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年齢詐称

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第五章

 四歳若く書いた、それで後日のことだった。
 ジョゼフィーヌは親しい友人達に笑って言われた。
「ご主人とは同じ位の年齢ね」
「貴女が半年早いだけで」
「そうらしいわね」
「ええ、公ではね」 
 ジョゼフィーヌも笑って話した。
「そうなっているわ」
「そうよね」
「半年なんて普通ね」
「何てことはないわね」
「同じ様な年齢よ」
「同じ年齢の時だってあるしね」
「そうなったわ、私もあの人も笑ったわ」
 証明書に自分の年齢を書いたその時にというのだ。
「まさかね」
「お互いにそうするとはね」
「流石に思わないわね」
「どちらもなんて」
「ええ、けれどね」
 それでもとだ、ジョゼフィーヌは笑って話した。
「そのお陰でね」
「証明書ではね」
「そうなったわね」
「二人の年齢は変わらない」
「そういう風にね」
「ええ、実際は違っても」
 ジョゼフィーヌの方が六歳も上でもというのだ。
「これならいいわ」
「そうよね」
「お互いにそうした結果ね」
「書類の上ではそうなったら」
「それでいいわね」
「ええ、だからいいわ」
 まさにというのだ。
「これでね」
「そうよね」
「それじゃあね」
「もうそういうことでね」
「あの人と暮らしていくのね」
「そうするわ、野暮ったくて世間知らずなところもあるけれど」
 自分の浮気性のことは置いておいてだ、ジョゼフィーヌは笑って話した。
「あの人は魅力的だから」
「これからも共にいる」
「そうするのね」
「ええ、そうするわ」
 こう友人達に言うのだった、そしてナポレオンもだった。
 自身の執務室に飾ってある菫の花を観つつ部下達に話した。
「あの花をジョゼフィーヌに贈る」
「奥方様にですか」
「そうされますか」
「そうだ、ジョゼフィーヌは薔薇と菫が好きなのだ」
 だからだというのだ。 
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