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夢幻水滸伝

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第百一話 超大国の者達その九

「そのうえでな」
「後はな」
 さらに言うのだった。
「暴力やなくて武力を備えてや」
「悪い連中をか」
「退治することもしてる」
「それは猫をいじめた連中への暴力とちゃうな」
 デリーロもそれはわかった。
「あの時の自分は感情の赴くままに力を振るったやろ」
「いじめてた連中を全員叩きのめした」 
 実際にというのだ。
「そうしたわ」
「それはな」
 デリーロもその話を聞いて確かな声で答えた。
「確かに暴力や」
「怒りに任せて使う力はな」
「感情に赴くまま、そこに法律とか理性がなくて振るう力はな」
「暴力やな」
「特にそこに悪意が入るとな」
 そうなると、というのだ。
「ほんまどうにもならんやろ」
「若しくはマフィアか暴徒か」
 フォークナーも述べた。
「どっちかです」
「そんな風やな」
「そやからです」
 こうスタインベックに話すのだった。
「力にはや」
「法律と心が必要か」
「その時のスタインベック君は正しいことをしていましたが」
「暴走してたわ」
「暴走したら正義もです」
 それもというのだ。
「正義でなくなります」
「ヒーローは絶対にそやな」
 ガーランドも述べた。
「暴走せんわ」
「マイク=ハマーでも」
 エミリーはアメリカの推理小説の主人公を思い出した、思考よりも行動を最優先させるタイプの探偵で銃も拳も使う、そして犯人を自分の手で殺すことでも有名だ。
「暴走はしないから」
「あの探偵は暴走すれすれにしても」
 デリーロはこう述べた。
「それでもやな」
「暴走はしてへんな」
「確かに」
 エミリーもその通りだと答えた。
「ああした人でも」
「暴走した正義ってな」 
 何かとだ、トウェインは話した。
「それ悪やからな」
「そうですね」
「そや、ネットでよおおるやろ」
 トウェインはエミリーにも答えた。
「自分の価値観だけで迷惑かけまるくってる奴は」
「大勢いますね」
「あの連中は正義に見えるか」
「全然ちゃいますね」 
 これがエミリーの返事だった。
「それこそ」
「そやろ、正義っていうのはな」
「そこに理性と法律がある」
「自制心もあってや」
 それでというのだ。
「あるもんでや」
「ではわいも」
「そや、悪に怒るのはええが」
 トウェインはスタインベックに強い声で告げた。
「我を忘れるなってことや」
「そういうことですね」
「そや、それでや」
 だからだというのだ。
「自分はその時のことを忘れんでな」
「これからもですね」
「やっていくんや」
「わかりました」
 スタインベックはトウェインに強い声で答えた。 
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