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おっちょこちょいのかよちゃん

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7 四人の少年少女グループ

 
前書き
《前回》
 異世界から来たアレクサンドルとアンナの兄妹との決闘に勝利したかよ子は後日、共闘してくれた大野と杉山を家に呼び、クッキーを御馳走した。相変わらずのおっちょこちょいをしながらもかよ子は好きな男子との一時を過ごす事ができたのであった!!

 今回からはアニメ「ちびまる子ちゃん」2期269話「ヒミツ基地を作ろう」の巻、271話「ヒミツ基地乗っ取られる」の巻をかよちゃんと冬田さんも入れてアレンジさせたエピソードです! 

 
 清水市の羽柴家。山田かよ子の隣の家に居候している男子高校生・三河口健は自身の叔母である羽柴奈美子(はしばなみこ)とその夫である利治(としはる)とテレビのニュースを見ていた。ニュースはこの前の地震のような出来事の事件である。あれは地震ではなく、異次元とのぶつかり合いと報道していた。さらにこの前清水市にアレクサンドルとアンナとかいう人物が襲撃して来た事も報道されていた。なお他の地でも行政機関の襲撃やターミナル駅の爆発が起きたという。
「それにしてもあのアレクサンドルとアンナって奴以外にも暴れている奴がいるんですね。それもあの地震もどきの事件を境に始めて」
「だが、異次元との繋がりがこんなあからさまに起きるって事はあまりあり得ないんだがな」
 利治氏は異次元の存在を知っているように言った。
「今の世界と別の世界って普段から繋がっているんですか?」
「あまり目立たないところで繋がっているんだよ」
「それにウチらの世界だけじゃどうにもならない事ってあるんよ。だから他の世界から静かに助けられているんよ。例えば神とか仏に祈ったりとか神社でお祓いやって貰ったりとかね。隣の山田さんがかよちゃんに渡したあの杖もそうなんよ」
 奈美子が続けて説明する。
「そうなんですか。しかし、それでも俺が持っている力というのはどうにもならないかもしれませんが・・・」
「そんな事ないって。清水(ここ)に来てから変わってると思うよ」
「そうですよね・・・」
 三河口は間借りしている部屋に入った。元々この家には奈美子と利治の他に三人の娘、すなわち三河口の三姉妹の従姉がいたのだが、今は結婚や進学などで既に自立している。三河口が借りている部屋はかつてこの羽柴家の長女・ゆりが使用していた部屋である。三河口が居候を始めた時は長女と次女・ありは既に自立しており、三女・さりは三河口が中学三年生の時に専門学校進学を機に名古屋で独り暮らしを始めた。
「俺の力、強力すぎるんだよな・・・。今は何とかやっているけど・・・」


 アレクサンドルとアンナの兄妹との決闘から数日経ち、かよ子は杖をさらに使いこなそうと思い、杖の説明書となる本を読んでいた。その本はこの世のものとは思えない文字で記されているのだが、なぜかかよ子にはその文字が読めた。ゴールデンウィークは特にこれといった旅行の計画はなく、ただ家にいたり、同じくそんな余裕がないという理由で何の計画もないまる子と遊んだくらいである。
(この前の戦いはお父さんやお母さん、杉山君に大野君のサポートがあったから倒せたけど、私一人じゃ絶対に殺られていた・・・。おっちょこちょいしないようにやらないと杉山君からも愛想つかされるかもしれない・・・!!)
 かよ子はそう思い、特訓を続けていた。
「かよ子」
 母がノックをして部屋に入ってきた。
「ちょっと一休みしたら?」
「あ、うん」
 かよ子は台所に降りてきては母が用意してくれた用意してくれたプリンを食べる。
「お母さん」
「え?」
「また、誰かが攻めてくるって事あるかな?」
「そうね・・・。でも大丈夫よ。その杖があれば十分に太刀打ちできるわ」
「うん・・・」
 かよ子はプリンを食べた後、外の空気を吸おうと思い、家を出た。あの兄妹との対決は夢じゃないと改めて思うと自分に勝負を仕掛けて来る者が他にも現れるかもしれないと思った。もしそうなら、自分の家族や学校の友達、さらには周囲の知り合いにも危害が及ぶ可能性がある。実際、あの戦いでは杉山に大野、自分の両親も共闘してくれていたが、迷惑かけたと思われてもおかしくはないのだ。
 かよ子は外で一人の女子が落ち込みながら立っている姿が見えた。大野に恋する女子・冬田美鈴(ふゆたみすず)だった。
「あれ、冬田さん、どうしたの?」
「あ、山田さあん、実は大野君が最近秘密にしてる事があるらしいの。いつもどこかに行ってるんだけど、教えてくれなくて、さっき跡をつけてたらばれちゃって怒られちゃったの。もしかして大野君、他の女の子と遊んでいるのかしら・・・!?う、うわあああ~ん!!」
 冬田は説明を終えると共に大泣きしてしまった。
「ふ、冬田さん、泣かないでよ・・・。もしかしたら大野君は杉山君と遊んでいるだけかもしれないよ・・・」
「そうかしらあ・・・」
 かよ子は冬田を落ち着かせようとした。その時、己の発言が気掛かりになった。
(でももし大野君が杉山君と何か秘密があるとしたら、何なんだろう?でも私が知ろうとしたら杉山君に嫌われるかもしれない・・・)
「また今度調べに行こうよ!」
「うん、そうね」

