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おぢばにおかえり

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第五十三話 おさづけの理その十九

 阿波野君は左右のもう閉まっているお店を見回しながら私に言ってきました。
「お昼は賑やかなんですけれどね」
「夜は寂しいでしょ」
「はい、朝も閉まってるお店ばかりですが」
「朝はこれから開くから」
 私はこう阿波野君に言いました、今は二人共制服姿です。
「だからね」
「それで、ですね」
「そう、夜とは違うのよ」
「夜は静かで」
 阿波野君はこうも言いました。
「寂しいですね」
「寂しいのね」
「そう思います」
 左右を見つつ私に言うのでした。
「本当に」
「そうね、私何度かこの時の商店街歩いてるけれど」
「寂しいですね」
「やっぱりね」
 周りには誰もいません、だから余計にでした。
「こうした時間の商店街はね」
「本当に静かで寂しくて」
「怖いって思う?」
 こう阿波野君に尋ねました。
「やっぱり」
「怖いとは思わないですが」
「そこまではいかないのね」
「寂しいです」
 こう思うというのでした。
「本当に」
「そうよね、私ここ好きだけれど」
 それでもと言った阿波野君でした。
「この時間に行くことは好きじゃないの」
「寂しいからですか」
「そうなの、だから一人で行くって思っていたから」
「嫌だったんですか」
「ええ、けれどそれが当然って思っていたから」 
 もう一気に進むつもりでした。 
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