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魔法科高校の劣等生の魔法でISキャラ+etcをおちょくる話

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第二百二十四話

「で? 俺をこんな夜中…っつーかもう明朝に呼び出した弁明は?」

現在時刻午前三時。

「火燐ちゃんが怪異の毒に侵されている。
君ならどうにかできるんじゃないか?
貝木と繋がっている、君ならば」

阿良々木家のリビングで暦さんと向き合う。

「ふーん………」

暦さんの様子はすこしダルそうだ。

既に忍野忍に言われたおまじないで病をうつしたのだろう。

「その怪異の名前は?」

「囲い火蜂」

どうやらそこは原作通りらしい。

「詳しい話を聞かせてほしい」

「わかった」

暦さんが語った内容は原作とはやや異なる物の、結末は同じだった。

違う所は火燐さんが俺の伝言通り貝木を問答無用で攻撃し、なんとか一発入れたということ。

が、結局は囲い火蜂を受けたらしい。

「取り敢えず火燐さんに会わせて。
症状を見ないとどうにもできないからさ」

暦さんに連れられ、暦さんの部屋に行くと、育さんが看病をしていた。

「熱は?」

「三十八度くらい」

ベッドの上で寝ている火燐さんの額に触れる。

「ん?」

この症状に加えてこの気の流れ……。

「囲い火蜂……そうか…そういう術だったのか……。
くく……偽物…偽物ねぇ…?」

これを出来る男が、偽物?

バカな。こんな事が出来るのならば。

あの男は本物だ。

「育さん。ちょっと出ていって。暦さんと話があるから」

「う、うん。わかった」

育さんは素直に出ていった。

暦さんが後ろ手にドアを閉める。

「火燐さんの症状も、原因もわかった」

これ、シャルロットのお母さんの症状に似ている。

ただ違う点が二つ。

一つは気…つまりは生体エネルギーの枯渇ではなく暴走によるものだということ。

「治せるかい?」

暦さんの声がガチトーンだ。

必死だ。

そしてその心配は杞憂だ。

「放っといても3日あればなおるよ」

「3日か…」

シャルロットのお母さんと違う点の二つ目は継続的な術ではないということ。

「まぁでも3日あれば…って言うか40秒あれば解呪できるよ。
そこまで面倒な術じゃないから」

「じゃぁ今すぐに!」

「ダメ」

「どうして!」

「だって今解呪したら火燐さん絶対飛び出すでしょ」

解呪しなくても飛び出しそうだけどね。

「それは…」

「死ぬような術じゃないから、暦さんが貝木をぶん殴った後でもいいさ」

「わかった…。そう言えば、さっきから術って言ってるけど、囲い火蜂って蛇切り縄とかの使役術なのかい?」

「いや、違う。暦さんでもできる術だよ」

「?」

「忍野はこう言うの全部を怪異って言ってるみたいだけど、それじゃぁ漠然とし過ぎている」

「漠然…」

「オカルトは大きく四つに別れる。
まず鬼、蟹、蝸牛とかの人間が関与せず意志をもつ妖怪。
次に妖怪と同じく人間が関与しないけど意思がない。
本来はこれを怪異と呼ぶけど………まぁ、北白蛇神社みたいなエアスポットとかホラーハウスの事さ。
次に人間が妖怪や怪異を利用する使役。
最後に、人間が人間の力で現象を起こす妖術」

「囲い火蜂は、妖怪や使役じゃないのか?」

「囲い火蜂は純粋な妖術だ。相手に触れて自分の気をぶつけたり流し込む事で相手の気を乱す。
火燐さんがここまで悪化してるのは、本人の資質が高い現れた結果だ」

発勁の応用もしくは派生ないしは崩しとも言えるだろう。

「治せるのかい?」

「ああ。囲い火蜂と同じ方法で、今度は安定させてやればいい。
ただ、本人じゃぁ乱れた気を制御できないから第三者がやるしかないけどね」

ここで暦さんに聞いてみる。

「暦さん、火燐さんになんかしたでしょ? なにしたの?」

「う"……」

「俺が予想するに、おまじないにはおまじないとか言ってキスでもしたんじゃないかと思うんだけど合ってる?」

「君は僕のストーカーか!?」

「え? 正解なの? マジで? 妹にキスしたの? 貴方彼女居るよね? なに考えてるの? バカなの? これ羽川さんが知ったらまた白猫になるよ? 下着猫になって暦さんをワンターンキルしちゃうよ?」

