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ジェレミー=フィッシャーどんのお話Ⅱ

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第二章

「こちらにマクレガーさんが来れば」
「その時はですね」
「もうすぐにですよ」
 それこそというのです。
「逃げるか隠れますよ」
「そうしないと駄目ですね」
「あの人は本当に怖い人ですから」
 この辺りの動物達にとってはです。
「もう動物と見ますと」
「畑を荒らす悪い奴としか思いませんね」
「そうした人ですから」
 だからだというのです。
「もうですよ」
「逃げますよね」
「はい」
 まさにというのです。
「それか隠れます」
「どっちかですね」
「私はまだパイになりたくないですから」
「私も塩焼きになりたくないですよ」
「お互いそうですね」
「はい、それならですよ」
 若しここにマクレガーさんが来たらとです、二匹でお話しながらそのうえで今は釣りをしました。やがて二匹共それなりに釣ってです。
 これでお互い今日の晩ご飯だけでなく明日のお昼の分まであるだろうという位になったのを見てでした、フィッシャーどんはご主人に言いました。
「ではもう」
「はい、いい頃合いですね」
 ご主人も頷いて応えます。
「それでは」
「もうこれで」
「去りますか」
「そうしましょう」
 こうお話してです、帰ろうとしましたら。
 目の前にそのマクレガーさんが来ました、二匹はそれでびっくりして水辺の草陰に隠れました。ですが。
 フィッシャーどんはマクレガーさんの様子を見てです、首を傾げさせつつお隣にいるご主人に言いました。
「あの、何か」
「どうしました?」
「ご主人の様子がおかしいですよ」
 こう言うのでした。
「どうにも」
「と、いいますと」
「はい、何か」
 マクレガーさんを見ながらご主人にお話します。
「酔っぱらっていて足がふらふらで」
「そういえば」
 ご主人はフィッシャーどんのお話を聞いてマクレガーさんを見ました、すると実際にでした。
 マクレガーさんは右に左にふらふらと歩いています、お顔は真っ赤で表情もいつもと全く違います。
 そのマクレガーさんを見てです、フィッシャーどんはまた言いました。
「お酒かなり飲んでますね」
「そうですね」
 ご主人も見て頷きます。
「あれは」
「いや、いつも怒ってる人が」
 動物を見るとです。
「ああなるとは」
「驚きの光景ですね」
「全くです」
「我々には気付いてないですね」
「では通り過ぎるまで」
「このまま隠れていましょう」
 二匹でお顔を合わせてこうお話してでした。
 フィッシャーどんもご主人も草陰に隠れたままマクレガーさんを見ていました、すると目の前を狐どんが通ってもです。
 何もしません、それどころかこんなことを言いました。
「おう、お前も飲んで楽しくなれよ」
「えっ、あの人があんなことを言うなんて」
 いつも追い掛けられているご主人が驚きの声をあげました。
「まさか」
「こんなことはなかったですよね」
「いつも怒鳴って物騒なことを言う人ですよ」
 畑に来る動物達にです。 
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