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夢幻水滸伝

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第九十六話 仁王像その十五

「初代の大仏をこの目で見られるとはな」
「私はキリスト教徒だが」
 それでもとだ、テレサが言ってきた。
「千四百年前のものとなるとな」
「その頃になりますと」
 マーガレットが腕を組んでテレサに続いた。
「我が国はないといいますか」
「その頃は中国は唐代か」
 ダーガーはあえて東洋の歴史から話した。
「欧州はカール大帝もまだや」
「ほんまそんな頃で」
 マーガレットはダーガーに応えて述べた。
「何というか」
「想像出来ない過去だ」
「私達のご先祖も」 
 シェリルはアボリジニーのことを話した。
「オーストラリアに移住していなかったかしら」
「確か移住はわりかし最近だったな」
「ええ、十世紀位はどうだったかしら」
 こうリーにも言うのだった。
「ましてや八世紀になると」
「わからないな」
「オーストラリアにも人がいたか」
「そうした時代だな」
「まことに」 
 まさにと言うのだった。
「奈良時代になると」
「ベトナムはもう国があったにしても」 
 ズーは祖国のことから話した。
「まだまだ小さくてこんな大きな仏像、建築物は」
「無理だったか」
「ほんまに」
 こうリーに話した。
「それが三代目でもあること自体が」
「そういえば大阪城も起きた世界では三代目か」
「そやな」
 スーンとロシティーはふとこの城の話をした。
「あの天守閣は」
「そやったな」
「そういえばそうね」
 シェリルも二人のその指摘に頷いた。
「大阪城のものも」
「そう、考えてみれば」
「あの天守閣も三代目や」
「この大仏とは時代も目的も形も違うけれど」
「あそこも三代目でな」
「偶然にしても面白いな」
 このことを考えると、というのだ。
 そしてリーはこう言った。
「大阪城はこの世界では大坂城だが」
「ああ、字がちょっとちゃうな」
 スーンも言われて応えた。
「ほんの少しでもな」
「今の我々が起きている世界では大阪だが」
「昔は大坂でな」
「この世界ではそのままだ」
「地名自体が大坂でな」
「城の名前もそうなっている」
 大坂城になっているというのだ。
「その様にな」
「そう考えると面白いな、あの城にも行ってみたいしな」
 ロシティーはこうも言った。
「是非な」
「天守閣を観たいか」
「そや、黒い壁に金色の瓦やな」
「それがあの城の天守閣だ」
 豊臣秀吉が築かせた初代のものだ、尚金箔はこの世界では錬金術により剥がれることがない様にされている。
「実に見事なものらしい」
「それでや」
「是非だな」
「そっちも観てみたいわ」
 平城京にある寺社達やそこにあるものだけでなくだ。
「大坂自体にもな」
「行って楽しみたいな」
「そう思ってるわ」
「大坂といえば料理」
 アミンは一言言った。 
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