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星河の覇皇

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第七十二部第二章 アウトカースト政府その一

                 アウトカースト政府
 マウリアには何百年も前から二つの政府が存在していた、一つは表の政府でありもう一つがアウトカースト層の政府だ。
 その首都、主席官邸は表の政府と同じくブラフマーにある。各省庁もやはりブラフマーにある。そうした意味で二つの政府は表と裏になっている。
 しかしその裏の政府についてはこれまで表の者は誰も知らなかった、このことは連合やエウロパも同じだ。
 マウリアにいる外交官達も同じでだ、連合各国から派遣されている大使達は共に連合の料理、この店では中華料理を出すその場所で食事をしながら話した。まずはその店の料理について笑顔で談笑をした。
「いや、マウリアにいますと」
「カリーばかりですからね」
「決して悪くはないですが」
「全てがカリー、つまりカレーですと」
「飽きます」
「そうなってしまいますので」
「こうして連合の料理を食べますと」
 そうすればというのだ。
「ほっとしますね」
「全くです」
「カレー味以外のものもです」
「食べたいものです」
「ハンバーガーやタコス、トムヤンクン」
「そうしたものが食べたくなります」
「牛肉のシェラスコは無理でも」
 ヒンズー教の国であるので牛肉は極めて手に入りにくい、それで彼等も牛肉料理は我慢しているところがある。
「しかしですね」
「こうして中華料理も食べていますと」
「違いますね」
「いい味です」
「全くです」
「麺類といい点心といい」
「八宝菜に炒飯も」 
 彼等は飲茶を楽しんでいる、海鮮麺もあれば海老蒸し餃子に焼売、小龍包に韮の焼き餅等がある。八宝菜に皮蛋、炒飯に豆腐料理もあれば茸と青野菜をとろみを出して炒めたものもある。酒は紹興酒である。
 そうしたものを食べて飲みつつだ、彼等は味を楽しんでいた。そしてそのうえで。
 彼等は次第にマウリアのことを話した、大使の一人が言った。
「アウトカーストですが」
「はい、所謂カーストに入っていない」
「そうしたヒンズー教徒ですね」
「差別階級ですね」
「そうなりますね」
「ハリジャンでしたね」
 この言葉が出た、マウリアその頃はインドと呼ばれていたこの国を非暴力不服従という方法で独立させたガンジーが使った言葉だ。神の子達という言葉でカースト制度の撤廃を考えていたガンジーは彼等をあえてこう呼んだのだ。
「所謂」
「触ることが出来ないという」
「そう位置付けられていますね」
「そうした人達ですね」
「今まで三百億存在すると言われていましたが」
「三百億どころではなく」
 その人口がだ。
「千億存在していて」
「産業も充実していて」
「総生産もかなりであり」
「表のそれの半分以上あるとか」
「統計しなおした結果表の総生産もかなりで」
「マウリアは相当大きな国だと判明しましたね」
「今回の調査で」
「いや、凄い国ですね」
 大使の一人は紹興酒を飲んでからトマトと卵を炒めたものを箸で皿に取り食べた、その横には海老のチリソースがある。
「マウリアは」
「つくづくそうですね」
「まさか実際の国力がそれだけとは」
「想像もしていませんでした」
「精々三百億と思っていましたら」
「それだけとは」 
 千億もいるとは、というのだ。 
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