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【完結】Fate/stay night -錬鉄の絆-

作者:炎の剣製
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第009話 3日目・2月02日『校内での争い』

 
前書き
更新します。 

 


現在私は授業中のこともあり基点探しは生徒が減りだした放課後にやろうと思っている。
多分、遠坂さんも乗り出してくるだろうけどそこは臨機応変に対応すればなんとかなる…と、思う。
今日の朝には事前に魔力付与がついている小さい針と刀身がない柄だけの黒鍵をいくつも投影しておいたから、もし遠坂さんが魔術を撃ってきてもなんとか凌げると思う。
セイバーと念話で会話したところ校内にはいないけれど近くの林の中でこちらの様子を伺っているという。

ちなみになぜ私が埋葬機関の使う黒鍵を投影できるかというと色々と事情があったりする。
それはお父さんが死去して葬式が開かれた時に葬儀に出席していた“シエル”という人物に私が魔術師だと気づかれて少しだけど教わった事が起因する。
なんでも昔に仕事で死徒の殲滅をするために組んだ事があるというらしい。
それで話をしている間にシエルさんは当時まだ未熟だったために私の魔術特性をすぐに見破って細い目をされたけど、お父さんに借りがあるらしく隠してくれるといってくれたので安心した。
それとそのお礼として食事をご馳走しますといったら「カレーはないでしょうか?」と聞かれたので、ちょうど作り置きしていたものがあったので出したらものの見事に平らげてしまった。
それで当時とても驚いた。
そして「これは…!」とシエルさんも驚きの表情をして次いで「レシピを教えてくれませんか?」と言ってきたので教えたら、

「感謝します。久々においしいカレーを食べる事ができました」といって、その後「等価交換です」と無茶苦茶なことをいって埋葬機関でも秘奥とされているらしい黒鍵の使用方法などを伝授させてもらった。
今思うと本当にとんでもない人だったなと呆れてしまう。
それで今も少し交流があっていくつかの情報源の一つもシエルさんが噛んでいるからとても感謝している。


―――閑話休題。


…さて、人数も減ってきたので動き出すとしよう。

《セイバー、聞こえてる?》
《なんでしょうか?》
《うん、そろそろ動くからいつでも出れるように待機していて。多分遠坂さんは私を狙ってくると思うから》
《了解しました。ですが道中お気をつけて…私もその時にはすぐに駆けつけます》
《うん。任せるね》

教室で荷物をカバンに片付けながら念話を終了した後、私は校舎を徘徊しようと動こうとして教室を出たらいきなり視線を感じた。
とっさに振り向くと廊下の先十メートル圏内に遠坂さんが待ち受けていた。
…まいったな。いきなり真正面から挑んでくるとは思っていなかった。
オマケにすでに人払いの結界が作動しているらしく私たち以外の生徒は誰も校舎の中に残っていないみたい。

「衛宮さん、どうしたんですか? こんな遅くに一人で…最近物騒ですから早く帰ったほうがいいですよ?」
「そうですね。でもそれをいうなら遠坂さんも同じじゃないですか」
「ふふっ…確かにそうね。でもおかしいと思いませんか? この校舎にはもう私とあなたしか残っていないんですよ?」
「そうなんですか?(そろそろ仕掛けてくるのかな? もし間違いだったら記憶とか消す算段とか立てて…そうなら一回やり過ごしてみようかな?)」
「ええ。それはもう確認済み…だって、私がそうしたんですから!」

途端、遠坂さんの目つきが鋭くなった。
朝に綾子が言っていたけど、これが本性って奴なのかな? いつもの雰囲気ががらっと変わって敵意を剥き出しにしている。
いけない、後手に回った…!

「間違いだったら謝るわ。無論その記憶もないでしょうけど! Anfang(セット)……!」

魔術回路の起動と思われる詠唱が唱えられた途端、遠坂さんの左腕が緑色に輝きだした。
見て分かるほどに線が広がっている。
初めて見るけどあれが魔術刻印…。
そして一指し指を構えるとなにかが凝縮されていく。それが放たれたのは私が咄嗟に避けた後だった。
私がいた場所にすべてそれが打ち込まれていて少しコンクリートの地面を削っていた。
…もしかしてあれって“ガンド”? 確かガンドって呪いの魔弾で物理的殺傷性はほとんどないって魔導書には書いてあったけど。
あ、でも確か…、

