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ユア・ブラッド・マイン 〜phantom vocal〜

作者:ケンケン4
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13話〜My HERO 《後編》

俺たちは蜃気楼に着くといつも通りマスターがコーヒーを作ってくれた。コーヒーの落ち着く香りが蜃気楼に漂う。カウンターの席に俺、隣に柊。俺たちの前にはマスターと西川先生の並びだ。

「んじゃ。どこから話そうかな。」

そう、柊が口を開いた。俺たちは固唾を飲んで彼女を見守る。

「私の本当の名前は加藤美羽。渋谷大抗争の防衛派のリーダーの加藤家の娘よ。」
「……。」

マスターはそれを聞いて黙ったままコーヒーを飲んでいる。一方、西川先生はただ柊の話を聞いていた。

「ただ加藤家はもう大抗争で負けちゃったからもう無いけどね。だから今まで通り柊って呼んでもらってもいいよ。」
「なあ、柊……。」
「なに?幻?」
「お前、あの大抗争で死んだんじゃないのか?なのになんで……?」
「それはね、あの日、幻と別れてアコースティックギターを取りに行こうとして私の家の人に止められたの。『これから抗争が始まるから逃げた方がいいって。』それで抗争が始まっちゃったから幻の家に行けなかったの。」

そう言って柊もコーヒーを口にする。俺ははあ、と息をついて柊を見つめる。

「それで、なんで抗争が終わって渋谷に戻ってきたんだ?千葉にいれば良かったんじゃないのか?」
「んー。それだと幻の魔女になれないじゃん!私幻の魔女になりたいから私戻って来たんだよ?そしたら幻がショックで記憶喪失とか……。
はっ!」

そう言って柊は何かに気がついたかのように真面目な顔からぱあーと明るい顔になったかと思うとニコッとして俺の顔を覗き込んできた。

「は!まさか幻!私の事そこまで好きだったの?いやー。モテる魔女は辛いですネ。」
「……。」
「イタッ!いきなり頭を叩くな!幻!」
「真面目な雰囲気を返せ!お前まじで昔から変わってないな……。」

俺はちょっとそっぽ向いて。

「まあ……おまえが無事で良かったよ……。」
「ん?幻?今の言葉。ひょっとして……。デレた?デレたよ!マスターさん!西川先生!聞きましたよね!」
「聞いたわよ〜。」
「聞いたわ。」
「ちょっとまってくれ。なんでお前らそんなに耳がいいんだ。ボソッと呟いただけだぞ!?」

俺はそれを言って、はあ、とため息を吐いて。

「それで。これからどうするんだ?お前。」
「ん?幻の記憶戻ったし……」
「それなんだけどさ。」

柊の話を遮って俺は話を進めた。

「実は戻ったと言っても完全に戻ってなくて。お前のことは思い出したんだがいかんせん他の事が思い出せないんだ。」
「「「そうなの!?」」」

俺以外の3人は驚いてそう叫んだ。俺は頭をかいて3人に頭を下げる。

「すまん。」
「謝ることじゃないわ〜。少しずつ戻していけばいいことよ〜。」
「マスター……。」
「そうよ、生徒が困ってるのに私達が助けないでいつ助けるのよ。」
「西川先生……。」
「幻。」

最後に柊が俺の手を取ってまっすぐ俺を見つめる。

「私が幻のこと、全部話してもいいんだけど。それじゃあ疲れちゃうからね。少しずつ話して行くからそれで思い出していこう。」
「柊……いや、美羽。」
「ノンノン!今の私は柊未来だよ!そこの所忘れないでね!」

そう言って柊はニコッと笑って。

「改めてよろしくね?げーん!」

俺は柊の笑顔を見て、ふっと笑う。
喫茶〜蜃気楼〜は今日も平和に一日が終わった。
 
 

 
後書き
取り敢えず契約編は終わり。
次回から番外編です。 
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