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仗助にもしも双子の姉がいたら?ネタ

作者:蜜柑ブタ
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吉良吉影の父親(side:仗助)+(side:???)

 
前書き
吉良喜廣回。


でも、ブルー・ブルー・ローズが……? 

 


 俺は、猛烈に腹が立っている。

 

 吉良の野郎…、まさかこの町に巣くっていた殺人鬼だったなんてよぉ…。

 

 姉ちゃんは、何も知らずに文通して、知らずに会ってたってことかよ!

 

 じゃあ、もしあのままだったら、いずれ殺されていたってことじゃねぇのか!?

 

 ぎ…ギリギリだった…。危なかった…。

 

 康一が言うには、吉良は、姉ちゃんに正体を知られたことに激しく動揺してたらしい。

 承太郎さんから聞くに、康一は、吉良にとって姉ちゃんが弱点だと指摘したらしい。それでかなりヤケクソになって康一を殺そうとしたらしい。

 それって……。

「仗助。」

「えっ? あ、はい。」

 俺達は、吉良吉影の自宅に来て、吉良の足取りになる情報を得ようとしていた。

 吉良という表札のある、1階建ての広い家だった。

 なんていうか…、不気味なぐらい、小綺麗にしてある室内だな…。

 机の本棚の上には、健康とか関係の本がきちっと並んでるだけで、飾りっけがない。

 承太郎さんが、吉良の野郎の子供の頃の写真が入ったアルバムを開いてた。

 小3? 面影があるが、今のあの野郎は、名前も顔も、そして過去も全て捨てて別人の人生を歩もうとしてる…。

 

 俺の一番の心配は…、別人になりすました吉良の野郎が、姉ちゃんを諦めているとは思えねぇってことだ。

 

 康一の挑発や、姉ちゃんが来たことで冷静沈着だった野郎が、そこまで動揺して、殺したくなって実際に口にしてたってことは、相当は執着心やらがないとありえねぇ。

 姉ちゃんが、入院している間に、何もかもを解決させねぇと!

 

 吉良吉影。

 1966年1月30日。杜王町生まれ。

 身長175センチ。体重65キロ。血液型A。

 両親が歳をとってからの子供で、父親・喜廣は、吉良吉影が21の時のガンで病死。母親も後追うように老け込んで死んだ。

 両親の死に不審な点はなし。近所の証言によると、とても仲の良い家族だったらしい。

 

「仲の良い家族ねぇ……。」

「ん?」

「どうしたっすか? あっ。」

 承太郎さんが何かに気づいたので、そちらを見ると、ブルー・ブルー・ローズが!

「あんにゃろう…。姉ちゃんを苦しめているばかりか、邪魔しに来たのかよ?」

「待て。」

「どうしってすか? あっ…? えっ?」

 シュルシュルと動いていたブルー・ブルー・ローズが、バケツリレーみたいな感じで何かを運んできた。

 

 それは、ここにあってはならない物だったぜ。

 

「ゆ…、弓と矢!?」

 

『うおおおおおおおおおおおおおおおお!!』

 

