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うちはオビト逆行物語 改 〜逆行?何それ美味しいの?〜

作者:もっちゃ
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幼少編
  うちはオビト逆行物語『対カカシ』

 
前書き
副題【オビトが挑発に乗る話】

ご注意願います。
この作品は二次創作品となっており、本誌への多大なるネタバレを含みます。
更に辻褄や都合を合わせる為に作られた出しゃばるオリジナルキャラクターや、本誌に合わせた恋愛、過剰なるグロテスク等の表現をしております。

以上の事を踏まえた上での閲覧をお勧め致します。


第十六話目です!
タイトルの通りです!とうとう来ましたこの戦い!今までの中で一番力を入れました。
語彙力が無いなりにも頑張ったので、暖かい目で見てくださいね!(必死)

ミナト「オビトとカカシの対決、楽しみだね。」
リン「はいっ!…どっちも頑張って欲しいなぁ。」 

 
カカシはこの瞬間が来ることをどこか知っている気がした。中忍試験、たかがその決勝で、あの『落ちこぼれ』と軽視されていた班員、うちはオビトと戦うことを、カカシは確信に似た何かとして捉えていたのだ。
オビトの急成長は凄まじい。普段の修行の頻度も上がり、任務中にもリンには見向きもせずしっかりと周りを判断でき、チームワークを配慮出来るようになった。幼い頃から見ていたカカシからすれば天地が引っくり返る程の事実ではあるのだが、如何せん周りには忍になって本気を出していると思われているようだった。
そんな事あるものかとカカシは内心否定している。あのオビトなんだぞ、と。修行の頻度は増えるのは良いとして、オビトの想い人であるリンの前で張り切ったりしないということは、カカシにとってそれはもう雷が直撃するくらいの衝撃であったのだ。
前に1度オビトに当たり障りなくその事を聞いた気がするが、その時ものほほんとした雰囲気でそんなことは無いなんて言われてしまっている。いや、あるんだけど。あるから聞いてるんだけど。そう口に出せなかったカカシは決して悪くは無い。
だから、そう。カカシはこれだけはハッキリさせたかったのだ。
「オビト、1ついいか?」
「…ん。」
疑問系とも肯定とも取れるその返事を聞いて、カカシを見据えるオビトを睨み返すように眺める。
「俺がこの戦いに勝ったら、オビトの秘密を教えて欲しい。」
オビト自身が何者なのか、何がきっかけであんなにも変わってしまったのか。審美眼はまだなくとも周りに劣ってはいないと自負しているカカシはそれをハッキリさせたかったのだ。
だが、それは彼を本気にさせてしまう一言だった。オビトの目が光る。その目は今まで向けられることのなかった凄まじい程の殺気や圧力。先に何度か戦地へ赴いたことのあるカカシですら、そんな視線を感じたことは今まで一度もなかった。オビトは視線をそのままにほぅ?と挑発的に笑ってみせる。こんな笑顔も、アカデミー入学前には見もしなかった。
「…まぁ、いいぞ。」
この時この瞬間、2人の中でスタートのゴングが大きく鳴り響いた瞬間であった。

