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英雄伝説~灰の騎士の成り上がり~

作者:sorano
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第25話

1月16日、同日AM3;45―――

数時間後、オーレリア将軍率いる貴族連合軍の残党によるアルスターの民達の護送を引き継ぎ、エステル達とも合流したロイド達は作戦内容の手筈通り、予め先頭に導力地雷(オーバルマイン)対策用に人を乗せていない自動運転で走らせるクロスベル警備隊の旧型の装甲車を3台走らせ、エステル達とジェダル達は囮の装甲車の後ろを走るアルスターの民達を乗せたクロスベル警察の護送バスにそれぞれ乗り込んでおり、ロイド達はそれぞれ運転にノエルとユウナを任せた支援課専用の車で護送バスの後ろに車を走らせていた。

護送は特に襲撃もなく順調に進み、襲撃地点と想定されている”古戦場”に入ったあたりでは何も起こらなかった。しかし、装甲車が太陽の砦の目の前の敷地に入った瞬間、予め仕掛けられていたと思われる導力地雷(オーバルマイン)による足元からの爆発が起こり、装甲車は炎上し始めた!


~古戦場~

「うわあっ!?」
「そ、装甲車がいきなり爆発を…………」
「一体何が起こったの…………!?」
「皆さん、落ち着いてください!」
「あたし達が外に出て状況を確かめてくるから、みんなは絶対バスから出ないで!――――――リザイラ、後ろのバスも含めて結界は頼むわよ!」
「ふふふ、そのくらいお安い御用です。――――――ご武運を。」
突然の出来事に混乱しているアルスターの民達を落ち着かせる為にミントと共に声を上げたエステルはアルスターの民達とリザイラに指示をし、指示をされたリザイラはその場で魔力を練り始め
「僕達が外に出たらすぐにドアを施錠して、僕達が戻ってくるまで決してドアを開けないでください!」
「りょ、了解しました…………!」
「すぐに外に出て周囲の警戒、そしてバスの護衛をしますわよ…………!」
ヨシュアはバスの運転を務めているクロスベル警察に所属している運転手に指示をし、フェミリンスはエステル達に指示をした後エステル達と共にバスから出ると、もう一台のバスからマリーニャ達とジェダル達がバスから現れ、そして全員が降りるとリザイラが展開した結界によって二台のバスはドーム型の結界に覆われた。
導力地雷(オーバルマイン)…………!ったく、やっぱり仕掛けてくんのかよ…………!」
「ロイドさん…………!」
「ああ…………!全員すぐに車を降りてバスの護衛に!エリィは車から降りたらすぐに信号弾を打ち上げてくれ!」
「ええ…………!」
「おおっ!」
同じ頃爆発が起きた様子を見たランディは厳しい表情で声を上げ、バスと共にブレーキをかけて車を止めたノエルは真剣な表情でロイドの名を呼び、呼ばれたロイドは頷いた後仲間達に指示をして急いで車から降りてエリィが信号弾を打ち上げるともう一台の車に乗っていたユウナ達も車から降り、車から降りたロイド達はすぐにバスに向かい、エステル達と共にバスを囲むような位置でそれぞれの武装を構えた。

「へ~、どうやらその装甲車には誰も乗っていなかったようやな?」
導力地雷(オーバルマイン)対策用に人を乗せていない装甲車に自動運転をさせて”囮”として使うとは…………俺達の知らない間にクロスベルは随分と”変わった”ようだな。」
するとその時男達の声が聞こえると遺跡の壁にいたゼノとレオニダスが跳躍して炎上する装甲車を飛び越えて装甲車の前に着地した。
「!テメェらは…………!まさか、テメェらまでアルスターの連中の虐殺に手を貸しているのか…………!?」
「あの二人を知っているんですか、ランディさん。」
ゼノとレオニダスの姿を見て二人が何者かにすぐに気づいたランディは厳しい表情で声を上げ、ランディの様子が気になったティオはランディに訊ねた。

