| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

夢幻水滸伝

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第九十八話 中国の星達その十三

「出て来るな」
「そうしたものだからね」
「おいらはそこまで悪い奴には出会ったけれどな」
「邪悪な奴っていても少ないよ」
「それが世の中か」
「まああれや」
 羅がここでこう言った。
「普通は完全な悪人はおらん」
「それが普通だよね」
「そや、完全な善人もおらん」
 羅は郭に答えて述べた。
「大抵はな」
「そういうものだね」
「まあヤクの売人とか妊婦さんの腹蹴る様な奴はな」
「完全な悪人と思っていいね」
「そんな連中はこの世界にもおるけどな」
「羅も施も許してないね」
「ああ、文字通りの八つ裂きにしてや」 
 そしてというのだ。
「魂も消し去ってやってるやろ」
「魂を消せば生き返ることはない」 
 魯が述べた。
「生き返る世界でもな」
「それでや」
「完全に消し去ってるんやな」
「そんな連中は生きてても害になるだけや」
「世と人にとってやな」
「そうした連中は容赦したらあかん」
 それも一歳というのだ。
「そやからや」
「中国としても容赦せんで処刑してるな」
「そや、悪党はな」
 まさにというのだ。
「見付け次第生まれてきたのを後悔するレベルで処刑してな」
「魂も消し去る」
「大抵完全な悪人はおらんて言うたけどな」
「完全な悪人がおったらな」
 その時はというのだ。
「もう一切何の用者もせんでな」
「処刑してやな」
「世の害毒を処分する」
「そういうことやな」
「それで完全な善人はや」
 今度は施が述べた。
「これはこれでな」
「注意しないとね」
 施のその言葉に郭が応えた。
「さもないとね」
「そや、自分はよかれと思っててもな」
「それが、だからね」
「恐ろしいことにもなるからな」
「注意しないとね」
「悪意も善意も問題である」
 巴は瞑目して述べた。
「そういうことだね」
「そや、ほんまにな」
 そこはというのだった、施もまた。
「人間は難しい」
「完全な悪、完全な善は稀ですが」
「見付けたらどっちも厄介や」
「何か今の棟梁達のお言葉を聞いていますと」
 張が羅と施の顔を見つつ述べた。
「完全な善の方が厄介な様な」
「そうやな、完全な悪は成敗するだけやけどな」 
 それでもとだ、曹も述べた。
「これがな」
「完全な善やとな」
「常に警戒せなあかん」
「労力はそっちの方がかかるな」
「考えてみるとな」
「そやな」
「善人の方がええと思うけど」
 花華もこう述べた。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