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ドリトル先生と姫路城のお姫様

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第二幕その八

「この人が泉鏡花のお師匠さんだったんだ」
「金色夜叉のだね」
「そうだよ、この人がいて泉鏡花は世に出たから」
「そう言ってもいい位だったんだね」
「うん、だから終生お釈迦様のお母さんを崇拝して」
 そしてというのです。
「そのうえでね」
「尾崎紅葉さんもなんだ」
「崇拝していたんだ」
「そのことも面白いね」
「そうだよね、だから泉鏡花を調べていると」
「楽しんだ」
「作品も多いうえに名作もかなりあるから」
 肝心のそちらもというのです。
「だからね」
「研究のしがいもあるんだね」
「本当にね」
 笑顔で言う先生でした。
「今回の論文も楽しんで書いているよ」
「それはいいことね」
「そうだね、じゃあ今回はね」
「泉鏡花の論文をだね」
「研究して書いていくよ」 
 こう言ってでした、そのうえで。
 先生は午後の講義を教えて論文も書いて調べていきました、それが終わってそのうえでなのでした。
 お家でも論文を書いていますが書いている時に動物の皆に言われました。
「泉鏡花って何かね」
「色々あるとは聞いていたけれど」
「変わったところもあるし」
「おや、って思うところもあるわね」
「私達にしてみると」
「そうだね、確かに清潔なのはいいけれど」
 それでもと言う先生でした。
「ただね」
「それでもね」
「そこまでって思うわね」
「今だと常に手を拭いている人?」
「ウェットティッシュで」
「そうかもね、生ものは絶対に食べなかったから」
 このこともお話する先生でした。
「熱したものでないとね」
「ううん、何ていうか」
「そこまでだとね」
「どうにもね」
「極端過ぎるよ」
「僕もイギリスにいた時は生ものは殆ど食べなかったけれど」
 それでもと言う先生でした。
「今じゃね」
「先生お刺身大好きだからね」
「あとカルパッチョも食べるし」
「お寿司だって好きだし」
「そうなったしね」
「やっぱり昔は違うからね」
 先生は昔の衛生のことをお話するのでした。
「生ものも新鮮さがすぐに落ちたし冷凍技術もね」
「ああ、なかったね」
「戦争前の日本でもね」
「それで生ものは今よりずっと危険だったね」
「そのこともあるね」
「そうだよ、だからね」
 それ故にというのです。
「泉鏡花もかなり気をつけていたんだ」
「生ものには注意は今もだし」
「昔だった余計にってことね」
「あの人チフスにも罹ったっていうし」
「余計にそうなったのね」
「そういうことだね、しかし生ものが食べられないと」
 このことについてまた言う先生でした。
「僕としてはね」
「困るよね」
「先生本当に生もの好きだから」
「若しお刺身やカルパッチョが食べられないと」
「先生お酒の肴でよく食べるから」
「お酒にお刺身なんて」
 それこそと言う先生でした。 
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