 とある高台。杉山は「まる子」ことさくらももこに「ブー太郎」こと富田太郎(とみたたろう)と共にある工作をしていた。杉山は金槌で木に釘を打っていた。
「よおし、できたぜ」
「あとは大野君を待とうブー!」
「んじゃ、休憩しようかあ~」
 三人は一休みした。そして少しして大野が来た。
「大野君、お帰りブー!」
「おお、遅くなってわりいな。いい木がなくてあちこち回ってたよ」
「ああ、気にすんなって。大野は疲れただろうから少し休めよ」
「いいのか?」
「俺達はさっき休んだからな。よし、ブー太郎、さくら、俺達は続きを作るぞ!」
「了解だブー!」
「賛成~」
 大野は休憩し、杉山、ブー太郎、まる子は作業を再開した。


 学校の休み時間。杉山と大野、ブー太郎、そしてまる子が教室から出て行くところをかよ子は発見した。
(やっぱり杉山君も大野君と何かあるんだ・・・。でもなんでまるちゃんとブー太郎もいるんだろう・・・?)
「山田さあん、やっぱり大野君達、何かあるわよねえ?」
 冬田が話しかけてきた。
「うん、そうだね」
「もしかしたら大野君、私じゃなくてさくらさんが好きなのかしらあ!?」
 冬田は大野に嫉妬した。
「で、でも杉山君とブー太郎もいるからそれはないと思うよ・・・」
「わからないわあ!山田さん、放課後調べるわよお!」
「う、うん、そうだね・・・」
 二人は調査を実行する事にし、待ち合わせ場所を決めた。

 かよ子と冬田は大野、杉山、ブー太郎、まる子のいずれかを発見したら尾行しようとしていた。その時、かよ子は遠くにブー太郎の姿を発見した。ブー太郎は工具を持っていた。
「あ、ブー太郎だ」
 かよ子はブー太郎に話しかけようと思い、接近した。ところが、案の定ここでおっちょこちょいをやってしまった。横から自転車に乗った男性とぶつかりそうになった。足を轢かれたり、跳ねられたりはしなかったが、避けようとして転んでしまった。
「全く、気を付けろよ!」
 男性は注意の言葉を吐いて去った。
「山田さあん、大丈夫う?」
「うん、大丈夫だよ。あ・・・」
 かよ子は膝をすりむいていた。だが、そんな事を気にしている場合ではない。
「ブー太郎は?」
「そう言えばどこ行ったのかしら?」
 二人はブー太郎を見失ってしまった。気を取り直そうとするも、何の手がかりを掴めなかった。


 杉山、大野、ブー太郎、そしてまる子の四人は秘密の工作を続けた。そして数日が経ち、その工作は完成した。
「やっとできたブー!」
「ああ、これが俺達の秘密基地だ!!」
「凄いねえ~」
「よし、皆!表札に名前を書こうぜ!」
 杉山が提案した。
「いいな!」
 そして四人は名前を書いた。そして表札を基地へ上る為の梯子の付近に飾った。
「そうだ、記念にさあ、この秘密基地のメンバーのグループ名決めようよお!」
「そうだな!」
 大野はまる子の提案に乗った。
「何て名前にするブー?」
「アタシゃ一つ考えてるのがあるんだ?」
「どんな名前だブー?」
「ここはお茶と蜜柑と次郎長で有名な清水だからね、『次郎長』がいいと思うんだ!」
「カッコいいな!よし、『次郎長』で決まりだ!」
 杉山が賛成した。こうして秘密基地の完成と共に、そこを根城とする組織「次郎長」が結成された。 
 

 
後書き
次回は・・・
「奪われた秘密基地」
 秘密基地を造った組織「次郎長」。捜索を続けるかよ子と冬田は不思議な人物と出会う。その一方、杉山達が建造した基地はあるグループに奪われてしまい・・・。
  
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