「あら、アレを避けたの。意外に足が早いのね」
「私を殺す気ですか…?」
「ええ。普通の人間なら死にはしなくても重症は負うでしょうね。
でも、あなたはそれを避けた…すごい身のこなしだったけど魔術は使っていない。
だからまだ分からないけどこれで確信したわ」
「なにを、ですか…?」
「まだとぼける気? あなた、マスターなんでしょ?」

遠坂さんは一息ついて、再度指をかざして私の反論も待たずしてガンドを放ってきた。
避けようと思えば避けられるけど一方的だとジリ貧になっちゃう。
だからしかたなく私は腰のホルダーから針を取り出し指の隙間に挟むように掴んで飛んできたガンドめがけて鉄甲作用を用いて放った。
そして私達の間で衝突音が鳴り響いた。

「えっ…? 私のガンドが掻き消された? いえ、なにかを当ててきたの!?」
「もう隠しても無駄でしょうから相手になります。遠坂さん…」
「…なにをしたのか分からなかったけどようやく尻尾を出したわね?」
「ええ、私は確かに魔術師です。争い事はあまりしたくないですが、そちらから仕掛けてきたんですから恨まないでくださいね?」

そして私は口内で「同調開始(トレース・オン)」と唱えて魔術回路を起こしホルダーから刀身無しの柄だけの黒鍵を数本取り出して構えた。
遠坂さんは少し動揺したようだけど「上等!」といってまたもやガンドを放ってきた。
だから私も黒鍵を構えている反対の手で針を飛ばし応戦した。
そして今度はただの針ではなく投影したものなのでガンドに衝突した瞬間に幻想を開放して軽い爆発を起こさせて粉塵を舞い上がらせた。
当然、このような事態になると思っていなかったらしく「ちょっ! なによこれ!?」と慌てた声が聞こえてきたけど構ってあげない。
即座に足に魔力を集中させて後ろに回りこみ低い姿勢から急所を狙おうとしたけど、突然私の前に人影が出現したので咄嗟に後退した。

「大丈夫かね凛? ひどくやられているようだが…」
「ケホッ、ケホッ…うるさいわね。少し油断しただけよ!」
「それは結構。これからは慢心しないように気をつけたまえ」
「遠坂さん…その人は」
「ええ。私のサーヴァント・アーチャーよ。これで形勢逆転ね、衛宮さん」

ふふん! と余裕の笑みを浮かべているけど遠坂さんは私もマスターだということを忘れているのかな?


―――それは思い違いもいいところだ。魔術師(メイガス)―――……


凛とした声とともにセイバーが遠坂さん達の後ろに現れてアーチャーはすぐに干将・莫耶を取り出して受け止めようと交差させたけど、それごとセイバーは叩き壊してアーチャーを壁に吹き飛ばす。
それに便乗して私は遠坂さんの手をとって腕ひじきをして動きを取れないようにした。

「くっ!?」
「凛っ!」
「動かない方がいい、アーチャーのサーヴァント。今あなたのマスターは私達の手の内にある…」
「ぐっ!?」



──Interlude


…なんて、油断。
まさかすでに私達の後ろにサーヴァントが来ていたなんて。
気配が無かったことからアサシンのサーヴァントかとも一瞬思ったけど衛宮志郎のサーヴァントを見た途端、その考えはすぐに吹き飛んだ。
だって冷徹な目で私と壁に叩きつけられているアーチャーを見るサーヴァントは、アサシンと比べるのも奢がましい程に綺麗で、凛々しく、されど体中から溢れている魔力とその人を惹きつけるような魅力的な顔をしていて、その、悔しいぐらいに可愛らしかったんだから。
そして間違いなくもっとも私が引き当てたかった最優のサーヴァント“セイバー”。

「ふぅ…なんとか一段落ついたね。
とりあえず遠坂さん、殺しはしないからアーチャーを一回下がらせてもらって構わないかな?
手荒なことはしないから安心して。セイバーにも先に伝えてあるから大丈夫よ」
「シロ、それでは私が悪者のような言い方のように聞こえましたが…」
「あっ、ごめんね。そんなつもりは全然ないから…」
「ふふっ、わかっています。シロは素直でよろしいですね」

