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仮面ライダーディロード~MASKED RIDER DELOAD~

作者:紡ぐ風
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第二部~雅、結婚騒動~
  第4話『ディスペア・リフレイン』

『雅、やめて!』
フェイトの言葉を聞き、ディスペアの拳は止まり、
「ごめんなさい…ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」
ディスペアはうわごとのように呟いて後ずさりする。
『雅!?しっかりして雅!』
フェイトは訴えかける。しかし、
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」
ディスペアはうわごとを言うのを止めない。
「ちょうどよかった。彼も解剖したかったんだ。この際、二人とも実験材料として活用させてもらうか。」
所長はストレージデバイスを構える。

─雅の脳内では、過去の記憶が蘇っていた。
「おめえ、気持ち悪いんだよ!」
小学校低学年の時のクラスメートは雅に言う。
「どこがだよ!言えよ!」
雅はクラスメートに殴りかかろうとする。すると、
「凪風君、やめて!」
担任が雅のことを制する。
「先生、なんでですか!こいつ、人に暴言を吐いたんですよ!」
「凪風君は人をぶってはいけません。それは凪風君が武術を学んでいるからです。」
担任は雅に説明する。
「そんな!どうして俺だけ…」
「クラスのお友達は武術を学んでいないでしょう?とにかく、凪風君はちゃんと謝りなさい。」
「あいつらだって俺の悪口を言ったのに!」
「それはちゃんと謝らせます。」
「わかりました。ごめんなさい。」
雅は頭を下げる。
「いいぜ。気にすんなよ!」
クラスメートはニヤニヤと笑っていた。

ある日のことであった。
「なんで俺の教科書を捨てるんだよ!」
雅は自身の教科書を捨てていたクラスメートに言った。
「だって雅はゴミでしょ。ゴミならゴミ箱に捨てないといけないでしょ?」
クラスメートは当たり前のように言う。
「俺はゴミじゃない!」
雅は拳を握る。
「雅は殴っちゃいけないんでしょ?」
クラスメートに言われて拳を解く。しかし、
「さっきは私達のことを脅したね!」
クラスメートはそう言うと、数人で雅を殴っていた。
「いい?そのアザは階段から落ちて出来たってことにしなさい。」
雅はただ泣いていた。

ある日雅は父、龍道に相談した。
「父上、学校でいじめにあっています。どうすればいいのでしょうか。」
「学校の教師は何をしているんだ?」
「みんなで仲良くしようと言っています…」
「ならお前が強くなれ。」
龍道は雅にそう言った。

中学に上がり、雅の生活環境は更に悪化した。
「痛い!やめてくれ!」
雅は叫ぶ。それを偶然通りかかった教師が発見する。
「お前達、何をしているんだ!早く凪風に謝れ!」
教師は怒鳴る。
「ふぇーい。ごめんなさ~い。はい謝ったからいいだろ?」
同学年の生徒はふざけるように言う。
「ほら、あいつらも謝ったんだから雅も許してやってくれ。」
「先生、あれで謝ったって言えますか。」
雅は反論する。
「俺たちだって真面目に謝ったんすよ。」
「ほら、あいつらもああ言っているんだ。凪風も理解してくれ。」
「…わかりました…」
雅は呟く。そして教師は去る。すると、
「お前が騒ぐから見つかっただろ!謝れよ。俺たちに謝らせて!」
生徒は再び雅に暴行を加える。
「嫌だ。」
雅は声を振り絞って言う。
「っざけんなよ!」
生徒達の暴行は続いていた。

「凪風、何階段から落ちてんだよ。」
「みっともなあい。」
「…お前達が突き落としたんだろ」

「うわぁ、凪風の机の中が丸まったティッシュでいっぱい!」
「もしかして凪風、この教室で…」
「サイテー。」
「なんで俺だけこんな目に…」

「なんで俺の机と椅子はちゃんと置かれていないんだよ…」
雅は無くなった机と椅子を探している。しかし、結局見つからず教室に戻る。
「何が無いだよ。あるじゃん。」
クラスメートは言う。確かにそこに机と椅子はあった。“死ね”“クズ”“ゴミ”等の言葉が彫刻刀で彫られていたことを除いて。


『雅!?気をしっかりもって!』
フェイトは必死に雅に呼びかけるが、呼びかけようとすればするほど、雅とフェイトの波長はずれてしまい、ディスペアの変身は強制的に解除され、フェイトはその反動で壁に叩きつけられる。
「雅!?」
フェイトは雅に呼びかける。しかし、
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」
フェイトの言葉は雅に届かない。
「まったく、実験材料は手間をかけさせないでほしいものだ。」
所長はストレージデバイスに魔力をチャージする。
「クロックアップが使えれば!…ッ!?」
ガタックは何かに気づき、
「クロックアップ!」
クロックアップを宣言する。
「馬鹿め、クロックダウンが発動しているk」
[clock up!]
ガタックのクロックアップは発動され、ガタックは所長のストレージデバイスを弾き、その両手を抑える。
[clock over!]
クロックアップが終了し、所長は驚く。
「何故だ!何故クロックアップが使える!クロックダウンシステムで封じていたはずだ!」
所長が言うと、
「あなたの言っているクロックダウンシステムとは、あれのことですか?」
壁が破壊されリンディが現れると、リンディは指を指し折れた鉄塔を見せる。
「馬鹿な!何故破壊されている!あれはAランク以上の魔力攻撃でないと破壊できないはず!」
「どうやら、物理攻撃には対策していなかったみたいね。」
リンディが言うと、ゴジラが現れる。
「おのれ、実験材料の分際で!」
「さて、あなたには様々な容疑がかかっていますが、まずは危険生物不正所持及び隠蔽の現行犯で逮捕させてもらうわ。」
ガタックは所長に手錠をかける。
「フェイト、AMFも破壊が済んでいるわ。まずは服を再構築するといいわ。」
リンディに言われ、フェイトは衣服の再構築を行う。
「あとは、雅国家象徴の方ね…」
リンディが雅を見ると、雅は胃液をひたすら吐いていた。
「フェイト、雅国家象徴を安心させて。」
「わかったよ、義母さん。」
フェイトは雅を抱きしめて背中をさする。すると、雅は気を失ってフェイトにもたれかかる。
「きっと、精神的に疲れてしまったのね。雅国家象徴を家に運んだら、話を聞かせてもらえないかしら。」
「わかった。」
フェイトは転移魔法で雅と共に家に帰り、雅を寝かせて着替えると、警察庁に向かった。

