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レーヴァティン

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第百十話 都に移りその五

「鳴かせてやろうだ」
「それで済めばっちゃな」
「万全だ、しかしだ」
「鳴かないのならっちゃな」
「攻める、そしてだ」
「降すっちゃな」
「これは最後の最後だがな」
 それでもというのだ。
「そうする」
「相手が比叡山でもっちゃな」
「俺は戦う」
 仏教の勢力でもというのだ。
「どういった敵でもな」
「先に言った通りっちゃな」
「そうだ、神罰や仏罰に負けるなら」
 それならというのだ。
「それまでだ」
「神仏が貴方をこの世界を救うに値しないとですね」
「思われるならだ」
「神罰、仏罰が下る」
「そうなることだ」
 こう言うのだった。
「だからな」
「貴方はですね」
「例えどの様な寺社が敵に回ってもな」
「戦われるのですね」
「そういうことだ、だが」
「あくまで最後の手段ですね」
「戦自体がな、俺は戦はするが」
 しかしと言うのだった、ここでも。
「あくまでだ」
「最後の最後であって」
「戦う、ではな」
「比叡山については」
「近江を手に入れてからあらためてだ」
 まずは中立を守るのならよしとした、それはそれでというのだ。
「比叡山に人を送ろう」
「ではその時の使者は」
 謙二は英雄に自ら申し出た。
「拙僧が」
「仏門の者としてか」
「行きますので」
「ではな、いや」
「まさか」
「俺が行くか」
 自分自身がとだ、英雄は謙二にその目を鋭くさせて言った。
「三顧の礼ではないが」
「ご自身が自ら行かれて」
「そして話をしてだ」
「降ってもらいますか」
「それもやり方か、比叡山は都の鬼門を護っている」
 それ故に極めて重要な寺だとされてきたのだ、尚裏鬼門を護っているのが高野山である。このことはこの浮島でも同じだ。
「そして多くの高僧がいて仏像も経典もかなりある」
「素晴らしいものが」
「他の寺とは格が違う」
「高野山と同じだけですね」
「格がある、高野山は自ら降ったが」
「比叡山はそうでないので」
「ならだ」
 この度はというのだ。
「俺自身が赴いてだ」
「降る様に言うこともですね」
「時としてな」
「それでは」
「俺が行くか、しかし」
「今は」
「近江だ」
 何といってもこの国だというのだ。
「あの国に入り戦に勝ち」
「そのうえで」
「あの国を手に入れる」
 必ずと言うのだった。 
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