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美化し過ぎ

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第四章

「後の世ではどう思われておるか」
「おなごになるなぞな」
「いや、その頭の中はわかり申さぬ」
 信長にどうかという顔で答えた。
「全く以て」
「どうもおのこもおなごも萌えに走っておってじゃ」
「若く美しいおのこやおなごに描き格好いい服を着せて」
「そのうえで愛でておる様じゃのう」
「何が何か。しかし」 
 ここでまた言った秀吉だった。
「もう我等にはどうしようもないこと」
「極楽におるからのう」
「それでは言っても仕方ないことか」
「これが幕末でも同じじゃぞ」
 信長は秀吉にこの時代のことも話した。
「新選組の者達だの坂本だの高杉だのな」
「ああした者達は」
「やはり実際よりずっと男前でじゃ」
 さらに言う信長だった。
「挙句にはロックもやっておるぞ」
「あの音楽を」
「うむ、そうなっておる」
「もうそこまでいきますると」
「何が何かわからぬな」
「後世の子孫恐るべきですな」
 秀吉は信長から幕末の話も聞いてあらためて述べた。
「そこまで想像力逞しいとは」
「わし等も驚くばかりじゃな」
「はい、一体最後はどうなるのか」
 考える顔のまま言う秀吉だった。
「見守っていくしかないですな」
「そうじゃな」
 信長も他の者達もこう言うばかりだった、誰も違うと思いつつも自分達ではどうにも出来ない下界のことなので見ているしか出来なかった。それでだった。
 秀吉はこの状況に納得してそれで己の屋敷に帰ってねねに言った。
「さて、今宵の飯を食ったらな」
「風呂に入ってだね」
「わしが出ているアニメを観る」
 そうすると言うのだった。
「そうしてじゃ」
「そこでの御前さんの姿を観てだね」
「驚いてそしてな」
 そのうえでとだ、ねねに笑って述べた。
「楽しもう、しかしわしも色々な顔に姿になっておるのう」
「そうだね、あたしもだけれどね」
「どうしたものじゃ、しかしそれもまた人の想像と思ってな」
「そうしてだね」
「観てやるわ」
 こう言ってだ、そのうえでだった。
 秀吉は実際にねねと二人で飯を食いその後は風呂に入ってだった。自分が出ている戦国時代をモチーフとした幾つかのアニメを観た。そうして違うと思いつつも楽しんだ。様々な姿に描かれている自分を観ながら。


美化し過ぎ   完


                   2018・10・10 
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