「それで、雅国家象徴はどうしてあんな風になったのかしら?」
「それが、ディスペアに変身しているときに雅が所長を殴ろうとして、私がやめてって言ったら急にごめんなさいって呟きはじめて、私が呼び戻そうとすると拒絶されて、変身も強制的に解除されて…」
「その時の雅国家象徴の心象風景はどうなっていたか解るかしら?」
「子供の頃の雅が、クラスメートを殴ろうとしていて、先生がやめてって言うと、いろんな人が雅をいじめはじめていました…」
「おそらく、感情に任せた雅国家象徴が誰かを殴るタイミングでフェイトさんの言った『やめて』がトラウマのトリガーになって、旅を始める前のつらい記憶が蘇ってしまったのね。」
「それじゃあ、私のせいで…」
「そんなことないわ、フェイト。あんな状況、誰でも予測できないわ。だから自分を責めないで。」
「はい…」
「フェイトも大変だったでしょう。とにかく休むといいわ。」
「わかったよ、義母さん。」
フェイトは長官室を出た。
「嫌な事件だったわね…」
リンディはため息を吐く。

その頃、所長は取調室で取り調べを受けていた。
「研究所の資料を押収させてもらったが、どれだけの生物をお前の実験台に利用した。答えろ。」
「資料をみれば解るだろう。オルフェノクを10体、ファンガイアを6体、ネイティブワームを25体、イマジンと紅世の徒を8体、ミラーモンスターを12頭、あとは邪神を2頭かな?それよりも、私に早く新しい解剖をさせてくれ。新しい開発がしたいんだ。」
「そうか。お前のゴールはおそらく死刑になるだろう。」
「何故だ?私は化け物を解剖して未来に生かそうとしていたのだ。問題があるのかい?」
「当たり前だ!お前達のやったことはただの大量誘拐に虐殺行為だ。法的に許されない。」
「君たちだって、人を襲う化け物は殺しているだろう。私はそれと同じことをしただけだよ。」
「俺たちは国民からの要請を受け、法を乱す犯罪者と戦っている。お前のように害を放っていない国民は殺していない。」
「人間である私からみれば同じだよ。」
「そうか。犯行の肯定と動機が分かれば充分だ。取り調べは以上だ。このデータは裁判で使われるだろう。」
照井は最後にそう言い取調室から出て、所長を独房に入れる。

その日の夕方、雅は意識を取り戻す。
「っは!?」
意識を取り戻した雅は転移魔法でゴジラと出会った場所に向かった。
“ありがとう、ミヤビ。おかげで息子を取り戻せた。”
ゴジラは頭を下げた。
“よかった。それで、わが国の人工島で暮らす話についてですが。”
“いいよ。そこで息子を安全に育てられるなら。”
“わかりました。それでは、場所を案内します。”
“大丈夫!リンディが教えてくれたから。”
ゴジラはベビーゴジラを頭に乗せて海を渡る。
「よかった…」
雅は安堵する。
「雅、大丈夫だった?」
そこにフェイトがやってくる。
「フェイト!?奴らに何もされなかったか!?」
「うん。大丈夫。それで、あの時照井刑事が保護した子なんだけど…」
「彼の名前はエリオ・モンディアル。ベルカ人を使ったプロジェクトFATEの研究で生み出された子だ。」
「そうだったんだ…」
「それで、今なのは達が作っている機動六課の職員に採用する方法を考えているんだ。」
「機動六課に?」
「そうだ。エリオ君は史実でも機動六課のライトニングに所属している優秀な龍騎士だ。今から精神カウンセリングを行えば、きっと機動六課の職員になれる。フェイトに任せていいか?」
「任せて。私の方にはキャロもいるから、上手くいくと思う。」
「それにしても、フェイトが無事でよかった。」
「雅こそ、大丈夫だった?」
「…大丈夫。僕は装填の守護者だ。本来、あんな風になってはいけないんだ。」
雅は涙を堪えるように言う。
「ごめんなさい、雅。」
そんな雅をフェイトは抱きしめていた。

「それにしても、嫌な事件だったね。」
「そうだな。まさか雅があんな風になるなんてな。」
フィリップと翔太郎は書類を纏めながら言う。
「どうだ?書類は纏まったか?」
「悪いな劉鳳。今回の事件は実情把握に時間がかかりそうだ。」
「そうか。終わったら持ってきてくれ。俺達は引き続き研究所の施設調査を続行する。」
「ああ。書類は任せておけ。」
この事件が残した爪痕は、あまりにも深かった。
to be continued.

次回、仮面ライダーディロード
「最近現れるこいつらは何なんだ!」
「まさか、インベーダーが現れるなんて!?」
「奴らの目的は!?」
「機械と融合した!?」
「あれは…真ゲッタードラゴン!?」
次回『爆進!邪悪なる侵略者』希望を紡いで、全てを救え! 
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