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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百三十九話 二重唱その十一

「実はね」
「交際されてるんですか」
「そうなの」
 こう僕に話してくれた。
「文化祭がはじまる少し前からね」
「交際されてるんですか」
「内緒にしてる訳じゃなかったけれど」
「交際はですか」
「そうなの、していて」
 それでというのだ。
「今もね」
「二重唱もですか」
「息が合っていたのよ」
「三年B組の青山茂だよ」
 その人からも僕に話してくれた。
「宜しくね」
「青山さんですか」
「そうだよ、そしてね」
「裕子さんとですね」
「交際させてもらっているんだ」
 今裕子さんご自身が言った通りにというのだ。
「今ね」
「そうですか」
「同じ歌劇部にいて」 
 それでというのだ。
「一年生の終わり頃から気になっていたけれど」
 それでもという返事だった。
「ずっと勇気を出せなくて」
「告白されていなかったんですね」
「若し断られて」
 告白には付きものだ、正直告白は一か八かのそれも命懸けのギャンブルをすることと同じ感覚のものだろうか。
「それでね」
「どうなるかって思いますと」
「告白されてから地獄見た人もいるしね」
「そこからですね」
「失恋を囃されてね」
 世の中こうしたことをする人もいる、囃された方はたまったものでなく言った相手を一生忘れない位怨む人もいるという。
「そんな目に遭うかって思って」
「怖くて」
「中々言えなかったんだけれどね」
「私お断りしてもそんなことは」
 とてもとだ、裕子さんは青山さんにどうかという顔で言った。
「絶対に」
「だから周りがそうするから」
「私がそうしなくても」
「それが怖くてね」
「私に告白しなかったの」
「意気地なしでね」
 青山君は笑ってこうも言った。
「こうしたことは」
「舞台では度胸あるのに」
「舞台と違うから」
 恋愛のことはというのだ。
「だからだよ」
「怖くてなの」
「決断するまでね」
「言えなかったの」
「そうだったんだ、けれどね」
 それでもというのだった。
「僕も大学の推薦も決まったし」
「私と同じ八条大学芸術学部にね」
「同じ学校にもなるし、また」
 大学でもというのだ。
「何よりも高校生活の一つの区切りだったから」
「大学のことが決まったことは」
「それでね」
「決断したのね」
「それで告白したけれど」
「私は実はね、前から気になっていたから」
「だから僕の告白をなんだね」
 青山さんは裕子さんにさらに話した。 
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