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星河の覇皇

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第七十一部第一章 掃討作戦その四十六

「もうイスラムではです」
「出ないか」
「ですが」
「他の宗教ではな」
 ドトールはここでこう言った。
「違うからな」
「はい、イスラム以外では」
「予言者は出る」
 イスラムでは予言者すら出ない、ムハンマドが最後の預言者であり予言もまた出ることはないのである。
「そして訳のわからない終末論もな」
「それもですね」
「常にありますね」
「それがカルト思想になっていたり」
「厄介なことにもなっていますね」
「よく何年に人類が滅びるとな」
 こうした話はこの時代にもある。
「言われているが」
「実のところは」
「それは、ですね」
「あるかといいますと」
「それは」
「かつてノストラダムスがいた」
 予言者の中でも最も有名な人物の一人だ、本来の名をミシェル=ド=ノートルダムという医師であり占い師であり美容コンサルタントであった。
「彼が一九九九年に人類は滅亡すると言ったそうだが」
「よく言われていたそうですね」
「当時は」
「国によっては知らぬ者がいなかったとか」
「それだけ有名な人物だったそうですね」
「その国の総理大臣の名前は知らずともだ」
 それでもだったのだ。
「ノストラダムスの名前は知っていた」
「そこまで、ですね」
「ノストラダムスは有名でしたね」
「とかく名前が知れた」
「そうした人物でしたね」
「その彼の言葉はかなりの影響があった」
 その一九九九年に人類が滅亡するというだ。
「それを真に受ける者も多かった」
「その頃は」
「二十世紀の末は、ですね」
「そうした者も多く」
「人類社会に影響を与えていたとありますね」
 歴史書にはそう書いてある。
「しかしですね」
「人類は今も存在しています」
「銀河にも出ています」
「栄えていると言えるでしょう」
「そうだ、もっともだ」
 ドトールはノストラダムスについてさらに話した。
「ノストラダムスは本当に人類は滅亡すると言っていたか」
「その時点で疑問ですね」
「果たしてそう主張していたか」
「その書において」
「俗に諸世紀と呼ばれている本の中で」
 これも本来の名前は違っている、ノストラダムスについては何かとこうした本来は、という言葉が付いている。
「その時点で、ですね」
「疑問でありますね」
「只詩を書いていたという見方もありますし」
「人類の未来についてはです」
「予言をしていたかどうか」
「それはわからない、ましてやだ」
 こうも言ったドトールだった。
「人類は滅亡するなどな」
「本来は言っていなかったとか」
「当時からそうした指摘があったそうですが」
「圧倒的多数の予言好きはそう主張していましたね」
「一九九九年七月に人類は滅亡する」
「その様に」
「それで何かと騒いでいる輩もいた」
 漫画雑誌の編集者でもいたらしい、それこそ箸が転がっても人類滅亡の序曲だと言う勢いで漫画の中で誰もが何故か疑わない断言を繰り返していたという。傍から見れば完全に極めて重度の精神病患者である。 
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