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おぢばにおかえり

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第五十三話 おさづけの理その六

「あれですね」
「あれって?」
「いえ、先輩って純情なんですね」
 私に笑って言ってきました。
「可愛いですね」
「なっ、可愛いって何よ」
 後輩なのにです、そんなこと言ってくるなんて。そんなことを言われたので思わずこう言い返しました。
「私の何処が可愛いのよ」
「その純情なところがですよ」
「何処がなのよ」
「しかもお顔真っ赤ですし」
「えっ、嘘よ」
「本当ですよ、可愛い感じですよ」
 こう私に言ってきました、それもにこにことして。
「赤くなったお顔が余計に可愛いですよ」
「そんな筈ないわよ」
「いえ、本当に可愛いですから」
 にこにことしたまま言うのでした。
「いや、本当によかったです」
「何かよかったのよ」
「いつもよりも可愛い先輩を見られて」
 それでというのです。
「よかったです、あとですね」
「あと?」
「そろそろ着替えないといけないですよね」
 私にこうも言ってきました。
「そうですよね」
「あっ、そういえば」
 言われて思い出しました、このことを。
「もうそろそろ」
「はい、着替えに行って下さいね」
「そうするわね」
「僕ここで待っていますから」
「覗かないでって言うところだけれど」
 よくあるお話のもって行き方ではです。 
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