| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

星河の覇皇

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第七十二部第一章 マウリアの人口統計その四

「どうしてもだ」
「マウリアにおいてもですね」
「存在は無視されてだ」
「政府が存在していても」
「その実態は知られていなかった」
「彼等自身は把握していますね」
 アウトカースト層の者達はだ、マウリアの。
「自分達の政府も」
「そうだった、しかしだ」
「同じ国にいましても」
「まさに二つの世界が存在していた」
「カーストの世界とアウトカーストの世界」
「その二つにな」
 同じ街や村にいても完全にだ、別世界であったのだ。お互いの世界を無視してそのうえで暮らしていたのだ。
「それは今もでだ」
「彼等は同じ世界に存在する別世界ですね」
「異次元、いやパラレルワールドか」
「そうしたもので」
「同じ世界にあるな」
「不思議ですね」
「私もそう思う、しかしだ」
 それでもというのだ。
「マウリアではだ」
「それが、ですね」
「普通にあったのだ」
 これまではというのだ。
「一つの国に二つの政府がありだ」
「カーストとアウトカーストがですね」
「併存していたのだ」
「アウトカースト層の政府は」
 アランソがここで言った。
「軍事や外交は、ですね」
「それはしてこなかった」
「警察があってもですか」
「彼等の中でのことでだ」
 アウトカースト層のだ。
「カーストの社会には関係がなかった」
「軍事や外交はカーストの政府が行っていて」
「そちらはしてこなかった」
 アウトカースト層の政府はというのだ。
「一切な」
「それは、ですね」
「あった、しかしだ」
「それでもですか」
「このことも大きかった」
 そのアウトカーストの者達にとって、というのだ。
「軍事費という負担をかけなくて済んだのだからな」
「それで、ですね」
「かなりの予算を確保出来ていて」
「それで栄えてもいた」
「そうなのですね」
「そうだった、軍事費や外交でに負担がないだけにだ」
「予算もですか」
 アランソは国家予算の話も出した。
「かなりですね」
「あったのだ」
 実際にというのだ。
「あの政府にはな」
「クリシュナータ主席はその予算と予算を生み出す産業をですか」
「マウリアに入れたいのだ」
「一気に国力を上げ」
「しかも国家を統一する」
「その為にですね」
「そう考えているのだ、中にはだ」
 アウトカースト層の産業、その中にはというのだ。
「マフィアのものもある」
「マウリアでは、ですね」
「そうだ、アウトカースト層の中にだ」
「マフィアもいますか」
「そうした仕事を代々する者達がな」
 カーストには入っていないがカーストとして受け継いでいっているというのだ、このことがまたマウリアの複雑なところだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