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レーヴァティン

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第百十話 都に移りその八

「いざという時にも備えてな」
「わかったよ、じゃあね」
「今からな」
「出陣してだね」
「まずは都に入る」
 今話しているその街にというのだ。
「そうするとしよう」
「それじゃあね」
「では出陣でござる」
 先陣を務める智も言ってきた。
「そうするでござるよ」
「そうだな、ではな」
「これよりですな」
「命じる、全軍出陣だ」
 英雄は自分からこの言葉を出した、そしてだった。
 大坂から十万を優に超える大軍が出陣した、水軍も動き彼等はそれぞれ陸と川からまずは都に向かった。
 そしてだ、都に進みつつ英雄は馬上から言うのだった。
「戦う前にな」
「あらゆる手を打つっちゃな」
「そうする」
 愛実にもこう返した。
「いつも通りな」
「打てる手は全部打つっちゃね」
「それが俺だ、ただ」
「ただ?」
「打つ手は色々でだ」
 それでとも言うのだった。
「強い手もあればな」
「そうでない手もあるっちゃな」
「そして悪い手もある」
 そうした手もというのだ。
「そうした手はな」
「打たないっちゃな」
「それはな、いい手をだ」
 それをというのだ。
「全てだ」
「今回も打つっちゃな」
「そうだ、そしてだ」
「勝つっちゃな」
「今度の戦もな、しかし」
「しかし?」
「実は若狭に攻め入ることを考えているが」
 この国にというのだ。
「近江での戦の後な」
「ああ、山城からでありますな」
 ここで言ってきたのは峰夫だった。
「若狭まででありますな」
「攻め入ろうと考えていたが」
「それはであります」
 どうしてもとだ、峰夫は英雄に少し残念そうに話した。
「こちらの世界では」
「起きた世界でも最近までだな」
「山城と若狭の間には深い山々が連なっているであります」
 そうなっているというのだ。
「ですから」
「山城から行くことはな」
「まず無理であります」
「道もない」
「ですから」
「若狭についてはだな」
「まずはであります」
 峰夫は英雄にさらに話した。
「近江を手に入れ」
「そしてだな」
「越前の金ヶ崎を抑え」
 この地をというのだ、北陸の入り口となっている。
「そこからであります」
「攻め入るしかないな」
「そうであります」
「そうだな、ではな」
「若狭についてはでありますな」
「今はいい」
 この国についてはというのだ。
「山城から攻め入ることが出来ないならな」
「そしてあちらからもであります」
 若狭からもというのだ。 
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