「ドレッドヘアの野郎は破壊獣(ベヒモス)レオニダス。もう一人のサングラス野郎は”罠使い(トラップマスター)”ゼノ。どちらも”西風の旅団”の連隊長だ。」
「あ、あんですって~!?」
「”西風の旅団”…………”赤い星座”と並ぶゼムリア大陸最強の猟兵団ね…………」
「ああ…………そしてあのガルシアがルバーチェに引き抜かれる前に所属していた猟兵団でもあるな…………」
「どうやら”依頼人”は”一度目の襲撃”が失敗したから、”二度目の襲撃”には念を入れたようだね…………」
ランディの説明を聞いたエステルは厳しい表情で声を上げ、エリィは不安そうな表情で呟き、ロイドは真剣な表情でゼノとレオニダスを睨み、ヨシュアは警戒の表情でゼノとレオニダスを睨んだ。
「久しぶりやな、”闘神の息子”。”星座”を抜けた話は聞いていたけど、まさかお前が警察に就職するなんて、人生何があるかわからんもんやな~。」
「”表の世界”に逃げた事で腕は鈍ったと思っていたが…………”碧の大樹”ではあの”赤の戦鬼(オーガロッソ)”を退けた上討ち取ったと聞いている。その話が本当ならば、少しは楽しませてもらえそうだな。」
「うるせえ!その呼び名はヘドが出るほど気に喰わねぇんだよ!それと叔父貴とは戦って勝ったが、別に”止め”までは刺していねぇよ!叔父貴は俺達に無力化された後別の人物に”止め”を刺されてあっさり逝っただけだから勘違いするんじゃねぇ!」
ゼノとレオニダスに声をかけられたランディが厳しい表情で声を上げて反論したその時
「ハハ、だが”止め”までは刺していないとはいえ、あのシグムントを超えるとはどうやら”俺”やバルデルの領域に近づいているようだな、ランドルフ。」
突如他の男の声が聞こえた後、いつの間にか遺跡の壁の上にいたゼノやレオニダスと同じジャケットを身に纏った中年の男が跳躍してゼノとレオニダスの前に着地した!

「な…………アンタは…………!?何でアンタが生きているんだ…………!?確かアンタは2年前の”リベールの異変”で親父と共に戦死したんじゃなかったのかよ!?」
「ランディ…………?あの人物は一体何者なんだ…………?」
「2年前の”リベールの異変”で戦死したと言っていましたが…………」
中年の男を見て困惑している様子のランディにロイドは不思議そうな表情で訊ね、ティオは真剣な表情で中年の男を見つめた。
「フフ………西風の旅団長、ルトガー・クラウゼルだ。見知りおき願おうか――――――”特務支援課”に”剣聖カシウス・ブライト”の子供達。」
「に、”西風の旅団”の団長さん…………!?」
「な、何かその様子だと、あの人はこの世界にとってとんでもない人物みたいだね~。」
「”猟兵王”ルトガー・クラウゼル…………!だけど彼はランディさんの言っていたように、確かに2年前の”リベールの異変”でロレントを襲撃した際、メンフィル帝国軍の迎撃によって戦死したはず…………」
中年の男――――フィーの育ての親にして”西風の旅団”の団長である”猟兵王”ルトガー・クラウゼルが自己紹介をするとエステル達と共に血相を変えたミントは信じられない表情で声を上げ、エステル達の様子を見たフィアは冷や汗をかき、真剣な表情で声を上げたヨシュアは困惑の表情でルトガーを見つめた。