オビトside

随分と厄介な事になった。まさかここでも勝たねば行けなくなるとは、予想外な上に作戦的には失敗だ。試合前、審判が来る前にカカシに言われた言葉を思い返しながら、独りごちる。
そもそも、『前回の』オビトは初戦敗退。カカシの一人勝ちをただボーッと見ているだけの落ちこぼれに過ぎなかったのだ。だが、今は準決勝どころか決勝にまで上り詰めてしまった。今までの戦いですら加減が大変(にしても危うい部分が多かったのだが…)だったのに、カカシなんて、それはもう俺にとっちゃ1番戦いたくない相手なわけだ。誰よりも組手をし、誰よりも互いの忍術を知り、誰よりも隣で見てきているコイツだから、上手く加減が効かないのだ。だから上手く誤魔化して負けて、それでも中忍には上がれるように工夫してやりたかったのに。
どうしたものか、そう考える時間もない。策すら浮かばずカカシの言葉がちらつきそんな状況をさらに最悪に思わせる。
『俺がこの戦いに勝ったら、オビトの秘密を教えて欲しい。』
カカシの意を決した様な眼差しに思わず挑発的な笑みを浮かべてしまったが…追い詰められているのはこちらの方である。
「両者、向かい合って…初めっ!」
お互いに駆け出す。駆け出しすぎたスピードを互いの衝突で緩めながらカカシとの体術戦が引き起こる。回し蹴りをしてくるカカシの足を右手で受け止めながら左手を下ろし殴る。それを受け止め、振り切る。そして体制を整え回し蹴りをし、カカシは再び受け止める。隙を見つけては印を構えようとするも、それを右殴りで阻止し再び乾いた音のみが会場を包む。
この感覚を、俺はどこかで覚えていた。
カカシの動きが手に取るようにわかる。写輪眼をまだ使用してもいないのに、カカシの動きがスローのように見えるのだ。
この感覚は、恐らく既視感だ。
俺が一度後ろに飛ぶと、カカシも同じく距離をとった。お互い忍具ポーチから2本のクナイを取り出し、再び駆け出す。右手で切りかかれば防がれ、左手でかかってくるカカシを右手のクナイで受け止める。体術を交えながらも行われる試合は、今までとは違う。別の雰囲気へと変わる。
…まるで本気の殺し合いの様だ。
クナイで受け止め合って火花が散る。カカシが一瞬だけ、俺との視線をずらした隙に顎を蹴りあげ距離をとる。
「火遁、豪火球の術!」
いつもよりも一回り小さめの豪火球がカカシへ向かう。それを見てカカシはすぐさま動いた。
「土遁、土留壁!」
カカシによって作られた土留壁はカカシの前に立ちはだかり豪火球とぶつかる。凄まじい音と共に煙が舞い、視界をくらます。落ちたクナイを抜き取り掛けながら写輪眼を駆使しつつカカシの位置を把握し、安易的な囮を投げ出す。カカシは先に出ていった囮の方を反射的に見て、上手い形で背後をこちらに向けた。あとから出てきた俺にカカシは身構えられずそのまま俺の蹴りをもろにくらいつつ自身の作った土留壁に当たる。そして決め手の1発を入れようとした所で地面からカカシが腕を掴んでそれを食い止める。本命はこっちだ。
だが、俺は本命の本命だ。
持っていたクナイで切りかかろうとすると『雷分身』がダメージを与える『雷』へと変化し『影分身』に当たる。
蹴りかかろうとしていたカカシが動揺の顔色を見せる。そしてチャクラを感じたのか咄嗟に後ろを振り返るも、遅い。
力強い回し蹴りをカカシの顎にぶつけ、腹にもう1発決める。勢いよく吹っ飛んでいき倒れるカカシが起き上がろうとする瞬間に駆け寄りクナイを喉元まで持っていき、上半身の動きを封じれば、その動きが止まる。
長い静寂、それでも周りへの注意と殺気を飛ばすのを忘れることはしなかった。殺気は飛ばし過ぎず、だが無駄に強めに。コイツが負けるまで、そのクナイを収めたりはしない。そして静寂を破ったのは審判の一拍と引き締まったような声だった。
「勝負あり、勝者うちはオビト。」
静まり返った会場がザワつく。クナイを引き忍具ポーチにしまい、カカシに手を差し伸べる。
「…何だよ、なんでそんなに強くなれた訳?」
悔しそうな、しかしどこか諦めたようなカカシの表情に苦笑をうかべる。この力は、自分の理想を叶えるための、その手段を増やすためのものだった。だから、強くなれた理由など浅はかな物で口に出すことすら恥ずべきことではあるのだが、結局はこう答えてしまっていた。
「…仲間の為だよ。他の誰でもない、お前らの為に、俺はどこまでも強くなるさ。」
仲間、結局はそれが全てで、それが始まりだった。リンは仲間だった。大事な仲間で、想い人だった。だからこそ。そんなリンが、同じ仲間であるカカシに胸を貫かれた姿は、今までで何よりも絶望してしまった。
「仲間って…なんで。」
「さぁな、自分で答えを出せよ。優等生。」
カカシが差し伸べた手に中指と人差し指を出して、静かにその指同士を結んだ。その手は自然と和解の印になっていて、何だかおかしくなって笑えてしまう。
「…今回は、俺の勝ちだな。」
「何それ、次は負けないよ。」
挑発的な笑みを浮かべたカカシに自然と口角が上がった。カカシにとっての次はきっといつも通りの組手だろうが、俺からしてみれば数十年した後の出来事になるなんて、そう言ったらコイツはきっと馬鹿にするのだろう。 
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