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森の野生児

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第一章

               森の野生児
 マリーメイア=ロアとデオリンダ=フェレイアは今はマリーメイアの神託でカナダのオタワに来ていた。
 オタワは寒い、しかもだった。
 マリーメイアはデオリンダを連れたレストランで暗い顔をしていた、メニューは蟹が入ったサラダにマカロニにクリームソースをかけたもの、スモークドサーモン、鹿肉のステーキにジャガイモを茹でたものにデザートはメイプルシロップをふんだんにかけた五段のパンケーキそして酒はアイスワインだった。
 そのアイスワインを飲みつつだった、マリーメイアは自分の向かいの席にいるデオリンダに曇った顔でこう言ったのだった。
「カナダはまたトップや」
「太平洋と地下世界の料理のまずい国のですね」
「グルメ雑誌の調査結果でな」
「そうなりましたね」
「他の雑誌でもそやったし」
「カナダはですか」
「ほんまにお料理の評判悪いな、この世界でも」
「起きた世界でもですね」
「それがな」 
 マカロニを食べつつだった、マリーメイアはデオリンダに話した。
「あたしにとっては」
「不満ですか」
「それもかなりな」
 こう言うのだった。
「それがほんまにな」
「そうですか、ですが」
 デオリンダはスモークドサーモンを食べながら彼女のその言葉に応えた、見ればその顔は決して悪いものではない。
「このレストランのお料理は」
「ええやろ」
「はい、どのお料理も」
「カナダにはこうしたお店もあるねん」
「だからですね」
「そう言われるのがな」
 十星連合の勢力圏の中で最も料理がまずいと言われることがというのだ。
「あたしのかなんって思ってることや」
「それで、ですか」
「こうしたお店が増えて有名になって」
 今度はアイスワインを飲んでだった、マリーメイアは話した。
「カナダのその悪評を何とかしたい」
「そうですか」
「カナダを治めるモンの一人として思ってるわ」
「それはモンゴメリーさんもですね」
「二人で話してるわ、アメリカはこっちの世界でも食べものの評判よおなってるけど」
 それがというのだ。
「カナダはむしろ下がってる、しかも存在感もない」
「そうでしょうか」
「デオリンダちゃんはそう言うけどな、こっちも世界でもな」
 カナダはというのだ。
「存在感がないこともな」
「困っていますか」
「あたしにしても」
 この店では美味いものを食べつつだ、マリーメイアは暗い顔で話していた。そうしてその話の後でだった。
 ロザリンデと共に店を出てすぐにだ、彼女に表情を普段の明るいものに戻して話した。 
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