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ユア・ブラッド・マイン 〜phantom vocal〜

作者:ケンケン4
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7話〜煙る

「「おめでとう!!」」

喫茶〜蜃気楼〜に入ると西川先生とマスターにそうお祝いされた。俺ははあ、とため息を吐いて、柊はとても嬉しそうに「ありがとう!」と言って受け答えしていた。
それを見て仕方なくマスターに。

「マスター。特製のパンケーキ作ってやってくれ。一方的な賭けだけど賭けに勝ったからな。」
「もう出来てるわよ〜。」

そう言って生クリームとメイプルシロップがたっぷりかかった今にも胸焼けしそうなパンケーキが柊の前に置かれる。柊はぱあーと目を輝かせてパンケーキを食べ始めた。俺はそれを見て一言。

「お前食べ方汚っ!」
「むー!もぐもぐ……。
幻はそういうところがよくないよ!もぐもぐ。
私はレディーで。しかも貴方の魔女なんだから!ごくん。」
「食べてから言え!」

俺は柊にそう言って頭を軽くぺしっと叩く。そのやり取りを見てマスターは笑いながら。

「いい食べっぷりね〜。柊ちゃん。」
「とっても美味しいです!もぐもぐ……。このパンケーキ!」
「だから食べながら話すな!」

俺はそう言ってもう1回柊の頭をぺしっと叩いた。すると柊は頬を膨らませると。

「ペシペシ叩かないで!
……あー!ひょっとして幻。このパンケーキ食べたいんだな!あげなーい!」
「別にいいわ!」
「本当に2人はいいコンビね。」

西川先生はそう言ってニコニコしてコーヒーを1口飲む。すると先生は思い出したかのように。

「そう言えば幻。貴方、柊ちゃんが貴方の『歪む世界(オーバーワールド)』に苦しんでる時に真っ先に支えようとしたわね。あれはなんで?」
「なんでって?」
「貴方、今までの魔女候補の子にはどっか素っ気なくて謝りもしなかったのに柊ちゃんが苦しんでる時は率先して助けようとしたじゃない。」
「……。」

確かに俺はあの時、苦しんでる柊に手を伸ばした。あれは確かに傍から見たら助けようとするように見える。

「なんでだろうな。分からない。」
「分からないって……」

そう言われても分からない物は分からない。ただあの時何故か柊の苦しんでる姿なんてみたくなかった。俺のせいで苦しんでいるなら尚更だった。

「ああ!?」

いきなり柊は思いついたかのように声を上げた。

「そうだ!忘れてた!げーん!歌、歌ってよ。」
「歌?ああ、そう言えば言ってたな。音楽の時間にアコースティックギターならってたから練習もかねて歌ってやるよ。」
「わーい!」
「マスター。アコギ借りるな。」

カウンターの裏にあるアコースティックギターを取り出して美羽を見る。そしてカウンター席に座ってる西川先生と柊を見て。
……柊未来を見て?
あれ?


……柊……美羽?










「幻!?」

幻が歌おうとした直後。幻の体制が崩れ落ちる。それを見て西川先生が慌てて抱きとめる。私も慌てて幻の元に駆け寄る。

「幻!幻!しっかりして!」
「……大丈夫だよ。」

俺は西川先生を制止するとアコースティックギターをマスターに返す。そして柊に向かって。

「すまん、ちょっと体調悪くなった。」
「ちょっとどころじゃないよ!?幻、顔色真っ青だよ。」
「ほんとよ〜。幻。大丈夫?」
「大丈夫……。」

そう言って立とうするが生まれたての馬のようにガクガクと震えるとガクッと膝をつく。
それを見て柊は泣きそうな顔で。

「大丈夫じゃないよ!病院行こう?」
「大丈夫だから……」
「じゃあ私が家までついていく!貴方の魔女だからそれくらいはさせてよ。」
「……。
分かった。」

俺はなんとか立ってゆっくりと屈伸をするとマスターと西川先生に向かって。

「悪い。今日は帰る。」
「本当に大丈夫?なんなら明日のバイトも休んでいいわよ〜?」
「大丈夫だから……。」

すると西川先生は真面目な顔で。

「幻、帰ったらゆっくり休みなさい。明日の学校も体調考えて来ること。分かった?」
「……ああ。」

俺はそれを聞いて心配そうな柊を連れて喫茶〜蜃気楼〜を後にした。  
 

 
後書き
途中の描写は誤字では無いです。 
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