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おっちょこちょいのかよちゃん

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14 これからの町の為に

 
前書き
《前回》
 かよ子は冬田、フローレンス、イマヌエルと共に杉山達の争いの鎮静化に動き出す。その(いくさ)の場に到着した時、すみ子が基地を乗っ取った理由を語り出す。そしてお互いの和解に成功すると共に今後まだ見ぬ敵が訪れたその時、共闘する事を誓い合うのだった!! 

 
 三河口と濃藤は高台に来て濃藤の妹達の喧嘩および戦いの和平の様子を傍観していた。
「濃藤、君の妹、活躍してたな」
「ああ、俺達が手を出さなくてよかったかもな」
「ああ、俺達もそろそろ失礼しよう」
「なあ、ミカワ」
「ん?」
「あのイマヌエルとフローレンスってのは一体何者なんだ?」
「平和維持の為に動いているみたいだな」
(この前、かよちゃんと闘ったアレクサンドルとアンナの兄妹と同様異世界から来たが、あいつらとは目的が全く違う。異世界でも様々な種類があるようだな・・・)
 三河口は異世界について考察していた。
「俺はあの二人がまたここに来てなんか手を貸してくれそうな気がするな」
「そうだな。きっとどこかで俺達の前にも現れるさ」
 三河口は濃藤の発言は予言のように感じた。

 組織「次郎長」と「義元」の和平交渉に成功したかよ子はフローレンスとイマヌエルと別れ、さらにすみ子達「義元」と別れる事になった。
「じゃあ、もし何か異変があったらこの基地に置手紙をするからそれを読んだらまた集まろうぜ」
「ああ!」
 かよ子、冬田は組織「次郎長」と共に帰る。しかし、かよ子は己の罪を思い出した。
「あ、あの、杉山君・・・!!」
「何だよ?」
「ご、ごめんね・・・。ほ、本当は私、秘密基地の事知っちゃいけないはずなのに知っちゃって・・・。基地の事は忘れるよ・・・。それから誰にも言わない・・・!!」
 かよ子は流石に杉山から嫌われると思った。
「ああ・・・。いいよ。確かに最初はお前にも秘密にしたかったんだが、あのフローレンスって奴がお前に知らせちまったんだし、それにお前と冬田が止めようとしなかったら俺達はこの石の使う目的を間違ったまま使っていたしな・・・。」
「え・・・?」
 かよ子は杉山は許しているのかと察した。
「今度、お前もあの基地に上がらせてあの景色を見せてやるよ!」
「う、うん、ありがとう!」
 そして冬田は大野に対して頭を下げようとした。
「大野くうん、ごめんねえ・・・!!」
「泣くなよ、おい!もう気にしてねえよ。ただ、あの秘密基地の事はばらすんじゃねえぞ!」
「うん・・・。やっぱり私、大野君好きよお~」
「おい、抱きつくなよ、暑苦しいな・・・」
 そしてブー太郎とまる子はある事を思いついた。
「そうだ、今度からはあそこを秘密基地じゃなくてその『異世界』ってとこからの敵を倒す為の作戦会議する場所にしようブー!」
「そりゃいいねえ~」

 すみ子は帰る途中、兄に会った。
「あ、お兄ちゃん」
「すみ子・・・」
「今日ね、隣町の子と仲直り出来たの!」
「そうか、よかったじゃん」
「うん!」
「この銃、本当の『敵』が来た時に上手く使えるようにするわ!」
「ああ、きっとできるよ」
 濃藤自身も妹同様、異世界からの侵略によるこの清水の将来が不安だった。だが、すみ子がその能力を行使できるのならば問題はないと彼女を信じた。
 
