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おっちょこちょいのかよちゃん

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17 再びの暗躍

 
前書き
《前回》
 かよ子は長山の妹・小春に紫陽花を見せに不思議な羽根で連れて行く。その翌日、かよ子は長山からその事について礼をされると共に彼に異世界の事を話す。一方、二人組の男女が清水市を訪れたその時、女性がすれ違って因縁をつけてきた不良を殺害する。そして別の小学校では濃藤すみ子が恐ろしい胸騒ぎを覚えるのだった!! 

 
 大野、杉山、ブー太郎、そしてまる子の四人で構成される組織「次郎長」は秘密基地に行く事を考えていた。
「今日、秘密基地行ってみよーぜ」
「そうですね、ブー!」
 皆は放課後!高台に造った秘密基地へと向かった。基地に上がると一通の手紙が置かれていた。
「何だ?」
 大野は手紙を読んでみる。内容はこう書かれていた。

 「次郎長」の皆

 今日、ウチのすみ子の様子がとてもおかしかった。とても胸騒ぎがすると言っていた。もしかしたら清水に恐ろしい敵が来た可能性がある。俺達はまた明日、基地に来る。もしそっちにも何か変な事があったり起きたりしたら教えてくれ。

 「義元」の山口

「すみ子ちゃんってあの子かあ~」
「ああ、俺達ももしかしたらこの石を使う事になるかもしれないな」
「オイラもやな感じがするブー・・・」
 四人は基地に入り、清水の景色を見た。この景色が失われる恐れができてしまうとなると彼らも落ち着かなくなってしまった。
(前に山田の家で戦ったアレクサンドルとアンナって奴みたいなのが来ているのか・・・?)
 杉山は自分に恋する女子の家での戦いを思い出し、まさかと思った。もしかしたらまたその女子を殺害する事を目的とした奴なのかと・・・。
(『アイツ』の事がどうしても気になるな・・・)
「杉山、どうかしたのか?考え事か?」
 大野に聞かれて杉山は我に返った。
「あ、その・・・。なあ大野、前に山田かよ子の家で戦ったアレクサンドルとアンナの兄妹の事、覚えてるか?」
「ああ、そいつらがどうした?」
「俺はまさかそいつらのように山田を狙う奴が来たんじゃないかと気になったんだ」
「そいつら、誰だブー?」
「前に学校に襲いかかって来た奴等だよ。その時は山田かよ子が追い払ったんだが、その後、山田の家で決闘したんだ。俺と大野もやっつけるのに手伝ってやったんだ」
「ええ、かよちゃんが!?」
「ああ、また山田を狙おうとしている奴が来たんじゃないかって気になってんだ」
「か、かよちゃんが危ない!どうしよう!?」
 まる子はその場で慌てた。
「まだそうと決まった訳じゃねえ。山田には俺が言っとくよ」
「杉山君、かっこいい~。かよちゃんと一緒になりなよお~」
「おい、からかうなよっ」

 長山は家に帰ると小春の看病を行った。
「熱は下がったね」
「うん、おにいちゃん、こはるにまたあじさいをみせて・・・」
「うん、もちろん連れて行くよ」
 長山は妹が明日には学校に行ける見込みになって安心した。そして翌日に早速紫陽花を見せてあげようと思った。

 大野、杉山、ブー太郎、まる子は秘密基地を後にし、町に戻った。その時、警察やら町の人が集まっていた。
「な、何事だ!?」
 「次郎長」の四人は現場に近づいた。その場には木を大事にしているという佐々木のじいさんもいた。
「ああ、佐々木のじいさん、どうしたの!?」
「おや、まるちゃん達。実はですね、ここでバラバラになった人の遺体がありましてね、今警察が取り調べをやっているんですよ」
「ええ!?」
 杉山達も現場を見た。遺体は片付けられて確認する事はできなかったが、周囲に血痕が撥ねたように残っていた。
「バラバラになった遺体・・・。お、恐ろしいブー・・・!!」
「杉山、これ、もしかして・・・」
「ああ、可能性は高いな」
 急いで皆は警戒しながら家に帰った。

 かよ子は宿題を終わらせるとおやつを食べ、そして部屋で漫画を読んでいた。その時、母が入って来た。
「かよ子、杉山君から電話よ」
「ええ!?」
 かよ子は驚き、電話に出た。
「も、もしもし・・・」
「山田あ!お前、無事だったか!」
「え!?何かあったの!?」
「ああ、町で殺人事件があったんだ。それも人の体がバラバラになっちまっていたんだ!これはただの殺人事件じゃねえ、きっと異世界からの人間の仕業に違いないと思うんだ!」
「え、ええ!?」
「もしかしたらアレクサンドルとアンナって奴等みたいにお前を狙っている奴かもしれない!気を付けろよ」
「う、うん!!」
「じゃあな」
 かよ子はその話を聞いて恐ろしくなった。外を出歩く時は非常に警戒しなければならないと己を気を付けた。何しろ自分はおっちょこちょいなのだから。

 翌日、かよ子の父が新聞を読むと、恐怖に駆られた。
「昨日、清水に殺人事件があったみたいだね」
「ええ!?新聞見せて!!」
 かよ子は父に新聞を見せて貰った。新聞の記事の見出しには『静岡県清水市内の住宅地で殺人事件発生』とあった。
(清水市内で・・・!!)
 かよ子は新聞の記事の詳細を読んだ。以下のように書かれていた。

 【6月3日未明、静岡県清水市内の住宅地にて男性3名と思われる遺体が粉々になっているのが発見された。犯人は現在の所分かっておらず、警察は捜査を続けている。】

(これ、杉山君が電話で言ってた事件・・・!?)
 かよ子は恐ろしく感じた。また別の異世界からの人間がこの清水市に訪れており、そして狙うのは自分かもしれないと・・・。
「もしかして・・・」
「ああ、前にきたあの兄妹みたいに別世界の人間の仕業かもしれないね」
「うん・・・。お父さん、私外歩く時、気を付けるよ・・・」
 そして登校する時間になった。
「かよ子」
 母が娘を呼ぶ。
「お母さん・・・?」
「たとえどんな敵が来たとしても、恐れちゃ駄目よ。その杖があるんだからね」
「うん・・・。私、絶対に負けないよ!行ってきます!」
 かよ子は家を出て行った。これからどんな敵が来ようと負けないと決心しながら。 
 

 
後書き
次回は・・・
「次なる敵のお出まし」
 かよ子は昨日の殺人事件を新聞で確認した事を杉山に報告する。そしてすみ子は胸騒ぎが止まらずにいた。放課後、組織「次郎長」と「義元」は秘密基地に集合し、かよ子は病気が治った小春を長山と共に紫陽花の咲く場所へ再び向かうが・・・。
  
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