「いえ、確かに二人の言っているように”その男が一度死んだ事は本当なのでしょう。”」
「ええ…………その男性は他の二人と違って”生者”ではありません。」
「そちらの男性は幽霊の私とは異なる”意志を持って動く死者”――――――”不死者”です。ですが…………」
「不死者なのに………ハッキリ意志持っている事…………不思議…………」
「えっと………”不死者”って何なんですか?」
「”不死者”とは”意志がある屍”――――――要するに”ゾンビ”です。」
「ゾ、”ゾンビ”!?あの人が…………!?」
フェミリンス、エリナ、リタはルトガーの正体を言い当て、ナベリウスは不思議そうな表情で首を傾げ、”不死者”が何なのかわからなかったユウナはセティの説明を聞くと信じられない表情で声を上げてルトガーを見つめ
「ええっ!?あんなにハッキリ意志を持っているのに”不死者”なんですか!?」
「まさかとは思うが”不明体”の同類か?」
「フフ、さすがにそれは考え過ぎだよ。」
「ええ…………天使であるこの身にはあの男は以前戦った”不明体”と違い、”不死者”である事はハッキリわかります。」
ユウナのようにルトガーが”不死者”である事を知ったリリカは驚き、ジェダルの推測にフルーレティは苦笑しながら否定し、ユリーシャは静かな表情で答えた。

「ハハ、再会して早々俺の正体がバレるなんて、”星座”を抜けてから中々面白い連中と知り合ったようだな、ランドルフ。」
「いや、一部は俺も今日会ったばかりの連中なんだが…………――――――そんな事よりも、本当にアンタ達は俺達が護送している連中が”狙い”でここに現れたのか!?」
懐かし気な様子で話しかけたルトガーに対して疲れた表情で答えたランディだったがすぐに気を取り直して厳しい表情で問いかけた。
「我らがこの場にいる…………それが答えだ。」
「ま、俺達としたら”虐殺”みたいな趣味の悪い事はあんまり好まへんねんけど、”依頼人”の”要請(オーダー)”やからな。」
「!やはりあんた達は”アルスター襲撃”を指示したエレボニア帝国政府と何らかの形で繋がっていると思われる”依頼人”に雇われているのか…………!」
レオニダスとゼノの答えを聞いたロイドが厳しい表情で推測を口にしたその時
「アハハ、要請(オーダー)を受けたのは”西風の旅団”だけじゃないよ!」
ルトガーとは逆の位置の遺跡の壁に現れたシャーリィとガレスが跳躍してルトガー達の傍に着地した。

「”赤い星座”まで…………」
「なっ!?”赤い星座”って事はあの二人がクロスベルを襲撃した猟兵達の…………!」
「シャーリィ、ガレス!てめぇら叔父貴やザックスが殺された上”赤い星座”自体が衰退しながらも性懲りもなくまた、クロスベルに喧嘩を売りに来たのか!?」
シャーリィとガレス――――――”赤い星座”の登場にエリィは不安そうな表情を浮かべて呟き、エリィが呟いた言葉を聞いて驚いたユウナは怒りの表情でシャーリィとガレスを睨み、ランディは厳しい表情で二人に問いかけた。
「若に逆に聞きますが、我々”赤い星座”がシグムント様を含めた多くの団員達を殺害した挙句”赤い星座”を”西ゼムリア通商会議”で”国際犯罪者”扱いして我々を徹底的に嵌めたクロスベルに対して”報復”も考えないような”負け犬”にまで落ちぶれると思っていたのですか?」
「どう考えても八つ当たりじゃないですか…………」
「貴方達がそんな事になったのも、全部貴方達自身の悪行による自業自得じゃないですか!」
ランディの言葉に対して厳しい表情で反論したガレスの説明を聞いたティオは呆れ、ノエルは怒りの表情で指摘した。

