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見えない誘拐犯

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第一章

               見えない誘拐犯
 ビル=ミッチェルとチャック=オニールは今はミッチェルの神託でアメリカアイオワ州デモインに来ていた、二人は鉄道でこの街に来たが列車から降りたその瞬間にだった。
 警官の制服を着たダック族の男が二人のところに来て敬礼の後で言ってきた。
「お待ちしていました」
「連絡してないけれど」
 ミッチェルは警官にすぐにこう答えた。
「というかあたくし達ここにはよ」
「冒険者としてですね」
「素性を隠して来たのよ」
「はい、都から連絡がありまして」
 日本のそこからというのだ。
「お二人の外見や服装がどういったものか」
「鉄道で来るってこともなのね」
「連絡がありまして」
「太宰さんからよね」
「はい」
 その通りだとだ、警官はミッチェルに答えた。
「あの方から直々に」
「相変わらずよく働く人やな」
 オニールはミッチェルの横で蛙のその顔を苦笑いさせた、彼は蛙人でミッチェルは獅子人だ。ミッチェルの大柄な身体に雄ライオンの鬣のある顔がよく映えている。
「ほんまに」
「そうね、あたくし達のことをわざわざ知らせるなんて」
「それも警察に」
「あたくし達何も悪いことしてへんけど」
「副宰相さん何の考えがあるか」
「ちょっとわからないわね」
「あっ、お二人を逮捕するとかはないので」
 それはとだ、警官も断った。
「ご安心下さい。あとお話は」
「ええ、ここじゃ何だからね」
「詳しいお話は署で」
「そこでお願いするわね」
「では、私の名はマリオ=サントリーニといいます」
「サントリーニさんね」
「はい、階級は巡査部長です」
 警官は階級のことも話した。
「宜しくお願いします」
「そうなのね」
「はい、では署に案内します」
「それではね」
 こうしてだった、二人は警官の案内を受けてそのうえで署に案内された、そこで署長と警官から話を聞いたが。
 話を全て聞いてからだった、ミッチェルは顔を顰めさせて言った。
「許せないわね」
「左様ですね」
 天狗族の署長がこう返した、二人は今署長室で署長そしてサンリーニ巡査部長から話を聞いたのだ。
「人攫いとは」
「しかも小さな子供達ばかりとはね」
「種族は問わずです」
「そうした人攫いは碌な奴やない」
 今度はオニールが忌々し気に言った、二人は署長と警官が座っているソファーの向かい側に並んで座っている。
「それがな」
「相場よね」
「ああ、人を攫うだけやなくてな」
「そこから何をするか」
「売るかな」
「自分の下衆な楽しみのはけ口にするか」
 ミッチェルは忌々しい口調で述べた。
「虐待なり何なりでね」
「そんなとこやな」
「だからね」
「早いとこ犯人を見付けてな」
「犯人を倒してね」
「そしてや」
「事件の解決よ、子供達を助け出して」
 こう言うのだった、そしてだった。
 ミッチェルは署長と警官に強い声で言った。
「このこと任せて」
「はい、事件をですね」
「必ず終わらせるわ、子供達もね」
 攫われた彼等もというのだ。 
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