 かよ子は家に帰って来た。
「かよ子、おかえり」
「只今、お母さん」
「お母さん、今日ね、隣町の学校の子と友達になれたんだよ!」
「あら、よかったわね。きっと何かトラブルを解決したのね」
「う、うん。え、どうしてわかるの!?」
「そりゃ昨日まで何か悩んでたみたいだったからね。でも、かよ子ならきっと自分で解決できると思ってあえて口を出さなかったのよ」
「そ、そうだったんだ・・・」
 かよ子はある事を思い出した。
「そうだ、お母さん。この杖なんだけど、別の世界からのものなんだよね?」
「え?ええ、そうよ」
「この杖が元々あった世界の人に会ってその人から聞いたんだ。その人はこの世界の平和を守る為に今動いているんだって」
「そうだったのね・・・。時間があればまたその杖の事、詳しく教えてあげるわ」
「うん・・・」


 組織「義元」は学校にて「次郎長」との和平の時の杉山の発言を思い出した。
「異世界の人間は実在していたのか。もしそんな奴が出た何て情報が出たら今度はあの武器を間違えないように使おうぜ!」
 山口はイマヌエルが自分達に授けた武器の本当の目的を間違えないようにしようと決めた。
「うん!」
 すみ子はいつかはあの組織「次郎長」やあの山田かよ子という女子と共闘する日が来るといいなと思っていた。これからのこの清水の平和を維持するために・・・。
 
 かよ子の母は娘が学校へと出て行った後、彼女にあげたあの杖の事を思い出した。
(そう、あの世界の人が来たのね・・・。きっとまた会えるかもしれないわね・・・)
 かよ子の母はあの杖のお陰で今こうして生きている事を振り返った。「あの時」は大変だった。生きていけるすら分からなかった。だが、ある人物と出会ってその杖と使い方を示した本を貰い、生き抜いてきた事を。これをいずれ娘にも教えることになるだろう・・・。

 そして放課後、大野、杉山、ブー太郎、そしてまる子の四人からなる組織「次郎長」は例の秘密基地へと行って清水の街並みを眺めていた。
「それにしてもいつ見てもこの眺めは綺麗だねえ~」
「あのすみ子って子もきっこの景色が好きなんだなブー」
「俺達も石松から貰った石、今度は正しく使おうぜ!」
 大野は呼び掛けた。
「そうだな!」

 石松は遠くから組織「次郎長」を見守る。
(あの四つの石・・・。きっとあの少年少女達はきっと世界を保つ事に役立ててくれるであろう・・・)
「石松」
 その時透き通るような声がした。石松は振り向く。そこには一人の女性・フローレンスがいた。
「ああ、お主は大天使・フローレンスか」
「私もイマヌエルも貴方があの少年少女にあの石を託しました事は分かっています。なぜ彼らを選んだのですか?」
「それはな、我が尊敬する親分と同じ名を組織の名としてくれた事が嬉しかったのである」
「その気持ちだけですか?他にも理由がありますでしょう?」
「ああ、あるぞ。それはだな、彼らの体内には正義なる強さを宿している。その能力がある事を某は見ていたのだ」
「そうですよね、きっと彼らならこの世界を守れますよ」
「だな、では某は失礼しよう」
 石松は姿を消した。フローレンスもこの清水を離れる為に旅立つ。
(また、お会いする事になりますわね、山田かよ子ちゃん、冬田美鈴ちゃんも・・・)

 かよ子は杉山から石松という人物に出会って不思議な石の話を聞いていた。
(杉山君達のあの石も、この私の杖、すみ子ちゃん達がイマヌエルさんから貰ったあの武器も、そして私と冬田さんがフローレンスさんから貰ったこの羽根も・・・)
 かよ子はいずれは杉山達「次郎長」、すみ子達「義元」と共にアレクサンドルとアンナのようなこの世界を勝手に改変するような者と戦う時が来ると感じていた。だが、それまでこの生活を何とか取り戻さなければならぬと思った。この人生は止まる事なく続いているのだから・・・。 
 

 
後書き
次回は・・・
「秀才の兄、病弱な妹」
 かよ子のクラスメイトの男子・長山治は色々な事を知っている博識な少年。彼の妹・小春(こはる)は病弱で再び一年生をやる羽目なってしまっていた。その小春が体調を崩したと聞いたかよ子はお見舞いの為に長山の家へと向かう・・・。 
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