「ま、シャーリィはそこの所は興味ないんだけどね~。シャーリィが新しくお世話になる事になった”結社”も今回の件に関わっているから、”赤い星座”の猟兵兼”執行者”としてもランディ兄が護ろうとしている人達の殲滅をしなければならないんだ~。」
「あ、あんですって~!?って事は貴女も結社の”執行者”の一人なの!?」
シャーリィの答えを聞いてロイド達やヨシュア達と共に血相を変えたエステルは厳しい表情でシャーリィに問いかけたその時
「フフ、執行者No.ⅩⅦ――――”紅の戦鬼”シャーリィ・オルランド。それが結社の新メンバーとなった彼女のナンバーと二つ名さ。」
カンパネルラがマクバーンと共に転移でシャーリィの傍に現れた!
「結社の執行者No.0―――――”道化師”カンパネルラ…………!」
「ゼムリア二大猟兵団に結社まで協力するとか、何気に”クロスベル動乱”の時よりもとんでもない面子過ぎでしょう…………」
「隣にいる男は初めて見ますけど、やはり結社の”執行者”なのでしょうか…………?」
カンパネルラの登場にロイドは厳しい表情で声を上げ、ティオは疲れた表情で呟き、セティは真剣な表情でマクバーンを見つめて呟いた。

「不味い……よりにもよって”彼”がいるなんて……!」
「パパ…………?やっぱりあの人も”執行者”か”蛇の使徒”なの…………?」
「それにその様子ですとあの男は結社の中でも相当な危険人物のようですわね。」
マクバーンを見て厳しい表情を浮かべて呟いたヨシュアの言葉が気になったミントは首を傾げ、フェミリンスは真剣な表情で推測し
「ああ…………彼は執行者No.Ⅰにして”鋼の聖女”と並ぶ結社最強の使い手――――――”劫炎のマクバーン”だ。」
「あ、あんですって~!?しかもNo.Ⅰって事は、あのレーヴェより上じゃない!」
「それもあの”鋼の聖女”と並ぶ程の強さだなんて…………」
「な、何か状況はよくわかんないけど、エステル達にとっての強敵のオールスター状態のようだね~………」
「…………確かにあのルトガーという男とマクバーンという男は他の連中とは”格”が違うようだな。」
「フフ、あのアルスターって町の戦いの時よりは楽しめそうかな?」
「そんな暢気な事を言えるのは”魔神”であるフルーレティさんくらいですよ…………」
「ハハ、雑魚共を燃やすだけの気が乗らない話だったが、”漆黒の牙”に加えて”剣聖”の娘達に”特務支援課”までいるとは、”光の剣匠”とやりあった時の次くらいには楽しめそうじゃねぇか。」
ヨシュアの情報を聞いてロイド達と共に驚いたエステルは驚きの声を上げ、エリィは不安そうな表情を浮かべ、エステル達の話を聞いていたフィアは冷や汗をかいて表情を引き攣らせ、ジェダルはルトガーとマクバーンを警戒し、静かな笑みを浮かべて呟いたフルーレティにリリカは疲れた表情で指摘し、マクバーンはエステル達を見回して不敵な笑みを浮かべた。

「クク、幾らリベールとクロスベルの”英雄”が揃っていようとこれ程の使い手が相手だとどうしようもあるまい。」
するとその時エステル達やロイド達にとって初めて聞く男の声が聞こえた後黒衣の男が転移術によって仮面を被ったコートの青年とジョルジュと共に現れた!
「だ、誰…………!?」
「俺達も初めて会う相手だが…………」
「状況を考えれば、連中は少なくても俺達の”敵”である事は確かだろうぜ。」
「ヨシュア、あの3人に見覚えは?」
「いや…………少なくても僕が知る限りの”執行者”や”蛇の使徒”の中に彼らはいない。だけど”転移”を使ったという事は恐らく結社と何らかの繋がりがある組織の可能性は高いと思うよ。」
黒衣の男達の登場にミントは困惑の表情で声を上げ、ロイドとランディは警戒の表情で男達を睨み、エステルに訊ねられたヨシュアは男達を警戒しながら答えた。