「ぐはっ…」

崩れ落ちた暦さん。

面白そうだったので背中をぐりぐり踏んでみる。

ぐりぐり…ぐりぐり…。

「そんなんだから彼女にケツ掘られるんだよバァーカ」

「その話はしないで…!」

やっぱり掘られてたらしい。

ザマァ。

「ま、そのお陰で暴走してた火燐さんの気のが多少暦さんに流れ込んで落ち着いた感じかな」

足をどけて、ソファー(バナナみたいな謎クッション)に腰かける。

「でさぁ、我が姉上(笑)とは和解できたの?」

「姉? 千冬さん?」

「あー、いやいや、そっちじゃなくてさ」

スッと暦さんの影を指差す。

「我が姉、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードとさ」

「なっ!?」

「驚くなよなー。前に言ったでしょ? 俺は暦さんの叔父みたいな者だって」

暦さんを立たせて、影ができるような位置に移動させる。

影に触れると、とぷん…と手が沈んだ。

「お、行けそう」

手を影の縁に置き、顔を突っ込む。

中はなんというか……豪奢な部屋だった。

その部屋のソファーに寝転がる幼女が一人。

「やぁやぁ我が姉上(笑)。元気してる?」

「ふぁっ!? だっ誰じゃお前!?」

影から顔を抜くと、追いかけるようにして我が姉上(笑)が顔を出した。

「会うのは3回目かな? 改めまして、俺はユートピア・クイーンパラドクス・グリップアンドブレイクダウン。
デストピア・ヴィルトゥオーゾ・スーサイドマスターの主兼奴隷です。
よろしく。我が姉上(笑)」

「かっこわらい、じゃないわっ!」

「えー、油断した挙げ句心臓抜かれて吸血鬼ハンターに手足取られて暦さんに命乞いして幼女になって復活したけど調伏されて四ヶ月近く拗ねてた幼女じゃん」

「ぶっ殺すぞお前!」

やべぇ、我が姉上(笑)可愛すぎる。

「まぁまぁ、落ち着けって。ほらドーナツあげるから」

量子格納庫からミスドの箱を出す。

「ほらー。ポンデリングとゴールデンチョコレートが4:6だぞー?」

「くっ……まぁ、許してやろう」

と箱を受けとる我が姉上(笑)。

「ちょれー」

「枯らすぞ貴様」

「お?やる? やっちゃう? 俺今でもダンピールくらいの力あるし勝つよ? 勝っちゃうよ? 我が姉上(笑)なんて余裕でフルボッコだよ?」

「ぐぬぬぬぬ………おいお前様!」

「僕に振るな。僕じゃ一夏くんに勝てない」

たぶん吸血鬼モードの暦さんと俺の吸血鬼としての戦闘力は同じくらいだが、俺には第二の強みである現代魔法がある。

「ふぅ。これでイベントを先に進められるね」

「イベントっと…」

「俺のストーリーのイベントだよ。暦さんのストーリーのイベントの方は俺にはわからないよ。未来予知なんてできないしね」

デスクチェアに座ってポンデリングにかぶりつこうとしている我が姉上(笑)。

ぱくっ! とポンデリングを食べて笑顔になってる様は外見相応の可愛らしい物だ。

「よし。食べたな」

ビクッと我が姉上(笑)こと忍ちゃんが肩を上げた。

「お、お前まさか毒でも…?」

「いや。フレンチクルーラー買って中身ワサビとすり替えようかと思ったけど俺に得がないし話が進まないから何にも入れてないよ」

「お前なんちゅう事を考えるんじゃ! フレンチクルーラーの開発者に謝れ!」

「いやドーナツ談義がしたい訳じゃなくてね」

ポケットからIScoreTypeOBSESSIONを取り出す。

「『束さんが』作った新型ISコアなんだけどさ。忍ちゃん使ってよ」

「IS? あの鎧の事かの?」

「そうだよ。IScoreTypeOBSESSION。コアの制御に怪異を使う試作機」

「ふむ…? それを儂に渡すことで、お前らと儂にどんなメリットがあるんじゃ?」

「まず、『束さんにとっては』新型ISコアの実験になる」

「大丈夫なんじゃろうな?」

「大丈夫大丈夫。奏……旧デストピアも使ってるから」

「デストピア……か」

「はーい感慨に耽ってる所悪いけど話続けまーす」

「少しは空気読まんかい!」

「で忍ちゃんにとってのメリットは……」

「あ、続けるんじゃな」

「ヴァーチャル空間内ならなんとドーナツ食べ放題!」

「なんじゃと!? それを先に言わんか馬鹿者ッ!」

ふふふ……堕ちたな!

この後コアのセッティングをして忍ちゃんを憑依させた。

つまりは、忍ちゃんを半分封印した。

「じゃ、俺は帰るよ暦さん」

「うん」

玄関まで見送ってくれた暦さんに、振り返って話しかける。

「確かに俺は貝木と繋がってるけど、今回の件には関わってないし、それとなく貝木に出ていくようにも言った」

「うん。羽川から聞いてる」

「だから、ファイアーシスターズの味方って証拠に、助言をしとくよ。
貝木と相対するときは複数人でかかった方がいい。
貝木はリスクリターンの確りしている男だ。
それもリターンよりリスクを重視するタイプのね」

「つまりそれって、せめて数だけでも優位を取れって事?」

「戦いは数だ。少なくとも人間の間では。
夢の中で教えた筈だよ」

「………わかった」

「助言の二つ目。頼るなら直木を頼るといい。
彼女は貝木の事をよく知っている。俺からも言っておくからさ。
だから、だから彼女にも過去と決別するチャンスを与えてやってほしい」












翌日、貝木が街から姿を消した。
 
 

 
後書き
囲い火蜂の設定はこのSSの初期から暖めていました。 
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