「はっ!?」

 どこからか、おっさんの叫び声が聞こえて、弓と矢の、矢が消えた。

「矢が消えた!?」

「何かいるぞ、気をつけろ。」

 その時、部屋の中にあった写真から、ジーッと写真が一枚出てきた。

 すると、ブルー・ブルー・ローズが畳や天井から生えてきてカメラと写真を狙った。

 カメラの写真がひとりでに、跳びはねて根っこから逃げた。

『これはぁ…、これだけは渡さん!! これは、わしの息子を守るために必要なんじゃ!』

「むすこぉ? ってことは…。」

「父親か。」

 跳びはねて床に落ちた写真には、矢を握りしめている、喜廣が映っていた。

 逃げた写真の親父をブルー・ブルー・ローズが追いかける。

『この根っこは何だ~~~~!! き、傷つけられたら、わしの魂のエネルギーが奪われるような気がする!! うわあああああああああ!!』

「ほ~? ブルー・ブルー・ローズってのは、幽霊まで殺せるのか。」

「ならちょうどいいぜぇ。おい、根っこ! 遠慮無く追いかけろよ!」

『き、貴様らのスタンドかぁ!? 止めろ!』

「残念だけど、俺らも止め方知らねぇんだわ。じゃあな。肥やしになったあとで、矢は拾ってやるよ。」

『うおおおおおおおおおおおおおお!! こんなところでぇえええええええ!!』

 写真が上から下から、右から左から、前から後ろから、根っこに取り込まれて逃げ場を失った。

「お~い、何の騒ぎ?」

「うわっ! ブルー・ブルー・ローズ!」

「取り囲まれてんのか!? 今助けるぜぇ!」

「っ! やめろ、億泰!」

 次の瞬間、億泰のザ・ハンドの右手がブルー・ブルー・ローズをごっそりと削り取った。

『い、いまだ!』

「あっ!」

 ブルー・ブルー・ローズの包囲が消えた場所の天井の隙間から、写真が逃げていった。

「馬鹿野郎、億泰! 逃げちまったじゃねぇか!」

「えっ? えっ?」

 俺が怒ってる間に、ブルー・ブルー・ローズは、消えていた。

 俺らも…ブルー・ブルー・ローズに囲まれてて、動けなかったのもあるが、完全に油断してた……。

 すると承太郎さんが、俺の肩を叩いた。

「待て。どうやらまだ終わっていないようだ。」

「はあ?」

「根っこが俺達を呼んでるらしい。」

 言われて見ると、ブルー・ブルー・ローズの根っこがこっちだと言わんばかりに、フリフリ振られていた。

 

 

『は~は~は~! さすがに野外までは…。げぇ!?』

 

 あのオヤジの声が聞こえた。

 家の塀のところで、ブルー・ブルー・ローズに襲われかけている写真があった。

 へへん! 残念だったな! ブルー・ブルー・ローズは、無機物があればどこにだって出現できんだよ!

『こ、肥やしにされてたまるかああああああああああ!!』

 写真の親父が糸を出して、ちょうど低空飛行していたカラスの首にかけやがった! そしてそのままカラスに引っ張られて飛んでいってしまった!

 ああ、あとちょっとで、擦りそうだっただったのに!

 飛んでいくカラスを追いかけることも出来ず立ち尽くす俺達だったが、ブルー・ブルー・ローズだけは、その場から消えながら、ニュニュニュ…っと陸地を伝いながら写真を追いかけていたことに、俺達は気づかなかった。

 

 

 うぅぅぅぅううううおおおぉぉぉぉおおおぉぉ

 

 

「! なんか聞こえなかったっすか?」

「…ああ。」

 

 な、なんか…、地の底から聞こえてくるような、不気味なうなり声のような…。

 

 けれど、俺達は知らなかった。

 さっきの謎のうなり声を、この杜王町中の人間が聞いていたことを…。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

side:???

 

 

 

 ワタシは、ワタシ…

 

 枯レル前ニ…、終ワラセ…ル

 

 オマエは、逃ゲラレヤ、シナイ

 

 逃ガシは、シナイ

 

 ××××××

 

 オマエは、逃ゲラレヤ、シナイ

 

 

「……ぅう…! ハッ!」

 

 私は、うなされた末に飛び起きた。

 これほどにうなされたのは、何年ぶりだ?

 ああ、いけない。不安とストレスのせいだ。

 早く早く、熟睡を妨げるモノをすべて排除しなければ…。

 私の平穏は、永遠に得られない。

 

 

 うぅぅぅぅううううおおおぉぉぉぉおおおぉぉ

 

 

「!?」

 

 私は、幻聴ではないそのうなり声を聞き、窓を開けた。

 

 遙か遠く…、そこに、巨大な骸骨に赤い根っこが根付いたような異形の幻が、天に向かって叫んでいた。

 

「うおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 私は、再び目を覚ました。

 どうやら夢だったらしい。

 なんて、酷い夢だ……。

 いかんいかん。転た寝してしまうとは、やはり熟睡が足りていないようだ。

 おっと、いけない…。

 私は、今、筆跡に指を慣らしている最中だったのだ。

 

 川尻浩作(かわじりこうさく)として、私は新たに生きなければならないのだから。

 
 
 

 
後書き
ブルー・ブルー・ローズが、以前より活発に動く。
ミナミが引いた、引き金である『好きにしなさい』がもたらすこととは…?
そして、川尻浩作に扮した吉良吉影が見た、巨大な骸骨の怪物とは?

しばらく、ミナミは、登場できないです。
なので、ブルー・ブルー・ローズのみの登場がほとんどかも。 
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