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ある晴れた日に

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61部分:穏やかな夜にはその十


穏やかな夜にはその十

「どちらにしろ飲んで気持ちのいいものが欲しいわね」
「だから。そこは任せてよ」
「絶対大丈夫だからな」
 囁きだが断言する二人であった。
「何があってもうちの店は大丈夫だから」
「安心して来い」
「ならそうさせてもらうわ」
「私も」
 奈々瀬と茜は二人の言葉に納得した顔で頷いた。
「じゃあここから帰ったらスタープラチナね」
「まあそこのところはもう知っているけれどね」
 茜がここで微笑むことができたのは彼女が元々明日夢と付き合いが長いからだ。だからこうした事情も既に知っているのである。
「酔い醒ましには恵美の喫茶店があるしね」
「うちも禁煙よ」
 これは前以って言う恵美であった。
「あとお酒もメニューにないから」
「それはいいさ」
「なあ」
 クラスの男組が恵美の今の言葉に突っ込みを入れる。
「喫茶店で飲むなんてな」
「飲むんならやっぱりそういう場所だよ」
「これが高校生の会話かよ」
 正道は皆の話を聞いて思わず呟いた。
「まあ俺も飲むけれどな」
「そうなの。音橋君も」
「ああ、そうさ」
 未晴の言葉にすぐに返す。
「実は嫌いじゃないぜ」
「何が好きなの?それじゃあ」
「ビールかな」
 少し考えてから答えた。
「あれが一番飲む時が多いな」
「私はカクテルだけれど」
「おいおい、随分洒落てるな」
「といってもあれよ。缶の」
 よく酒屋やコンビニで売っているものである。
「あれを飲むんだけれど」
「それでも洒落てるぜ」
「そうかしら」
「あの連中なんてそのまま一升瓶みてえだからな」
 ここで咲や春華達を見る正道だった。
「実際そうだろ。少年達も」
「この前まあスタープラチナで」
 他ならぬ明日夢の家の店である。
「ちょっとね」
「ちょっとか?」
「まあ一人辺り一升瓶一本は」
「そりゃすげえな」
 率直に唖然とする正道だった。
「そんな感じかよ」
「いつも飲む時はそんな感じよ」
「それって中学からか?」
「一応一年の時から」
 その時から大酒を飲んでいるというのである。かなり呆れた話である。
「そうだけれど」
「俺はまあ小六からだけれどな」
「やっぱりビール?」
「ああ。親父に勧められてな。十二つったらもう大人だってな」
「そうなの」
「最初は苦かったさ」
 ここで少しうんざりとした顔を見せる正道だった。
「どうにもこうにもな」
「皆そう言うわね」
「竹林もそうじゃなかったのかよ」
「ええ、まあ」
 そして彼女も正道のその問いに頷いて答えるのだった。
「そうよ。やっぱり」
「そういうものだよな。じゃあ今度な」
「ええ」
「皆で飲むか」
 こう未晴に提案してきた。
「皆で。どうだよ」
「そうね。クラスの皆よね」
「ああ」
 はっきりと答える正道だった。
 
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