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バッファロー=カーフ=ロード=ウーマン

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第一章

               バッファロー=カーフ=ロード=ウーマン
 この時アメリカ合衆国は開拓地を西に西にと進めていっていた。
 アメリが合衆国軍の軍人達は険しい顔で話していた。
「中々だな」
「ああ、スー族は言うことを聞かないな」
「あくまで自分達の場所にいようとする」
「居留地に入ろうとしない」
「あそこには多くの金がある」
「他の資源もある」
 スー族の勢力圏にはというのだ。
「だから明け渡してもらいたいが」
「どうもそうはいかないな」
「なら仕方ないな」
「ここは攻めるか」
「そして殺していくか」
「これまで多くあったことだが」 
 アメリカが開拓を進めていく中でインディアン今で言うネイティブアメリカン達の領土を奪っていった、侵略であり多くの血が流れてきた。
 そしてだ、今回もというのだ。
「やるしかないな」
「やるなら徹底的にやるまでだ」
「これまで通りな」
「アメリカは我々のものだ」
「我々の土地だ」
「大西洋から太平洋までそうなる」
「全て我々のものになるのは運命だ」
 彼等の、というのだ。
「明白なな」
「なら必ずだ」
「スー族も殲滅するぞ」
「こちらには武器がある」
「そして数もある」
「スー族の土地は全て我々のものにするぞ」
 こう言ってだ、彼等はワシントンの政府の命令も受けてそのうえでスー族の領土に兵を進めてきた。
 それを見てだ、スー族の者達は誰もが険しい顔になった。
「白人達が来たぞ」
「アメリカが来たぞ」
「攻めてきたぞ」
「もう来ないとか言っていなかったか」
「いや、それはアメリカの常だ」
「奴等は我々との約束は常に破ってきたではないか」
 アメリカのこれまでのことも話された、実際にアメリカはインディアンの各部族との間の条約をこことごとく一方的に破棄して開拓してきた、それもまたアメリカの歴史であった。
 だからだ、スー族の者達も言うのだ。
「これまで通りのことだ」
「では我々もか」
「祖先から住んでいるこの地を追い出されるのか」
「そして狭い居留地とやらに押し込まれるのか」
「土地は皆のものだ」
 これがインディアン達の考えだ、それを付け込まれもしてきた。
「その土地を奴等は独占するのか」
「それが白人達のやり方か」
「黒人や我々と同じ肌の者もいるが同じか」
「それが後から来た連中のすることということか」
「まら我々も戦うしかない」
「この土地を出るつもりはない」
「ここは戦うぞ」
 スー族の者達も決めた。
「何があってもだ」
「ここは戦うぞ」
「皆立ち上がれ」
「アメリカと戦い我等の土地を守るぞ」
 こう言い武器を手にし馬に乗った、その中でカムズ=イン=サイトスー族の調停役の一人である彼も家族も言っていた。
「俺も行く」
「そして戦うのね」
「そうする、俺はスー族だ」
 誇りを以てだ、カムズは赤い肌を持つ精悍な顔で妹に答えた。妹は若く美しい非常に整った顔立ちをしている。琥珀色の目と黒い長く伸ばして編んでいる髪の毛が実にいい。顔立ちは兄に似て精悍なものだ。
 その妹にもだ、カムズは言った。 
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