「フフ、初対面でそこまで見抜くとはさすがはかの”白面”殿に仕込まれただけはあるようだね?」
「あ、あんですってぇ…………!」
「ど、どうしてパパの事を…………」
「…………まさか貴方は…………」
「アルスター襲撃の件から今の状況、そして”白面”が知人であるという発言から考えて…………結社の十三工房に参画していた集団にして結社を裏切り、鉄血宰相と手を組んだ”黒の工房”の関係者――――――特に黒衣の”不死者”である貴方はその責任者ではなくて?」
男がヨシュアの過去を知っている事にエステル達が血相を変えている中フェミリンスは自身の推測を口にした。
「ええっ!?それじゃああの黒衣の男も不死者なんですか!?」
「ええ…………それとそちらの仮面の男も”不死者”ですね。」
フェミリンスの推測を聞いたリリカは驚いて黒衣の男を見つめ、リリカの言葉に頷いたユリーシャは真剣な表情で仮面の青年に視線を向けた。

「ハハ、ご明察だ。黒の工房長にして”地精”の長である”黒のアルベリヒ”だ。」
「”蒼のジークフリード”。”地精”に所属している。」
「…………ジョル――――――いや、”銅のゲオルグ”。同じく”地精”に所属している。」
「”地精”…………初めて聞く組織ですね。」
「あのアルベリヒという男の発言からして、恐らく”地精”とは”黒の工房”の別の呼び方――――――いや、”地精が組織としての真の名”なのだろう。」
黒衣の男――――――黒のアルベリヒ、仮面の青年――――――蒼のジークフリード、そしてジョルジュ――――――銅のゲオルグがそれぞれ名乗った後に呟いたセティの疑問にロイドがアルベリヒ達を睨みながら自身の推理を答えた。

「ハハ、またもやご明察だ。さすがは誰よりも早くクロイス家の”真実”に辿り着いたガイ・バニングスの弟と言った所かな?」
「ガイさんの事まで知っているなんて…………」
「…………どうやらその口ぶりだとディーターさん達とも――――――いや、それどころかヨアヒムを含めた”D∴G教団”とも何らかの繋がりはあったようだな?」
アルベリヒのロイドに対する評価を聞いたティオは不安そうな表情を浮かべ、ロイドは厳しい表情を浮かべてアルベリヒを睨んで指摘した。
「フフ、”そちら”に関しては私はそれ程関わっていない。――――――かつて結社の前三柱の”白面”殿とはそれなりに懇意にさせてもらっていた。自律稼働型の小型戦術殻のテスターになってもらう形でね。フフ、12年前のハーメル事件でも多少は役に立ってもらったものだ。」
「ッ…………どういう事だ?」
「それって教授がエレボニアの主戦派を曝して起こしたっていう…………!?」
「…………どうやら”ハーメル”の件には隠された事情がまだ残っていたみたいだな。そして今夜――――――いや昨夜起こった”アルスター襲撃”、アルスターの人達を護送している俺達の前に現れた事、更にあんたがオズボーン宰相と手を組んだ事を考えると…………――――――あんたが猟兵達に”アルスター襲撃”を依頼した”依頼人”なのか!?」
アルベリヒが口にしたある言葉を聞いたヨシュアとエステルは血相を変え、ロイドは真剣な表情でアルベリヒを睨んで問いかけた。

「クク…………ハハ…………ハハハハハッ!見事だ!まさにその通りだよ!まさかたったそれだけの情報で、それも僅かな時間で私に辿り着くとは正直驚いたぞ!」
「あ、あんですってぇ…………っ!」
「つまりアルスターの件の”黒幕”はその男という事か。」
「ッ…………何故、”第二のハーメル”を生まれさせようとした!?それも”ハーメル”の時のようにリベールに冤罪を押し付けて、エレボニアとメンフィル・クロスベル連合との戦争にリベールを巻き込もうとしている!?」
声を上げて笑った後に答えたアルベリヒの答えにエステルは怒りの表情を浮かべ、ジェダルは静かな表情でアルベリヒを見つめ、ヨシュアは怒りの表情でアルベリヒに問いかけた。
「フフ、全ては”地精”の悲願である”巨イナル黄昏”を成就させる為とだけ言っておくよ。」
「”巨イナル黄昏”…………?」
「意味は全くわかんねぇが、シャーリィ達どころか結社まで関わっているとなると”碧き零計画”と同等か、それ以上のロクでもない計画なのは間違いねぇだろうな…………」
アルベリヒの答えの意味がわからないエリナは眉を顰め、ランディは厳しい表情を浮かべた。そしてアルベリヒが指を鳴らすと数百人の北の猟兵達や軍用犬達が一斉に現れてバスを守っているエステル達やロイド達を包囲した!

