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おぢばにおかえり

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第五十二話 おせちひのきしんその八

「食べに来ることはいいとして」
「会いに来たことはですか」
「そうよ、いいわよ」
「そんなに嫌ですか?」
「嫌じゃないけれど」
 そう言われるとそうではありません、私は阿波野君にこのことは否定しました。
「けれどね」
「けれど?」
「わざわざ会いに来たって言わなくていいから」
「そうですか」
「人目もあるし囃されるし」
 このことが嫌です、それで阿波野君に言いました。
「こっそりでいいから」
「そうですか」
「ええ、とにかくこれから三日ひのきしんだけれど」
 三学期の始業式までです。
「いさんでいってね」
「はい、そうさせてもらいます」
 こういう時は素直な阿波野君ですがこの時もでした。
「今もお餅焼かせてもらっていますしね」
「そうしてね、私もここで頑張るしね」
「先輩もいさんで下さいね、あと」
「あと?」
「七日の夜にですよね」
「あっ、おさづけの理ね」
「その時ですよね」
 こう私に言ってきました。
「そうですよね」
「そうよ、いよいよよ」
 私は真剣なお顔になって言いました。
「私もようぼくにならせてもらうわよ」
「そうですね、僕も三年になったらですね」
「ええ、ようぼくにならせてもらうから」
 このことを阿波野君にお話しました。
「頑張ってね」
「そうさせてもらいます」
「そうしてね、三年までね」
 こう言ってです、そしてでした。 
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