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悪人達がサキュバスに転生しましたが、容姿が見た事のあるキャラばかりでした

作者:黒の汚水
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スヤリス、おばけふろしきを所望する

オティヌスが用意してくれた部屋に入って、私は絶望した。
ベッドがない!枕も!布団も!
ここは地獄だった。
全部、あの悪魔のせい。

「………。」

ううん、寝れるだけマシかも。
上層部の連中に、もう働けって言われないし。
床に寝っ転がる。
硬くて痛い…じんわりと冷える…寝れない。
せめて、毛布だけでもあれば!
チート能力も、今は役に…はっ!…立つ!
うっかりしていた。
あの魔物の存在を忘れるなんて。
おばけふろしき。
ニヤリと笑い、魔力で巨大なハサミを作る。
準備よし。
魔物を強制召喚する力を発動!

「おばけふろしきを1体召喚せよ。」

毛布の代わりにする。
顔と手は要らないから、ちょん切る。
安心していい。
終わったらちゃんと、悪魔修道士の所に強制送還する。

「な、なんだ!?」

「光に包まれたと思ったら、知らない場所に!?」

「姫もいるぞ!一緒に巻き込まれたのか!?」

「魔王城だよな、ここ!?」

…おばけふろしきじゃない。
違う魔物。
しかも、4人いる。
チート能力は魔物を選べず、数も決められない?
つまりランダム?

「むすうぅぅぅっ!」

魔王城でおやすみの魔物達を、呼び出せるのは確定したけど…。
役に立たない!

「うわあああああぁっ!」

「姫が乱心したぞ!」

「ハサミを振り回すなあぁぁっ!」

「助けてくれええぇっ!」

ふーーー。
暴れたら、スッキリした。
魔物達は部屋の隅で、プルプル震えている。
じーっと観察するけど、寝具の材料になりそうな魔物はいなかった。
スヤリス姫みたいに、自分で作るのも悪くないよね。

「残念。」

「「「「何がっ!?」」」」

しょうがない。
もう1回チート能力を使おう。
今度こそ、おばけふろしきを!

「…あれ?」

魔物を強制召喚する力が発動しない。
どうして?
何回やっても発動しない。
あの悪魔め。
チート能力でなく、ポンコツ能力を授けたな!

「やべえ、また姫が不機嫌になってるぞ。」

「俺、無事に帰ったら…結婚するんだ。」

「馬鹿、やめろ!フラグ立てるな!」

「ひいいいぃぃっ、目が合った!」

ひょっとして、アレが原因?
魔物達を強制送還して、再度チート能力を使う。

「外にいたのに、城の中にいる!?」

「いやいや、魔王城と違わないか!?」

発動した!
やっぱり、魔物達が原因だった。
強制召喚したら強制送還する。
そうしないと、次の強制召喚は出来ない。
早めに気がついて良かった。

「ふふふ。」

仕組みが分かれば、こっちのもの。
おばけふろしきが出るまで、繰り返すのみ。

「ひ、姫さん。ここは魔王城だよな?」

「いや、違うよな。」

強制召喚したのは、スケルトン2体。
ハズレだ。

「材料にならないから、強制送還するね。」

「「よく分からんが、助かった!?」」

強制送還!
さあ、始めよう。
船堀達の分も、集めようかな。

「んん?」

さっきから口調が変。
…まあいいか。
多分、スヤリス姫の身体に引っ張られているか、サキュバスになった影響。
その他の可能性もあるけど、問題ない。
私という根っこの部分は、変わっていないから。
それより、おばけふろしき!





強制召喚&強制送還、7回目。

「ひ、姫!?「違う、さようなら」ええええっ!?」

強制召喚&強制送還、15回目。

「また君か。」

「好きで来てんじゃねえよ!」

強制召喚&強制送還、22回目。

「…ねえ。おばけふろしきは、どこ?」

「し、知らないっす!ハサミを構えたまま、近づいてこないで!」

強制召喚&強制送還、39回目。

「………。」

「お、おい。すんげえ顔で、こっちを睨んでいるぞ。」

「俺ら姫に、何かしたっけ?」

「無言で尚更こえーな。」





おばけふろしき。
何故、出てこないの!?
いつからレアモンスターに転職したの!?
いっぱい頑張ったに。
寝具の材料にならない魔物ばっかりだし。

「疲れた。」

あったかいココアでも飲んで、この虚しさを癒そう。
しょんぼりしながら、食堂に向かった。 
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