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フォース・オブ・イマジナリー

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Turn:09 ドラゴンエンパイア支部

 
前書き
毎年行われるドラゴンエンパイア支部のイベントは今年も大盛況
そのイベントの中でヤイバは支部長の安城マモルと出会う
今明かされるヤイバとブラスター・ブレードの出会い 

 
ミライが上機嫌に鼻歌を口ずさみながら生地をかき混ぜていた
「ミライさん、こっちいい感じです」
「ありがとう、ごめんね手伝わせちゃって」
「いえいえ、貰うものは貰ってるので」
「あれ、ミライさんと飛鳥?」
屋台でミライを手伝うクラスメイトの飛鳥コユキを見つけたヤイバは目を丸くしていた

Turn:09 ドラゴンエンパイア支部

「ここ、キャピタルの出店ですか?」
「うん、このイベントの時には毎回ね、元々私の両親が友達と一緒に始めたんだって」
手慣れた様子で調理を続けながら話すミライを見ていたヤイバはコユキの方へ視線を移す
「で、なんでそれを飛鳥が手伝ってんの?」
「ああ、ミツキ経由、元々小学校の頃からの幼馴染で、ミツキとミライさんはチームメイトだったんだけど、ミツキはステージの方やらなくちゃいけないから、代わりに私が頼まれたの」
新しい生地を出しながら説明するコユキは棚の下から袋を取り出す
「せっかくだから食べていかない?」
「まあ、お袋から昼飯買ってくるよう頼まれてるし、少し買っていくか」
「ありがとうございまーす」
「商売上手ねぇ」

職員用のテントでは電話をしながらメモを取るチカゲの姿が
「はい、ありがとうございました、では失礼いたします」
電話を切ったチカゲは一息つこうとするが
「宮導さん」
「あ!ハイ!」
別の職員からの呼ぶ声でそちらへ向かう

「ちょっと今手が離せそうにないみたい」
慌ただしく対応していたチカゲの様子を伝えるミツキ
「困ったなぁ、これどうすっか」
「ミツキちゃん、何かあったのかい?」
「あ、宮導さんにお昼の差し入れなんですけど、今ちょっと忙しそうで」
濃い緑色の髪の男性に声をかけられミツキが事情を説明する
「とすると、君がヤイバ君だね、チカゲ君から色々聞いているよ」
「あ、はい………えっと」
「ドラゴンエンパイアの支部長の、安城マモルさん」
「あ、支部長さんなんですね」
マモルが差し伸べた手を握って握手するヤイバ
「それと噂もね、ブラスター・ブレードを持っていると」
「あ、はい………」
マモルの言葉にヤイバはファイカを取り出して中のデッキを見せる
「良かったらこのカードを手に入れたきっかけなんかも聞かせて欲しいかな」
「あ、えっと、あれはたしかうちの両親が離婚してすぐ………」

「どうして泣いているのかな?」
父親や妹と離れるのが寂しくて公園で泣いていたヤイバに声をかける一人の男性
離れたくない気持ちや何もできない悔しさをヤイバはその男性に打ち明けた
男性の方も真摯になってヤイバの話に応えてくれた
「これを君にあげるよ、イメージは君の力になる」
そう言って男性が取り出したカードがブラスター・ブレードだった

「なるほど………ちょっとごめんよ」
そう言ってマモルは携帯を操作し始める
「ひょっとしてそのカードをくれたのはこの人なんじゃないかな?」
「えっと………」
青い髪の青年の写真を見せられたヤイバはその青年に出会った人の面影を感じた
「あ!そうです!俺が会った時より若いけど間違いありません」
「この人は先導アイチ、若い頃は優秀なファイターで、今は海外でヴァンガードに関する研究をしているんだ」
「先導アイチ………」
「私も小さい頃にあったことがあるけど………どうしてその人が………」
「さあ?僕もアイチ君とはそこまで親しいわけじゃないし、事情を知ってるとしたらもっと近しい人間じゃないかな」
「ここまで引っ張ってもったいつけないでくださいよ」
「ごめんごめん、でも僕は本当に………あ、そうだ」
そう言ってマモルは懐から白い紙を取り出すとヤイバにそれを差し出した
「これは?」
「会場でやってるスタンプラリーのカード、もうちょっとかかりそうだし、それを回ってくるといいんじゃないかな」

ボール当てゲームの近くにあったスタンプを押すヤイバ
「宮導くん?」
「ん?おお、矢代か」
どうすべきかため息をついているとヒトミとアリサが手をつないで歩いていたようで声をかけた
「お前らもスタンプラリーか?」
「うん、このスタンプラリー、全部集めると結構ポイントもらえるから」
まだグレード1のファイカをヤイバに見せる
「まあ、チャンピオンシップに出るにはグレード3以上じゃないとだめだからな」
ヤイバのファイカもグレード2
二人ともまだまだ道の途中にいる

キャピタルが出店しているドラゴンエンパイア焼きの屋台では以前ヤイバとファイトした女性がミライから商品を受け取っているところだった
「本当に久しぶりね」
「ええ、ちょっと興味があってね………」
「いつまでこっちにいるの?」
「オフシーズンの間は居ようかと思って………」
人々が集まる通りを眺める女性
「見届けてみたいの………」

後夜祭を終えたヤイバはキャンプファイヤーを眺めながら座っていた
「今日はお疲れ」
「支部長さん………」
「マモルで構わないよ、どうも肩書で呼ばれるのは慣れなくてね」
そう言って肩を鳴らすマモル
「前にいたところではただ友達同士でファイトしながら軽く話す程度だったんですけど………こうやってファイト以外を楽しむのも俺は好きです」
「気に入ってくれたならよかった………ファイトの方は?」
「もっと強くなりたいっては思いますよ………」
拳を握ってキャンプファイヤーを見つめるヤイバ
イベントの最後、お店を出していた人たちと支部長であるマモルとのファイトが行われていた
そのレベルの高さにヤイバは終始圧倒されていたのだ
「もうすぐメガラニカ支部で大きな大会がある、よかったら出てみるといい、広い世界を知るきっかけになる」
そう言って星空を見上げるマモル
「僕の妹は世界を見てきた、若い頃から僕は名の知れたファイターで、妹にとってそれが重荷になってしまったこともあったけど………世界の舞台で、自分らしくファイトを続けていたんだ、今はもう引退してしまったけどね」
「マモルさんの妹さん?」
「私のお母さんよ」
会話に割って入ってきたミライがよく冷えた缶ジュースを差し出す
「私も、私のファイトをずっと続けてきたわ、今はプロを目指して勉強中」
「(俺もいつか自分のファイトを………)」
ジュースを飲みながらキャンプファイヤーを見つめていたヤイバ
ふと視界の影に映った小さな姿に飛び上がった
「ヤイバ君?」
急いで駆け出すが人の多さにすぐ見失ってしまった
「どうしたんだい?」
「いや、今………妹の姿を見つけた気がして」
「妹さんの………」
「大丈夫、きっとまた会えるさ」
突然走ったために息を切らしていたヤイバにマモルが優しく声をかける
「ここに来たということは君の妹さんもヴァンガードをやっているということ、ヴァンガードを続ける限り、きっといつか」
「………そうですね」 
 

 
後書き
次回予告
「会えるといいね、妹さんに」
「そう言えばマモルさん、兄妹中は良かったんですか?」
「まあ、大ゲンカなんてことは滅多無かったかな」
「意外ですね、さっき聞いた話だと結構衝突してそうだったのに」

turn:10 メガラニカ支部

「気づくと本当に強くなっていてね、僕の方が焦らされたこともあるくらいさ」
「それはそれでどうなんですか」 
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