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星河の覇皇

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第七十二部第一章 マウリアの人口統計その六

「すぐに逃げられています」
「その通りだ、だから私もだ」
「政策としてですね」
「徹底してあたっているが」
「容易ではない」
「わかっていて行っていることだ」
 その困難であることをだ、ギルフォードは選挙公約の時点でこのことを言っていた。マフィアの一掃をである。
「彼等がいては治安にも悪いしな」
「国家や企業、一般組織の様に力を持っていて」
「健全な統治の邪魔になる」
「特に中央集権的統治には」
「だからだ」
 ギルフォードはまた言った。
「私もだ」
「より中央集権体制を強めますし」
「中央政府の権限を強化してな」
「だからだ」
「マフィアはですね」
「邪魔だ」
 ギルフォードの政策にとってというのだ。
「だから最初から考えていた」
「彼等の一掃を」
「強い国家には闇の組織は不要だ」
 所謂裏社会はというのだ。
「ナチスやソ連がそうだったな」
「はい、そしてファシスト政権下でのイタリアも」
「犯罪組織を一掃したな」
「完全と言っていいまでに」
「国家を統合し力を一つにするのに邪魔だ」
「だからこそ」
「私は彼等を一掃するつもりだ、だが」
 ここでだ、こうも言ったギルフォードだった。
「今のマウリア政府はそこまで考えていないだろう」
「マフィアの一掃までは」
「把握までだろう」
 その段階だというのだ。
「把握してだ」
「マウリア政府としてですね」
「対応を取りたいのだ」 
 アウトカースト層にいる彼等をいうのだ。
「何しろ彼等は戸籍がなかった」
「これまでは」
「そして戸籍がないとだ」
「法律も及びませんね」
 アランソがその氷の輝きの目の光を強くさせて言った、鋭く冷徹なその光を。
「それでは」
「だからこれまではだ」
「マウリアではですね」
「アウトカースト層、マフィアが犯罪を犯してもだ」
「マウリア政府は取り締まれなかった」
「法律が施工されていないからな」
「だからアウトカースト層の政府がですね」
 彼等がというのだ。
「対策を講じていてですね」
「取り締まっていた」
「彼等の法律で」
「そして彼等の警察でな」
「警察も別だったのでしたね」
 アランソもこのことは知っていた。
「他の官公庁と同じく」
「警察署が同じ街にあってもだ」
「一般市民に関係のない警察署で」
「中にいる警官達もアウトカースト層のな」
「警官の階層の者達ですか」
「そうなっていたのだ」
「まさに一つの国に二つの世界があった」
「そうした状況だった」
 マウリアという国はだ。 
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