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おっちょこちょいのかよちゃん

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6 それでもライフはいつも通り

 
前書き
《前回》
 異世界から来たというアレクサンドルとアンナの兄妹と決闘を始めたかよ子達。苦戦しながらも大野や杉山、かよ子の両親達との協力もあり、何とか勝利を収めるのだった!! 

 
 隣人の壮絶な戦いを三河口は己の叔母と観戦していた。
「山田さん達、勝ちましたね」
「まあ、かよちゃんが貰った杖があるならきっと勝てると思ったわ」
「俺が加勢しても良かったかもしれませんが」
「いいよ、いいよ。健ちゃんの力は強すぎるから。それにお陰でかよちゃんもあの男の子達ともっと仲良くなれたみたいだしね 」
「そうですね。大野君と杉山君でしたっけ。あの二人は本当に頼りがいがありますね。俺なんかよりも・・・」

 かよ子の母は大野と杉山をそれぞれの家に帰した。礼はまた後ですると言って。


 翌朝、かよ子は昨日の決闘で疲れてしまっていた。しかし、そんな理由で学校は休めない。疲労感を残しながらも学校へ行った。あわや遅刻かという状況で3年4組の教室に到着した。
「おはよう~、かよちゃん!珍しいねえ~こんなギリギリに来るなんて」
「まるちゃん・・・」
 いつも遅刻寸前で登校するまる子よりも遅かった。
(仕方ないか。昨日が大変だったし・・・)
 その直後、はあはあ、と言いながら二名の男子が現れた。大野と杉山だった。
「はあ、遅くなっちまったぜ・・・」
「す、杉山君!お、大野君!?」
「あれえ~、二人とも珍しいねえ~」
「ああ、寝坊しちまったよ」
 かよ子は少しはおっちょこちょいが治ったかもしれないと思った。しかし、昨日の大決戦の疲労の影響なのか算数の授業中で居眠りをしてしまった。
「山田さん、山田さん!?大丈夫ですか?居眠りをしてはいけませんよ」
 戸川先生に起こされてかよ子は恥をかいてしまった。やはり自分のおっちょこちょいは何一つ改善なしだと実感した。その授業の後、杉山と大野が話しかけてきた。
「よう、山田!疲れて寝ちまうなんてすげえな」
「あ・・・。うん」
 かよ子は好きな男子に知られてみっともなく思った。
「やっぱり昨日の戦いで疲れちまったんだな。俺も杉山もそれで今日寝坊しちまったんだよ」
「え、そうなの!?」
「そりゃあいつら手強かったもんなあ!」
「うん。あ、そうだ。私のお母さんが今度お礼をしたいって言ってたよ」
「おう、わかった」
 かよ子は好きな杉山と会話が弾んで嬉しかった。
(なんだかいつもの生活に戻ったかもしれない。でも、これだけ杉山君と話せるなんて・・・)

 その後、かよ子はまる子やたまえと下校していた。
「かよちゃん、良かったねえ~」
「え!?な、なにが!?」
「もう~、とぼけちゃってえ~。大野君に杉山君と楽しく喋ってたじゃ~ん」
「あ、それはその・・・」
 かよ子は昨日の事を話そうと思った。
「昨日ね、二人は一緒に戦ってくれたんだ。一昨日の昼休みに学校を襲いに来た人達から」
「ええ!?そうだったの!?」
「うん、その事を話してたんだよ」
「そっかあ~、杉山君も見直してるよお~」
「うん、きっとそうだよ!」
「え?うん、そうだよね」
 かよ子は昨日のあの時、自分がアンナとアレクサンドルを撃退したら杉山からカッコよかったと言われた。本当に杉山から自分は見直されたかもしれない。
 かよ子はまる子、たまえと別れて家に帰ると、母から声を掛けられた。
「かよ子、お礼の準備ができたわ。明日大野君と杉山君をウチに呼んであげなさい」
「うん!!あ、お母さん」
「え、何」
「この杖、とても役に立ったよ。ありがとう」
「よかった。大事に使ってね。この杖は別世界から貰った物なのよ」
「そうだったの!?」
「そうよ。お母さんもこの杖で何度か助けられたのよ」
「そうだったんだ・・・」
 かよ子にとっては驚きの事実だった。そしてあの杖があるから自分は今こうして生きているのだと実感するのであった。
(でも、別世界から貰ったもの・・・。アレクサンドルとアンナはこの世から追放された者ってって言ってた・・・。前は私達と同じ地球(ここ)の人間だった・・・。別の世界ってあるんだ・・・)
 その時かよ子は謎に思った。この世から追放されたという事は、人は死後、異世界で生きているという事なのか。そしてアンナは「この日本が弛んでるから変えてくれって言われてやっている」と言った。しかし、誰に頼まれたのだろうか。そしてその人物(いや、何らかの組織かもしれない)は「日本を変える事」を目的に違う世界の人間を召喚したのか?しかし、かよ子にとってはまだ考えても分からない事だった。


 翌日、学校にてかよ子は休み時間にサッカーして帰って来た大野と杉山に声を掛けた。
「す、杉山君。お、大野君・・・!!」
「山田、どうしたんだ?」
「お母さんがこの前のお礼をするって言ってたんだ。今日、私の家に遊びに来てくれるかな?」
「おお、いいぜ!!」
「うん、ありがとう!」
(また杉山君がウチに来てくれる・・・!!)
 かよ子はまた杉山が自分の家を訪れることになってとても嬉しく思った。

 家に帰って20分後、かよ子の家に待ち人は来た。
「こんにちは!」
「あら、杉山君、大野君。上がって」
 かよ子の母は二人を家に上がらせた。そして娘の部屋に行く。
「かよ子、杉山君と大野君が来たわよ」
「うん」
 かよ子は部屋を出た。居間に大野と杉山はいた。かよ子はまたあがってしまった。
「き、来てくれてありがとう・・・」
「ああ、折角お前が呼んでくれたんだからな」
「うん」
「はい、お礼にこのクッキーを買ってきたわ」
「うわあ、美味そうだな!」
「まあ、ほんのお礼よ。かよ子も一緒にどうぞ」
「うん」
 かよ子は杉山、大野と共にクッキーを食べようとした。かよ子は緊張でクッキーを手から落としてしまった。クッキーはテーブルの下に落ちた。
「山田、お前も相変わらずのおっちょこちょいだな!」
「うん、そうだね・・・」
 大野も杉山も笑った。かよ子も恥ずかしがりながらも笑った。おっちょこちょいでもこうして杉山、大野といる事で時間は流れて行く。どんな不可解な現象が起きてもおっちょこちょいな生活は相変わらず続いているんだとかよ子は改めて感じた。 
 

 
後書き
次回は・・・
「四人の少年少女グループ」
 ゴールデンウィークが過ぎたある日の事、かよ子は大野に恋している女子・冬田美鈴と出会うが、冬田は大野が何か秘密にしている事があるという。大野と杉山はブー太郎にまる子と共にあるものを建造しており・・・。 
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