衛宮志郎はいつもどおりの嘘偽りない表情で言っているため、そしてなにより先ほどの魔術師の顔からすぐに普段のあどけない少女の顔になってセイバーと笑いあっている。
それで警戒していた私が馬鹿らしくなったため、そして毒気も抜かれたためにしょうがなくアーチャーを霊体化させた。

《いいのか凛? …まだ完全に信用したわけでもないだろうに》
《わかってるわよ。でも今は多分もう争いはしないと思うから、あんたは今のうちにセイバーにやられた傷を回復させときなさい。手加減までされたんだから今日中には完治するでしょ?》
《…わかった》

アーチャーと念話を終了させた後、二人に向かい合うと既に二人からは魔力は感じられなかった。
セイバーにいたっては武装解除までしてあろうことか普段着になっていた。
一瞬ありえないという思考が支配したけど冷静に頭をまとめていた。
でも、見事なまでに完敗したなー。
衛宮志郎の魔術がなんなのか分からずじまいでアーチャーはセイバーに傷を負わされてしまって、オマケに私も簡単に拘束されてしまった次第。
情けない、の一言に尽きるわ。
でも命があるだけでもめっけもんよ。

「それで、うまい具合に逆に飛び込んでしまった私にあなたはなにをしたいの? やっぱり殺す? それとも洗脳? はたまたサーヴァント略奪?」
「なにを突飛なことを言っているんですか? 私はただ協力を仰ぎたいだけです」
「は…?」
「ですから協力しませんか?」
「あなた、なにを言っているの? 協力ったって聖杯戦争のルールを知らないわけでもないでしょ? これは殺し合いなのよ!」
「そんなことは百も承知です。それも踏まえてまず私の話を聞いてくれませんか? 冬木の管理者である遠坂さんなら私の話は理解してくれると思ってますから」
「見返りはなに…?」
「もう、そんな疑いの眼差しで見ないでください!」
「そうです。それ以上反論するなら私の剣が黙っていませんよ?」

ニッコリとセイバーは微笑んでいるけど目は笑っていなかったので私は渋々従った。



──Interlude next


…しかし私とした事が背後からの奇襲にまったく気づけなかったとは情けない。
セイバーの気配ならすぐ分かると思っていた自分を戒めねば。
だが魔力もまったく感じさせずに、とはセイバーにしてありえないことだ。
ただでさえ魔力放出が武器のセイバーなのだから。
今でさえ武装を解いて凛のお古と言っていた白い服装に酷似した衣装を着ている彼女の姿が懐かしい。
いかん、思考が違う方へいっているな。
しかし魔力を感じさせないとは一体どういうカラクリを仕込んだのだろうか?
先ほどの衛宮志郎の攻撃方法もあくまで凛に手の内を明かさないといった風に魔力のこもった針と黒鍵…鉄甲作用。
そしてまるで殺人貴のような体術を使っているだけだった。
彼女は埋葬機関と縁でもあるのだろうか?
そして強化ならまだしも身体強化までも出来ていたことから当時の私以上なのは確かなことだ。

「それじゃまずは廊下を直しますか?」
「え…? えっと、そんなに壊した?」
「一点集中させて抉ったのによく言えますね?」

まったくその通りだ。
私から見てもあの地面は悲惨なものと化している。
それで凛はなにか呪文を唱えようとしていたが、衛宮志郎が壊れた地面に手を触れてなにかをしようとしていたので凛ともども見学することにした。
だが次の瞬間、驚いた。
衛宮志郎がトレース・オンと唱えただけでそこの物質が変化して地面の傷がまるで何事もなかったかのように塞がっていたのだ。

「変化の魔術か…オーソドックスなものを使うのね? でも出来がすごいわ。一般のものより完成度が高いし…」
「私は使える魔術が少ないですから徹底してきたんです」
「なるほど…」
「でも驚きました。遠坂さんってそっちが地なんですね。綾子が言ってたけど本当に別人みたい…」
「まあ、ね。それじゃとりあえずは応急処置も済んだし人払いも解いたから騒がれる前にここを出ましょう」
「そうですね。それじゃいこっか、セイバー?」
「わかりました」

私の驚きをよそに三人はその場を後にした。
まさに驚きの連続だな。
衛宮志郎は当時の私と比べるのもおかしいほどに魔術師をしている。
使える魔術もおそらく私とそう変わらないだろうがいかんせん完成度がすごい。
甘く見ていては先ほどの二の舞になる。用心せねば…。


Interlude out──

 
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