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麗しのヴァンパイア

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第百四十三話

                  第百四十三話  十時にまた
 カーミラは雪路をホテルから別の場所に案内した、勿論使い魔達も姿を消して主んつき従っている。
 そうして朝の道を歩きつつだ、カーミラは雪路に話した。
「さて、十時位にね」
「次のお店にですね」
「着くから」
「それまではですね」
「ええ、気楽にね」
 カーミラは雪路に微笑んで話した。
「そのうえでね」
「歩いていくのですね」
「歩いていけば」
 そうしていけばというのだ。
「適度にお酒が醒めるから」
「それで、ですね」
「次のお店では赤ワインでね」
「また楽しむのですね」
「ええ、ただ」
 カーミラは雪路に笑ったまま話した。
「軽くよ」
「お昼ご飯ではないからですね」
「そうよ、十時はね」
 この時間はというのだ。
「まだお昼ではないから」
「言うならおやつですね」
「そう、ティータイムみたいなものよ」
 こう雪路に話した。
「簡単に言うとね」
「やはりそうですね」
「ええ、赤ワインはボトル一本で」
「一緒に食べるものも軽くですね」
「数本のソーセージとチーズとクラッカーね」
 これ位だというのだ。
「それでね」
「軽くですね」
「飲んで食べてね」
「楽しむのですね」
「こうしたお酒の楽しみ方もいいものよ」
 知っている言葉だった、その楽しみを」
「だからね」
「これからですね」
「歩いてそのお店まで行きましょう」
「わかりました」
 雪路はカーミラに反対することなく言葉を返した、その足取りは確かに酒が入っているものだったがふらついてはいない。
「それでは」
「ゆっくりと行きましょう」
「軽く飲みにね」
 カーミラは実際に軽く考えていた、これから飲むことについて。そうして雪路と共に歩いていくのだった。


第百四十三話   完


                   2019・3・21 
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