で大きな穴のある場所に出た。

向こう岸までかなり離れているようだ。

『2人共、雷撃鱗を張りながらジャンプして!ホバリングを使えばきっと!』

「やってみます」

「テーラ、捕まれ!」

「はい!!」

GVとソウは雷撃鱗のホバリングで何とか飛び越えることが出来た。

テーラはソウに抱えられながらだが。

そして三機目のマンティスが姿を現した。

「二度あることは三度ある…。確か、この国の諺だったな…何度来ても同じだ…!こんな玩具、僕達が打ち砕く!!」

「いい加減、飽きてきたぞ…!!」

「そろそろ終わりにしましょう!!」

頭部を集中攻撃され、剥き出しになったコアに3人での同時攻撃で容易く沈黙した。

「「「撃破完了」」」

『よっしゃ!後少しで軌道エレベーターだな。それにしても凄ぇなテーラちゃん。GVとソウについていけるなんてよ?このミッションが終わったらフェザーに来てくれねぇかな?マジで』

『ジーノ、無茶を言わないの…』

ジーノとモニカの会話に緊張が程好く緩んでいくのを感じた。

「お気持ちは嬉しいのですが…遠慮させて下さい」

「それよりもゲートモノリスを破壊して先に進むぞ」

「うん、みんなの厚意、無駄にはしない…」

「必ずシアンを助けましょう」

ゲートモノリスを破壊して先に進むGV達。

そして軌道エレベーターのコントロール施設ではアシモフがアメノサカホコを見つめていた。

先に進んだGV達はアメノサカホコ付近まで来ていた。

「あれが軌道エレベーターか…」

「GV、待て…奴がいるぞ」

「メラク…」

しかし、アメノサカホコまで後少しと言うところでメラクが立ち塞がった。

「あぁ~、君達、やっぱり来ちゃったかぁ。デイトナもだらしないんだから…」

「おい、メラク。シアンを何処にやった?」

ソウが銃を向けながら尋ねると、メラクは怠そうに答えた。

「…そんなの、もう軌道衛星(アメノウキハシ)に運んだに決まってるじゃん…。はぁ…やれやれ、君達がここに来たら、邪魔するように紫電から言われてるんだよね。面倒臭いけど…生き返らせてもらった恩義は返さないとね…?」

こうしてメラクとの2回目の戦いが始まる。

「ほーい」

亜空孔から椅子型の武装のパンチが飛び出していく。

初見であるGVは対処出来ずに一撃を受けてしまい、カゲロウを使わされる。

「何だあいつは…ふざけているのか…?」

「メラクは前に戦った時もあんな風だったがな。生き返らせてもらったとはどういうことだ?」

「そうだよ?っていうかさー、君が殺したんじゃん。あー、でも深くは詮索しないでね?どうせ答えられないし。ま、企業秘密って奴?大企業だからねー。皇神はさぁ、その辺も結構面倒臭いんだよねー」

「ふざけた奴め…シアンを連れ去ったお前を僕は許さない!!」

ふざけた態度にシアンを連れ去られたこともあって怒るGV。

「おー、兄弟揃って怖々…!やだなぁ、僕はただ真面目にお仕事してるだけなのに…。ま、いいや。こっちも君とこれ以上お喋りするつもりはないし…疲れるしさぁ」

「なら、再び眠っていろ…永久に…!迸れ!蒼き雷霆よ!蘇りし悪夢を討ち払え!!」

「迸れ、紅き雷霆よ。貴様の肉体を俺の紅き雷刃で叩き斬る…!二度と蘇らないようにな…!」

GV達が攻撃をそれぞれ行うが、メラクは椅子型の武装の機動力を活かしてGVの避雷針を重点的にかわしていく。

そして亜空孔からミサイルが飛び出してきたためにGV達は攻撃を中断することになる。

「GV、メラクの亜空孔を利用した攻撃は回避が難しいのもあります。しかし、こちらもあれを利用は出来ますよ。ほらっ!!」

光弾を亜空孔に放り込むと、メラクの近くに展開されていた亜空孔から光弾が飛び出した。

「墜ちろっ!!」

続いて亜空孔にソウが雷撃ショットを撃ち込み、GVもまた亜空孔を利用して避雷針を当てていく。

「よし、行け!!」

避雷針が3発当たったことを確認すると、雷撃を流し込み始める。

「怠いな…」

亜空孔から巨大化したパンチが飛び出し、ソウはカゲロウを使って無効化する。

「相変わらず対処が面倒な奴だ…」

「このままじゃ、埒が明かない…一気にカタを着ける!!迸れ!蒼き雷霆よ!!響き渡るは謡精の歌声!轟かせるのは龍の嘶き!総身総躯、雷神と化せ!!アンリミテッドヴォルト!!!」

能力強化のサポートスキルを発動させ、一気にメラクに強化された雷撃を流し込んでダメージを与えていく。

「痛たたた…!!ちょっと不味いかも…やれやれ…またこれを使うのかぁ…森羅万象に穴穿つ…縦横無尽変幻自在…世界を貫く破滅の光柱…」

「させるわけがないだろう。迸れ、紅き雷霆よ!閃くは破滅の雷光!紅雷の刃よ、敵を斬り裂け!ギガヴォルトセイバー!!」

SPスキル発動前にソウが雷刃波を放ち、直撃させてメラクの動きを止めると、GVがダッシュジャンプで距離を詰めた。

「煌くは雷纏いし聖剣!蒼雷の暴虐よ、敵を貫け!スパークカリバー!!」

「あうっ!?眠い…」

アンリミテッドヴォルトで威力が倍化したスパークカリバーをまともに受けたメラクは体が膨張・爆発すると、残った宝剣も粉々となる。

『3人共!無事なのね!』

戦闘終了後にモニカ達からの通信が入る。

「問題ありません…僕達このまま軌道エレベータに乗り込みます」

『良かったわ…でも、あいつ…“生き返らせてもらった”って言っていたわね…』

『復活怪人とくりゃあ特撮ヒーローのお約束だが…そりゃぁ、いくら何でも…なあ、リーダー…ん?って、あれ? リーダー…どこに行ったんだ…?』

ジーノがアシモフに振り返るが、近くにいたはずのアシモフの姿が何処にもいなかった。 
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