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レーヴァティン

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第百十一話 都からその一

               第百十一話  都から
 英雄は仲間達と共に都に向かって大軍を動かしていた、大軍だけあってその動きは遅かったがそれでもだ。
 確かに進んでいてだ、それで英雄は言った。
「これはだ」
「大軍の進軍としてはですね」
「速いな」
「はい、道を整えていたので」
 政としてそれを行っていたからだとだ、紅葉は英雄に述べた。
「ですから」
「進軍も速いな」
「お陰で、ただ整ているだけでなく」
「幅もな」
「広く造ったので」
「順調に進めている」
「この通り」
 紅葉も会心の声で言った、そしてだった。
 その進軍の中でだ、英雄は今度は兵達を見て言った。
「いい道を進んでいるから兵達もな」
「疲れていませんね」
「やはり道を整えておいてよかった」
 英雄は今このことを心から言った。
「まさに、ただ」
「それでもですね」
「この道だけでない」
「全ての主な道をですね」
「こうして整えていかないとな」
「軍勢の往来だけでなく」
「商人や旅人、飛脚達もだ」
 彼等もというのだ。
「楽になる」
「行き来が盛んになり」
「そしてだ」
「国が豊かになりますね」
「そうだ、まことにな」
「だから軍の進軍以外に」
「そうだ、道は整えていく」
 そうしていくというのだ。
「政としてな」
「左様ですね」
「道を整えてこそだ」
「政ですね」
「それの柱の一つだ、これからもな」
「全ての主な道をですね」
「整えていく、その中心は」
 それはというと。
「大坂だが」
「他の街もそうなりますね」
「都に江戸もだ」
 東の方も言うのだった。
「あちらもだ」
「道の軸にしていきますか」
「東国のな、やはりな」
「東国の軸はとなると」
「江戸だ」
 この街だというのだ。
「他には考えられない」
「そうそう、江戸だよ」
 その江戸にいた桜子も言ってきた。
「江戸は何といってもね」
「東国の中心だな」
「地理的にもね」
「位置もいいな」
「小田原や鎌倉よりも」
「江戸の方がな」
「場所的に遥かにいいんだよね」
「だからだ」
 英雄もそのことが分かっている、だから今も言うのだ。
「何といってもな」
「東国は江戸だね」
「あの街からだ」
「道を敷いてくね」
「東国はまだ遠いが」 
 それでもというのだ。 
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