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夢幻水滸伝

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第九十七話 南洋の会合その十一

 それでだ、芥川は自分と共に情報収集にあたっている佐藤兄妹に話した。
「そうか、相手もアホやないっていうかな」
「流石四智星のうちのお二人ですわ」
「もうこっちが見ていること察してますわ」 
 兄妹で芥川に話した。
「というか逆にです」
「ひょっとしたら間者送ってるかも知れませんね」
「それはあるな、グレイカスとかリサールとか動きのええ奴がな」
 南洋の誰の手の者が間者になるか、芥川はさらっと名を挙げて話した。
「おるしな」
「そやからですね」
「こっちのことを逆ン探ってくることもしますね」
「そうしてきかねんですね」
「相手も相手で」
「こっちが考えることは相手も考える」
 芥川はこの事実を指摘した。
「それが人間やろ」
「はい、ほんまに」
「何でもそうですね」
「相当アホやないとそうですね」
「相手も考えてますね」
「しかも自分等が今言うた通りリーとシェリルは四智星や」
 芥川はこのことにも言及した。
「星のモンの中で特に頭がええ」
「そやからですね」
「色々考えてますね」
「そやから筆談で話をしてますか」
「こっちに探られへん様に」
「そや、ほんまにそれで話をしてな」
 筆談、それでだ。
「書いた紙は燃やす」
「そうしてですね」
「証拠を消しませんね」
「筆やとな、あとこっちの世界鉛筆もあるわ」 
 既にこの筆記用具も出回っているのだ。
「消しゴムもある、これに下敷きを合わせたらな」
「紙は何度も使えますね」
「書いた文字はその都度消していったらええですし」
「あと下敷きを使えた書いた跡も残らへん」
「念を入れて使った紙を焼いたら書いた跡からもわかりませんし」
「そや、とにかく筆談やとこっちも天井から覗くしかないが」
 書かれる言葉を見てだ。
「天井の方に覆い、蚊が出るとか言うて蚊帳するだけでええ」
「それだけでわかりませんね」
「もう何を話してるか」
「そや、蚊帳の中に入って車座になられたら上からはほんまに見にくい」
 蚊帳と書く者達の身体が紙に書かれる文字を遮ってだ。
「もうそれで終わりや」
「ほな南洋の人達もですか」
「そうしてきますか」
「そやろな、あの二人やったら簡単にや」 
 芥川も二人のことを読んで話す。
「考えてやってくるわ」
「そやからですか」
「南洋の人達から調べることは難しいですか」
「魔法の道具で部屋の中を見たり聞いてもな」
 こちらの世界にある盗聴器の様なものを秘かに彼等の宿の彼等がいる部屋に置いてだ。この世界にもそうしたものがあるのだ。
「まあちゃんと部屋の隅から隅まで調べられてな」
「会議の後で言葉を漏らしてもですね」
「話を聞けませんね」
 佐藤兄妹もそのことはわかった。
「リーさんとシェリルさんなら」
「それ位は考えてきますね」
「そや、それでこれはな」
 芥川は兄妹にさらに話した。
「他の勢力もな」
「していますか」
「アメリカや中国も」
「六将星の連中もアホやないしな」
 アメリカや中国を取り仕切る彼等もというのだ。
「勿論中南米とアフリカのアレンカールもな」
「あの方もですね」
「それはもう、ですね」
「そや、そやからあっちの話は中々わかりにくいけどや」
 それでもというのだ。 
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