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デート・ア・ライブ~Hakenkreuz~

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第二章【十六夜美亜】
  第十六話「十六夜美亜」

「十六夜美亜と言います。今日からこの竜胆寺女学院に転校してきました。よろしくお願いします」

竜胆寺女学院のとある一年の教室に彼女の姿はあった。竜胆寺女学院の制服に身を包み無造作に腰まで伸ばしていた銀色の髪を半分切り残った髪でポニーテールにした彼女の姿は知っている者でも別人と思えるほど変わっていた。

「ねえねえ!美亜さんって美九お姉さまのご家族の方なんですか?」

「ええ、美九とは従妹の関係なの」

「転校する前は何処に住んでいたの?」

「ドイツのベルリン郊外よ」

「って言う事は帰国子女!?良いな~、私もヨーロッパに行きたいな~」

HRが終わり一限目が始まる前の休憩時間、彼女は早速クラスの女子に囲まれて質問攻めにあっていた。彼女はそれに苦笑しながら答えていく。因みにそのほとんどが美九が用意した内容で彼女はそれを嘘だと見抜かれない程度の演技で話していた。

クラスの女子に囲まれて穏やかな学園生活に身を置くなど数日前までは信じられなかったであろう。しかし、美九のおねがい(・・・・)を聞いた彼女の意志は大きく揺れた。霊力、体力共に消耗していたことで脳に簡単に侵入された彼女は防衛本能との板挟みを受け記憶の大半を失ってしまった。

目的すら忘れた彼女はただ新たに刷り込まれた美九の情報のままに過ごす事となり美九のおねがい(・・・・)の効果で彼女は竜胆寺女学院へと入学を果たしていた。

「…ふう」

「大丈夫ですか、美亜さん。何か困ったことがあったら何でも言ってくださいね?」

「ええ、ありがとう」

彼女は席の前に座っていた少女、遠萢(とおやち)天美(あまみ)に礼を言うと微笑む。人形の如き美しさを持つ彼女の笑みに天美は顔を一気に赤らめて反射的に前を向く。そんな天美に彼女は苦笑すると一限目に使う教材の準備を始めていった。









「あ、美亜さん。こちらに来てください」

彼女が転校してきた日の昼休み。彼女の姿は竜胆寺女学院の食堂にあった。そして一つのテーブルを独占しこちらに手を振る美九の姿も。彼女はそれに気づくと笑みを浮かべそちらに向かう。既に竜胆寺女学院の中では有名になりつつある彼女に羨望の眼差しや嫉妬の視線を向ける者など様々であった。

「遅くなりました。美九」

「いいえ、まだここには慣れてないでしょうし大丈夫ですよ」

彼女の謝罪に美九は笑顔で許す。美九にとって人形の如き彼女が自分の言うがままに行動し、近くにいるだけ満足であった。故に美九は彼女の耳元で再び力を使う。

「…美亜さん、【ずっと私のそばにいてください(・・・・・・・・・・・・・・)】」

「っ!…ええ、勿論よ」

「…それは良かったです。さあ、食事にしましょう」

頭に鈍い痛みを一瞬感じた彼女だったが直ぐに痛みは治まったため美九に返事をする。その返事を聞いた美九は笑顔で喜んだ。

この後、二人は食べさせ合い等をしながら食事を楽しみそれぞれ自分の教室に戻っていく。美九は彼女を自分と同じクラスにしたかったが彼女の学力の事も考え一つ下の学年にせざるをおえなかった。とは言え本人は同じ家、同じ学校に通えているため不満はあれど我慢できる範囲の為特に気にしていなかった。

そして学校が終わると二人は手をつなぎ家へと帰る。

「どうですか?竜胆寺女学院は楽しかったですか?」

「ええ、久しく学業には手を付けていなかったからついて行けるか心配だったけど杞憂だったわ。クラスメイトも優しく接してくれるし不便はないわ」

「ふふ、それは良かったです」

家についてから二人はお茶会を楽しむ。参加者は彼女と美九のみの完全なプライベートなお茶会であった。

そしてお茶会が終われば二人はディナーを楽しむ。豪華な食事に彼女は舌太鼓をうちそれを美九は楽しそうに眺める。その姿はまるで彼女と言う人形を愛し操る操縦者の如きであった。

「さて、食事も済みましたしお風呂に入りましょう。勿論、一緒にですよ」

美九はまるで決定事項の様に言うと彼女の手を引いて風呂場へと連れて行く。家の豪華さに引けを取らないふろ場にて洗いっこをしながら二人は入浴を楽しむのであった。
 
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