「”赤い星座”や”西風の旅団”とも恰好が異なる猟兵という事は彼らが課長達の話にあったクロスベルに潜伏していた…………!」
「”北の猟兵”なんだろうね~。」
「これ程の数の猟兵がクロスベルに潜伏していたなんて…………」
北の猟兵達の登場にノエルとシャマーラは真剣な表情で呟き、エリィは不安そうな表情を浮かべた。
「ほう?まさか彼らの存在を把握していたとは。ちなみにだが”北の猟兵”はここにいる者達だけでなく、他にもいるが…………その者達は今頃クロスベルを襲撃している――――――かつてクロスベルを独立させる為にディーター・クロイスが雇った猟兵達がクロスベルを襲撃した時のようにね。」
「なっ!?それじゃあロスベルからの応援が着くのが遅れるように猟兵達にクロスベルを…………!」
アルベリヒの話を聞いたユウナは驚いた後アルベリヒを睨んだ。
「――――――そういう事だ。”北の猟兵”達にはアルスターの民達の殲滅が終わればクロスベルから撤収するように指示する予定になっている。」
「僕達の目的はあくまで”アルスターの民達の殲滅”だ。クロスベルが大切ならば、アルスターの民達を僕達に引き渡してくれ。」
「どこで襲撃の情報を知ったかは知らないが…………どれだけ抗おうと、お前達如きでは我らの計画の障害にはならない。理解したならば諦めてアルスターの民達を――――――」
ジークフリードとゲオルグが答えた後にアルベリヒがエステル達を見つめて嘲笑して答えかけたその時
「―――ならば俺達からも言わせてもらおう。”お前達如き”で俺達の”覇道”を止められると思っている事自体が大間違いだ。」
突如ヴァイスの声が辺りに響いた!

「何…………ッ!?」
「この声は…………」
「ったく、まさにタイミングを見計らっていたとかし思えねぇぞ。」
ヴァイスの声を聞いたアルベリヒが驚いて周囲を見回している中ティオは明るい表情を浮かべ、ランディは苦笑した。するとエステル達の上空にステルス機能を解除した”ヴァリアント”が二隻現れると共に、北の猟兵達を包囲するようにプリネ、ツーヤ、レーヴェ率いるメンフィル帝国軍とエヴリーヌ、アル、パティルナ、エイフェリア、リューン率いるクロスベル帝国軍がそれぞれ転移魔術によって次々と現れた!

「メンフィル・クロスベル連合軍やと…………!?」
「ステルス機能を搭載した戦艦に兵達を待機させて、”転移”による包囲網…………!」
「バカな…………最初から襲撃が読まれていたというのか!?」
「アハハ、こんな事、”西ゼムリア通商会議”の時以来だね~。」
メンフィル・クロスベル連合軍の登場にゼノは驚き、レオニダスはすぐにメンフィル・クロスベル連合軍の行動を悟って声を上げ、ガレスは信じられない表情で声を上げ、シャーリィは暢気に笑っていた。そしてエステル達の前にヴァイス、リセル、リウイ、イリーナ、ペテレーネ、エクリア、リフィア、ゼルギウス、シグルーン、リアンヌ率いる鉄機隊、リィン率いるリィン隊に加えてセリカ、サティア、ロカが転移魔術で次々と現れた――――――!
 
 

 
後書き
敵のメンツは閃4のリィン復帰時のような豪華メンツを思わせるような顔ぶれでしたが、味方のメンツはそれを軽く超えちゃいましたwなお、メンフィル・クロスベル連合軍の登場あたりからのBGMはVERITAの”覇道”だと思ってください♪ 
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