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竜獅子の願い

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第七章

 甘くない調理用バナナを茹でたマトケ、鶏肉を串焼きにしたムチョモ、塩味で薄いパンの上に卵や野菜を乗せたロレックス、小さなバッタを料理したセネネ、玉蜀黍の粉を湯で練ったボショにデザートとしてマンゴーや椰子の実にパイナップツにパッションフルーツを盛り合わせにしたものを注文してマルーアという雑穀の酒を注文してだった。
 乾杯して飲んでいるとだ、ニャメの手にあるものが宿りその瞬間に彼女の心に声が語り掛けて来た。ニャメはその声をそのままベッシーに話した。
「これはチウタのイヤリングや」
「ウガンダの神様のやな」
「そのアクセサリーでな」
 そしてというのだ。
「政治力を上げてくれる」
「そうした神具やな」
「これまでの二つの神具と合わせて」
「総合力が上がったな」
「そうなったわ」
 ベッシーにマトケを食べつつ答えた。
「有り難いことに」
「ほんまに有り難いな」
「そや」
 こうボショを食べるベッシーに話した。
「よかったわ、しかもな」
「しかも?」
「よかったんはそれだけやない」
 マルーアをストローで吸って飲みつつ言う、アフリカではこの世界でもこの様にして酒を飲むこともあるのだ。
「私自身神託を適えてな」
「それでやな」
「そや、それでや」
 そのうえでというのだ。
「力が全体的に一回り上がったわ」
「そうなったんやな」
「そや」
 このことも心の中の言葉が語り掛けてきた、その言葉をそのままベッシーに話した。
「よかったわ」
「ほんまによかったな」
「実際にな、それでな」
 ニャメはストローで酒を飲みつつさらに話した。
「私はこれからな」
「これからどないする?」
「私達のやることはこれで終わりか」
「神託を適えてやな」
「それで終わりか」
 こう言うのだった。
「一体」
「それはな」
「ちゃうやろ、この世界を救うことや」
「竜獅子さんも言うてたな」
「それが目的やからな」
 それでというのだ。
「今からな」
「行くからな」
「それでや、ここで飲んで食べて」
「そのうえで」
「次の場所に行くで」
 こうベッシーに言うのだった。
「ええな」
「そうするな、やっぱり」
「そや、今は飲んで食べてるけど」
「それが終わったら」
「また一歩踏み出そうな」
 ストローで酒を飲みつつ言った、ニャメはバンパイアの赤い目でもう先を見ていた。そしてそこにどう行くべきかも考えていた。この世界を救う為に。


竜獅子の願い   完


                  2019・7・27 
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