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舞踏病

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第四章

「原因を突き止めましょう」
「そうしよな」
 二人で話してだ、そうしてだった。
 サンチェスはポトフの中の鶏肉を食べてこうも言った。
「鶏一羽丸ごと使ったポトフとかな」
「ええですね」
「鶏肉の味がよお出てな」
「ほんまに、こっちも」
 ガルパンはヒュッツボットを食べつつサンチェスに話した、
「美味いですし」
「これ確かベルギーの料理やったな」
「そうみたいですね」
「ベルギーの料理も美味いんやな」
「隣のオランダは評判悪いですけど」
 オランダ料理はというのだ。
「そやけどこっちはです」
「美味いな」
「幾らでも食べられます」
「ワインも美味いし」
「こっちのワインも」
 赤ワインを飲むとだ、発泡性の甘いワインで。
 実に美味くてだ、ガルパンはこうも言った。
「美味いですね」
「ほんまにな」
「これは幾らでもな」
「飲めますわ」
 こうしたことも話しながら二人は酒も馳走も楽しんだ、その次の日から二人で靴のことを調べていくと。
 踊る者は皆街の靴やで靴を買っていたが靴を造っている職人は同じだった。それで二人は街のその職人のところに行くと。
 職人は昔気質のドワーフで怪しい素振りはなかった、それどころかだ。
 二人から何かしたのかと問われて逆に言い返した。
「それなら調べてくれ」
「そう言うか」
「わしが今の街で踊っている人達と関係があるならな」
 それならというのだ。
「是非な」
「今の言葉は」 
 自身の家でもある工房でそう言われてだ、ガルパンはすぐに察した。
「何かしてる人間の言葉やないな」
「そやな」
 サンチェスもその通りだと答えた。
「間違いなく」
「ってことは」
 職人は関係ない、それならとだ。
 彼は今度は職人にあらためて尋ねた。
「靴の材料の仕入れ先のことで」
「仕入れ先?」
「そうだよ、あんたのな」
「街の北東のボールリバー牧場で革を仕入れてな」
 靴に使うそれはというのだ。
「造ってるんだよ」
「その牧場からか」
「安くていい素材だからな」
 それでというのだ。
「そこから仕入れてるんだよ」
「そうか、あの牧場か」
「それがどうしたんだよ」
「いや、あんたの言葉でや」
 ガルパンは職人に笑って返した。
「わかったさかいな」
「それでか」
「あんたも何も知らない、言うなら利用されただけだってわかったわ」
「俺が?」
「そうだよ」
「話がわからないが」
「すぐに知ることになるわ、ほなな」
 ガルパンは今度は職人から靴の素材の革の仕入れ先である牧場の場所も聞いた、そして牧場に行くとだった。 
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