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神殿のドラゴン達

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第四章

「万全に何でも見られるか」
「千里眼を持っていてもな」
「それが出来るか」
 それはというのだ。
「神でもな、特にドラゴン達はな」
「海の守り神やからやな」
「海を見てるな、そして神殿をな」
「神殿の中におるモンはな」
「見てるか」
「そや、けれど外はどないや」
 神殿の外はというのだ。
「そして海やない場所は」
「どうしても弱くなるな」
「さらにや、海は下にある」
 神殿、そこにある大地から見てだ。
「ドラゴン達は下ばかり見ている」
「そうなると」
「上はどないや」
「見てへんな」
「相手はそこにおる、この言葉もあるな」
 インペルは鋭い目になっていた、そのうえでの言葉だ。
「灯台下暗し」
「となると」
「わかるやろ、自分やと」
 その鋭い目で自分の横にいるルルフォに問うた。
「ここまで言えば」
「よくな」
「ほな」
「行こうか」
「敵がおる場所にな」
 インペルは船を島に戻した、そしてだった。
 彼は二人で共にある場所に向かった、そこはというと。
 神殿の上空だ、神殿の真上に小さな浮島が一つあった。そこにある祠に入るとそこにある存在がいた。
 それは悪霊だった、黄色いローブを身にまとったファントムを思わせる姿の悪霊だった。その悪霊はというと。
「こいつは」
「悪霊の中でも特に力の強いな」
「そういう奴やな」
「確かバルベデスや」
 インペルはその悪霊の名前を知っていた。
「ホセ=バルベデスや。アルゼンチンの海賊でな」
「どんな奴やったんや」
「海を自分のものと思っていて攻めた船は誰でも皆殺しにするな」
「そんな奴やったか」
「そしてや」 
 それでというのだ。
「最後は軍隊に攻められて鮫の餌になったが」
「魂は悪霊になったか」
「それで今度はこの辺りの支配者になる」
「そのつもりでか」
「ここにおるな」
「ドラゴンなんか何なるんだ?」
 その悪霊が言ってきた、地の底から響き渡る様な声で。
「俺こそがな」
「この辺りの海の支配者にか」
「なるべきなんだよ、だからな」 
 それ故にと言うのだった。 
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