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八条学園騒動記

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第五百十六話 本をなおしてその八

「そのことに気付かないでな」
「今じゃ行方知れずで」
「誰も探そうとしない」
「大叔母さんは?」
「周りが止めている」
 探そうとすることをというのだ。
「もうどうしようもないとな」
「そうなのね」
「実際にな」
「どうしようもない人よね」
「零点の奴はだ」
 つまり全く駄目な人間はというのだ。
「何をしても零だからな」
「まあ零コンマ幾つかでもね」
「何かあればな」
 その時はというのだ。
「違うが」
「それでもよね」
「全くの零点はな」
 それこそというのだ。
「何をしてもな」
「零点だから」
「もうだ」
 それこそというのだ。
「何をしてもだ」
「変わらないのね」
「そうした奴だからな」
「皆大叔母さんを止めてるのね」
「見捨てるしかないとな」
 その様にというのだ。
「言っている」
「そうなのね」
「親父もそうだしな」
「その人の叔父さんもなのね」
「ああ、俺にとっては大叔父さんになるがな」
 その人もというのだ。
「そう言っている、とはいってもな」
「とはいっても?」
「大叔父さんはまだな」
 洪童はナンシーに苦い顔で話した。
「見捨てていない感じだな」
「殴ってやろうかって言われても」
「それでもな」
「心の何処かでなのね」
「見捨てていないかもな」
「そうなのね」
「どうしようもないとか死ぬまで治らないとか言っているが」
 それでもというのだ。
「まだな」
「見捨てていない節があって」
 それでというのだ。
「まだな」
「見捨てていないの」
「まだな」
「随分と酷い人にしか思えないけれど」
「本人も迷惑しているがな」
 咎めれば殴ってやろうかと言われたりしてというのだ。
「それでも親戚の中でも出来た人でな」
「まだ見捨てていなくて」
「完全にはな」
 それこそというのだ。
「どうにかなればと思っているみたいだ」
「本当に出来た人ね」
「だから俺も敬愛している」
「そうなのね」
「それに値する人だからな」
「尊敬になのね」
「随分とな、しかしその親戚は本当にな」
 随分と、と言うのだった。
「どうにもならない奴だ」
「零点なのね」
「何をどうしてもな」
「どうにもならない人ね」
「だから俺もな」
「見放してるのね」
「本当に死んでいれていた方がな」
 洪童は心からこの言葉を述べた。 
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