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星河の覇皇

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第七十二部第一章 マウリアの人口統計その二十五

「あくまで、です」
「そうなりますので」
「奴隷ではありません」
「そこは違います」
「法律でも権利は守られている」
 当然ヒンズーの戒律でもだ。
「他の階級の者が彼等を害することは許されていない」
「そうですね、ですが」
「アウトカースト層は違いますね」
「彼等の場合は」
「まさに奴隷ですね」
「これまで相互への犯罪行為も存在した」
 人間社会だからそれは起こっていた、アウトカースト層へのそれもその逆も存在していた。だがだったのだ。
「カースト層がアウトカースト層を殺害してもな」
「それでもでしたね」
「罪には問われませんでした」
「カーストの外に存在している者達でしたし」
「戸籍にも載っていませんでしたので」
「逆の場合はだ」
 アウトカースト層のカースト層への犯罪行為はというと。
「時として徹底した報復になった」
「一人の殺害に対して何十人も無差別で殺害する様な」
「そうした事態になることもありましたね」
「しかし戸籍に存在しない者達への行為なので」
「法律として問題にはなりませんでした」
 戸籍が存在しない相手に法律は適用されない、そうなるからだ。
「そしてそれがです」
「長い間放置されていました」
「冤罪事件の元凶にもなってきました」
「醜い事件も多かったです」
 人間として卑しむべきその行為もというのだ。
「存在していたので」
「だからですね」
「そうしたことがもう起こらない様に」
「そうした面もあり」
「今回のことは重要ですね」
「おそらくジャバル主席もそれを考えてだ」
 そのうえでというのだ。
「こちらの政策に応じたのだ」
「我々が考えた瞬間にですね」
「言ってきましたね」
「実に速かったです」
「ほぼ同時でしたから」
「予知能力がある様な、な」
 クリシュナータはこうも言った。
「そこまでだったな」
「予知能力といいますか」
「こちらの動きを読んでいたか」
「若しくは、ですね」
「こちらの情報を掴んでいた」
「おそらくそれだ」
 情報を掴んでいたというのだ。
「あの主席殿はな」
「既にですね」
「そうしていて、ですね」
「すぐに反応を示してきた」
「そうだったのですね」
「だとすると確かに切れ者だ」
 ジャバル、彼はというのだ。
「二十代で一千億もの人口の代表政府の主席になるまでにな」
「相当にですね」
「ではまさかと思いますが」
「政府中枢に彼等に情報を流している者がいる」
「そうなのでしょうか」
「そうかも知れない、私自身気付かない間にだ」
 国家主席であるクリシュナータ自身がというのだ。
「情報を漏らしていた」
「主席お一人の時も」
「そしてそれがあちらの主席殿の耳に入り」
「動いてきたのですか」
「そうかも知れない、だとすればだ」
 クリシュナータはこうも言った。 
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