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花の妖精

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第四章

「幸せになりたいなら黄色よ」
「幸せの色だからだね」
「そうよ、チューリップは元々幸せのお花だけれど」
「黄色いチューリップは余計に」
「幸せのお花だから」
 それでというのだ。
「余計によ」
「いいんだね」
「そうよ、だから一つなら」
 こう雄二に言うのだった。
「黄色だけれど」
「僕達は一人一つ買うから」
「だったらね」
 それならというのだ。
「カップルになって結婚するなら」
「僕は白で」
「私は赤ですね」
「それで一つずつお互いにね」
「お花を育てて咲かせて」
「一緒に観ていけばいいですね」
「お家でね、そうしたらいいのよ」
 こう二人に言うのだった。
「是非ね、いいでしょ」
「うん、そこまで言うのなら」
「私達も」
「そういうことでね」
「わかったよ、ただ」
 ここでだ、雄二は妖精にあらためて言った。
「一つ気になることがあるけれど」
「何なの?」
「いや、まさかお店で妖精さんに会うとか」
「そんなこともあるわよ」
 素っ気なくだ、妖精は雄二に答えた。
「だってこの世界にいるのは人だけじゃないから」
「動物も植物もで」
「人間も動物でしょ」
「はっきり言うとね」
「そしてよ、この世界には神様も仏様もいて」
 妖精はさらに話した。
「そして妖怪もいて」
「君達妖精もいるんだ」
「昔から言われていてよ」
 それでというのだ。
「何故言われてきたか」
「いるから言われていたんだ」
「そうよ、そしてね」
「それでなんだ」
「そう、そしてね」
 それでと言うのだった。
「今もあんた達の前にいるのよ」
「そういうことなんだ」
「わかったわね、それでよ」
「今もアドバイスしてるんだ」
「そういうことよ、まああくまで私個人のアドバイスだけれど」
「一人一つずつ買うなら」
「相思相愛のカップルならね」
 それならというのだ。
「男は白、女は赤よ」
「それで一つなら黄色だね」
「紫は高貴、青は清純でね」 
 妖精はこうした色のチューリップの話もした。 
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