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星河の覇皇

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第七十二部第一章 マウリアの人口統計その三十二

「そうなるからな、あの戦争は止めなかったというかな」
「止められませんでしたね」
「我々も止めるつもりはなかったですが」
「それでもでしたね」
「そうだ、止めるよりも前にだ」
 まさにそれよりも速くだったというのだ、あの時は。
「連合は動いてだ」
「エウロパとの戦争に入った」
「そうした面がありましたね」
「そうだった」
 こう側近達に話した。
「あの時はな」
「そしてきりのいいところで、でしたね」
「これ以上連合に勝たせてはならない」
「あと一歩でエウロパの首都オリンポスは陥落していました」
「そうした状況になりました」
「そしてまさにですね」
「そのタイミングで、ですね」
「間に入った」
 その連合とエウロパの間にというのだ。
「連合が勝つと思っていた」
「訓練度は低く指揮官、参謀も凡庸ですが」
「やはり装備と数が違いますから」
「それに補給等のシステムも充実しています」
「そうしたことを考えるとですね」
「連合軍が勝つとしか思えなかったですね」
「そうだ、負ける可能性は殆どなかった」
 クリシュナータはこう見ていたのだ、エウロパ戦役を。
「そして実際にだったな」
「連合は連戦連勝でしたね」
「勝ち進みましたね」
「最初のニーベルング要塞攻略から」
「オリンポス入城までいきましたね」
「そうした状況を観ますと」
「あそこで止めるべきでしたね」
「そして上手くいった」
 実際にというのだ。
「見事にな、連合の勝利は当然だが」
「しかしですね」
「勝ち過ぎはさせない」
「連合の一方的なそれは」
「そこまではですね」
「させるつもりはなかったしさせなかった」
 実際にというのだ。
「だからあのタイミングで講和の仲介をしてだ」
「戦いを終わらせましたね」
「オリンポスを占領させずに」
「あそこで止めて」
「そのうえで」
「連合に勝ち過ぎはさせなかった」
 そうしたというのだ。
「それが成功したということだ」
「この時もエウロパの肩をもちましたね」
「結果としてそうなりますね」
「連合の一人勝ちにはさせない」
「それが上手くいきましたね」
「何よりだった、だが連合の要求はだ」 
 講和の時のそれはというと。
「かなりエウロパに飲まさせたな」
「そうなりましたね」
「何とかエウロパの誇りは守りましたが」
「相当な賠償金を支払ってです」
「ニーベルング星系も割譲となりました」
 そしてブラウベルグ回廊もだ。
「全てでしたね」
「連合の要求通りでしたね」
「それをエウロパに飲んでもらいましたね」
「あの国にとっては不本意だったでしょうが」
「あの要求はだ」
 連合のそれはというと。
「連合にとっては当然だった」
「戦勝国としてですね」
「まさに当然の要求でしたね」
「相手に飲ませるべき」
「勝者の振る舞いでしたね」
「そうだった、しかしだ」
 だがそれでもというのだ。 
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