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星河の覇皇

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第七十二部第一章 マウリアの人口統計その十七

「私もどうなるかわからなかった」
「賛成となるか反対となるか」
「それが、ですね」
「主席は賛成を唱えられていましたが」
「それでもですね」
「幸い反対派に強力な者がいなかった」 
 この場合は彼に匹敵する国民からの支持がある政治家という意味だ、イギリスのEU離脱の時の前の首都の市長の様にその人気を悪用して己のことだけを考え国益を無視した主張を行う民主主義の欠陥を具現化した様な輩がだ。
「それが幸いだった」
「実に、ですね」
「それがよかったですね」
「反対意見は強かったですが」
「彼等に強力な指導者がいなかった」
「そのことがですね」
「幸いした」
 まさにというのだ。
「有り難いことにな」
「そして国民投票で賛成となり」
「大きな一歩となりましたね」
「議会の承認にも弾みがつきましたし」
「そのこともですね」
「よかった、ではアウトカースト層もマウリアに加わる」
 正確に言えば復帰だ、二十世紀から数世紀は彼等もまたマウリアの社会の中に存在していたからである。
「どれだけいるかまだわからないが」
「俗に三百億と言われていますが」
「五百億とも言われていますね」
「多くて千億ですね」
「まさかと思いますが」
「いや、そのまさかがだ」
 千億もの人口がというのだ。
「有り得る」
「本当にそれだけいるのですか」
「千億もの統計に載っていない人口が存在しますか」
「このサハラに」
「そうなのですか」
「そうも言われているし彼等の生活規模を調べてみるとだ」
 これがというのだ。
「有り得る」
「千億ですか」
「マウリア全土で」
「それだけのアウトカースト層が存在し」
「人口統計に載っていなかったのですね」
「その可能性が高い」
 存在するのではなく、というのだ。
「どうやらな」
「千億ですか」
「エウロパの人口と同じだけですね」
「連合でもそれだけの人口を持つ国は僅かです」 
 まさに数える程だ、この時代でも連合最大の人口を誇る中国や超大国であり続けているアメリカ等はそれだけの人口を抱えているがだ。
「しかしその千億も加えますと」
「マウリアは元々二千億です」
「合わせて三千億です」
「人類最大の人口大国にもなりますね」
「以前からそうでしたが」
「そう思うと大きい」  
 それも実にというのだ。
「我々にとってもな」
「全くですね」
「やはり人口統計は行うべきですね」
「様々な意味において」
「マウリアの為になります」
「長期的にもな、だが」
 ここでだ、こんなことも言ったクリシュナータだった。
「アウトカースト層の規模や産業、生活も国家システムもだ」
「その全てがですね」
「謎ですね」
「彼等について話すこと自体がタブーでしたし」
「研究自体も」
「そうだ、不可触の存在だったからな」
 それでだ、カーストにある者達はおろかマウリア全体で彼等について学術的に研究を行うこともネットで発表することもタブー視されていたのだ。 
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