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竜獅子の願い

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第二章

「この辺りのモンスターや獣達には人と無闇な争いは避ける様にだ」
「襲わせてへん」
「そうしてるんか」
「悪者以外はな、ましてこの世界を救うべき星の者達なぞ」
 それこそというのだ。
「襲わせはしない」
「そやねんな、ただ」
 ニャメはここで竜獅子に対して問うた。
「私達のことは」
「わかる、竜獅子の力はわかっていよう」
「ドラゴンとライオンの力を併せ持ってるな」
「そうした種族なのだからな」
 それ故にとだ、竜獅子は王者の口調で語った。
「そなた達のこともわかる」
「そやねんな」
「そしてだ、さっき言った通りにだ」
「悪い奴以外にはか」
「私は人を襲わせていない」
 家臣であるモンスターや獣達にというのだ。
「一切な」
「そう言うけど」
 ベッシーは胸を張って言う竜獅子に言葉を返した。
「私達竜獅子さんに出会うまで」
「戦闘を経てきているな」
「モンスターや獣達とな」
「ならず者には会わへんで」
 ニャメも述べた。
「それでな」
「あの者達は私の配下の者達ではないのだ」
 竜獅子はニャメに答えた。
「ここから少し西に行った洞窟を根城とする別の竜獅子の者だ」
「そいつがかいな」
「その者の配下がな」
「人を襲わせてるんか」
「そうだ、私は何度も言うがだ」
 竜獅子はニャメにさらに言った。
「配下の者達には断じてだ」
「普通の人や善人は襲わせてへんか」
「人とは世界が違う」
 同じ世界に棲んでいてもというのだ。
「その違う世界と無闇な衝突は避けるべきだ」
「そう考えてか」
「私は襲わせていない、だが悪人はな」
「許せんか」
「密猟等には牙を剥く、しかし」
「こうでもないとか」
「世界が違うならお互いに干渉すべきでない」
 断じてという口調での言葉だった。
「だからそうさせていないが」
「その竜獅子は違うんやな」
「人であろうと誰であろうと襲わせる」
「モンスターや獣もか」
「私の配下の者達にもな、だからだ」 
「それで私達の前に出て来た」
「二人が来ると神々から言われてな」 
 そうしてというのだ。
「そなた達がここに来るのを待っていたのだ」
「そやってんな」
「そして二人に頼みがあるが」
「その竜獅子をやな」
「倒して欲しいのだ」
「こっちにも事情があるし」
 ニャメは竜獅子の言葉を受けて彼に答えた。
「受けさせてもらうで」
「今の言葉は断る言葉だったが」
「自乗があるし、やな」
「そうだ、だが受けてくれるのか」
「受けさせてもらう事情があるってことや」
 神託のことは隠してだ、ニャメは竜獅子に答えた。
「私達の」
「それが為にか」
「受けさせてもらうで」
 また竜獅子に答えた。 
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