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蒼穹のカンヘル

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五十枚目

館の談話室にて。

「っという訳でぇっ! 俺達は悪魔と堕天使両方の陣営に属すスペシャルな訳だ!」

篝は真尋に最低限明かせる事、つまりは聖書三大勢力の成り立ちと現状と自分達の立場を開示した。

「え、ぁ、うん」

「で、本題」

篝が手を差し出す。

「僕と契約して龍魔天使になってよ」

「その誘い文句で僕がOKするわけないだろうっ!」

「ちぇー、ノリの悪い奴」

「そもそも、なんで僕なんだ」

「君がロンギヌスにも匹敵しうるセイクリッドギアを持ってるからだよ」

「ぼ、僕が? そんなわけないだろう」

「そう思うのも仕方ない。君のセイクリッドギアは普段の生活じゃぁ役にたたないし形もない。
俺達が概念型って呼んでる物だ」

「概念型?」

「そう。君の持つ神器の名前はオリハルコン。
性質は絶対不変。
簡単に言えば全ての呪術的変化…ゲーム的に言えばデバフを全て無効化する。
それが例え、セイクリッドギアによるものだろうと」

篝がパチンと指を鳴らした。

「どうしたの篝?」

「うわぁっ!?」

突然篝が座ってる椅子の横にヴァーリが現れた。

「ちょっと彼の身長を半減しようとしてみてくれ」

「あ、この子が言ってたオリハルコンの子ね?」

ヴァーリが神器を呼び出し、真尋に掌を向けた。

「真尋君。必死で抵抗しないと身長半減だよ」

「は!?」

『Divide!』

ヴァーリの翼が発光したが、何も起きなかった。

「わ、すごい。本当に抵抗されちゃった」

「お、おどかすな!」

「脅しじゃないさ。今のは本当に君の中の神器が防いだんだ。
ロンギヌスが一つ、ディバイン・ディバイディングの半減をね」

「どうせでたらめだろ」

「お前がそう思うんならそうなんだろうな。お前の中ではな」

真尋がイラついたように拳を握る。

「一応言っとくと、君が龍魔天使になろうとなるまいと監視はつくよ。
君の力は悪用されれば面倒な事になる。
今現在駒王町を任されている俺からすれば、それは看過できない」

「僕のプライバシーはどうなるんだ」

「君のプライバシーと引き換えに世界が救えるなら安い安い」

「ぐっ……」

「だからもう一回聞こう。否、断られたなら事あるごとに聞こう。
龍魔天使になってはくれないか?」

「……考えさせてくれ」

「OK。あ、あと龍魔天使になったら神話伝承研究会に強制入部だから」

「………………やっぱやめとく」

「いや別に何か活動する訳じゃないんだよ? ただ何かあったときに部活で集まってましたって言っとけばある程度の人数集まってても怪しまれないし」

「うーん………」

「返事は今じゃなくていいよ」








結局、真尋が龍魔天使になるのは一月ほど先の事となる。 
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